「暮らしのSaaS化」がやってくる!オンデマンド自体の自動化を目指す「Urban」、そのトレンドを紐解く

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ピックアップ: Urban closes $10M Series B in bid to become ‘one-stop shop’ for on-demand wellness services

ニュースサマリー : 5月17日、ロンドンを拠点とするウェルネスサービス「Urban」がシリーズBラウンドで1,000万ドルの資金調達を発表。2014年の創業以来、累計調達額は2,110万ドルに上る。マッサージや整体、美容分野を中心とするオンデマンドサービスのマーケットプレイス事業を展開。

顧客は登録時に住所(自宅やホテルなど)を入力し、各種プログラムの中から好きなものを選ぶ。最後の決済プロセスでサービス時間指定をするだけ。指定日時にUrbanの専属スタッフが顧客のいる場所までやってくるサービスフロー。

大きな特徴は幅広い種類のウェルネスサービスを扱い、自分好みのプログラムを繰り返し利用できるアグリゲーションUX。

従来、分野特化型のオンデマンドサービスが多数登場し成長を続けてきた。しかし各アプリを毎回立ち上げてサービスを注文する手間が発生。そこでUrbanはあらゆるウェルネス系サービスを一括提供する場を設け、かつプログラムを選ぶ手間をなくすべくリピート注文しやすいUIを採用。

2014年に創業した5年目のスタートアップでありながら、オンデマンド美容師・エステティシャン派遣サービス「Freauty」と「Milk Beauty」の2社を買収済み。TechCrunchの記事によると、2018年末での累計提供サービス回数は38万回、リピート予約率は42%。10万アクティブユーザーと2,500人のスタッフを抱える。

話題のポイント : 今回の資金調達のポイントは「暮らしのSaaS化」

前述したように、世界中でオンデマンドサービスが急速に発展をしています。欧米では飽和状態であると言えるでしょう。アジア及びアフリカ圏では欧米サービスを真似たものが乱立。

背景には世界規模での都市一極集中化が挙げられます。2050年までに68%の人口が都市部へ移動。米国に限って言えば80%が主要都市へ人口移動することが予測されています。

サービス提供者と顧客の距離を狭める人口密集度がオフラインに特化したオンデマンドサービス確立に欠かせない要素です。オンデマンドネットワーク網を構築しやすい環境が都市部にあるのです。この点、日本でも有名なUberEatsに代表されるオフラインサービスのSaaS化は都市での展開に適しています。こうして「ソフトウェアが世界を飲み込む」という言葉が文字通り体現されるようになりました。

都市部居住者の生活体験はオンデマンドサービスの登場によって大きく変わりました。しかし多数のアプリを持ち合わせているがため、注文コンテンツを考え・選び・決済する一連のプロセスを何度も行わなければいけない課題が新たに発生。各種サービスを手軽かつ合理的に管理できるプラットフォーマーへのニーズが高まりました。そこで登場したのがUrbanというわけです。

家事手伝いの分野でも同様のニーズを満たすサービスが登場しています。2014年にニューヨークで創業し、累計調達額が5,250万ドルに及ぶ「HelloAlfred」はB2B2C市場で急速に成長しています。

2B進出以前は家事手伝いオンデマンドサービスをアグリゲートし、手軽に最安価格で指定時間に特定サービスを受けられる2C向け事業を展開。「毎朝7AMには配車サービス、隔日9PMには皿洗い、火曜・木曜・土曜7PMには洗濯」のようにオンデマンドサービスを自動リピートできる具合です。

Urbanはウェルネス、HelloAlfredは家事手伝いの分野で数千万ドルの資金調達を達成して着実な成長を見せています。このように生活関連サービスをパッケージ化し、あらゆる都市で高い生活水準 – Quality of Life – を保てる「暮らしのSaaS化」が次なるトレンドになると筆者は考えています。

日本では自宅に誰かを招いたり、UberEatsや出前を頼む以外のオンデマンド文化が根付いていない市場環境が存在するためいまはタイミングではないかもしれません。しかしオンデマンドサービスの手間を解決する市場には将来性があると言えるでしょう。

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