B Dash Camp 2019 Spring in Sapporoの優勝は営業電話の生産性向上「MiiTel」が獲得 #bdashcamp

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本稿は5月22〜24日に開催されたB Dash Camp 2019 Spring in Sapporoの取材の一部。

5月22日から24日にかけて開催されたB Dash Camp 2019 Spring in Sapporoでは、ピッチコンペティション「Pitch Arena」が今回も開催された。書類選考を経てファーストラウンドに残ったのは12社のスタートアップ企業。さらにファイナルラウンドでは6社が登壇し、営業電話の生産性向上システム「MiiTel」を運営するRevCommが優勝を獲得した。

Pitch Arenaファイナルラウンドの審査員を勤めたのは、次の5名の方々。

  • 江幡智広氏 mediba代表取締役社長
  • 木村新司氏 Das Capital SG取締役会長
  • 國光宏尚氏 gumi代表取締役会長
  • 佐藤裕介氏 ヘイ代表取締役社長
  • 玉川憲氏  ソラコム代表取締役社長

今回はファイナルラウンドに登壇した7社についてファーストラウンドの情報も含めてご紹介する。

【ラクスル賞】記憶定着の学習プラットフォーム「Monoxer」

解いて覚える記憶定着アプリの「Monoxer(モノグサ)」。いわゆる「テスト前の下敷きで暗記したい部分を隠しながら覚える」方法をアプリ化したものだ。記憶したい情報をアプリから登録することで、自動で穴埋めの問題形式になり、繰り返し学習が可能になる。

記憶したい事項はテキストだけでなく、画像や漢字の記憶にも対応。質問と回答による記憶度の算出と忘却速度の算出の機能、記憶の定着度合いを可視化する機能を搭載している。モノグサ代表取締役の竹内孝太朗氏は「何かを記憶しようとする方法は現状オリジナルに頼りがちになっている」と話し、共有からOJTをアプリで効率化することを目指す。

1ユーザー3000円で学習塾や予備校に対して企業導入するマネタイズの仕組み。今後はコールセンターや飲食店などでの導入も推進していく。4月から提供開始し、現時点では10社に導入されている。月間では、約150万回の問題が説かれている。また今後は、コールセンターや飲食店などへ導入し、業務の暗記や記憶も視野にいれている。

【準優勝】【パーソル賞】自動野菜収穫ロボット「inaho」

自動収穫ロボット「inaho」は、ロボットの内蔵カメラの赤外線で収穫に適している農産物を判別し、収穫する。ロボットは畑にラインを引くと自走し、夜間も利用が可能。アスパラガス、きゅうりなどビニールハウスで栽培する複数種類の野菜収穫に対応している。同社が説明会を実施し、導入意向をアンケートしたところ、200人中180人程度から意思表明があったそうだ。

ロボットや管理システムは同社が自社開発。ロボットは販売型ではなく、収穫した野菜に対して15%のマージンを取得する重量課金型をとっている。このマージン15%は、同社代表取締役CEOの菱木豊氏によれば「雇用している人権費よりも安くなる」金額ということだ。年間1000万円規模程度の農家をターゲットとしている。

野菜の収穫は毎日の人手が必要かつ、収穫に適しているかの判断は人的なものがメインになっている現状があるそうだ。この農家の作業の約60%を占める収穫作業を自動化することで作業効率を上昇し、耕地面積を拡大することで農家の収入向上を目指す。拠点から30分以内のみにサービスを提供しており、2022年までに全国40拠点を目標に掲げており、今後は収穫可能な野菜の種類の増加を実施していく方向性だ。

傘のシェアリングサービス「アイカサ」Nature Innovation Group

アイカサは、1日70円で各地のシェアスポットから傘をレンタルできるシェアリングサービス。シェアスポットでQRコードを読み取ると、パスワードが生成され、傘に入力することで開く仕組みになっている。LINEアカウントでQR読み取り、決済が可能。レンタルしている傘は、オリジナルでアイカサ用に製作。拠点数は都内130箇所、レンタルできる傘は5000本を超える。

ビニール傘は雨が一度降ると約4億円の売上、年間8000万本が販売されているそうだ。このビニール傘は、コンビニや本屋などの片隅で販売されていることが多く、傘を持っていない日に雨が降った瞬間に濡れないようにするソリューションは約20年変わっていないと同社代表取締役の丸川照司氏は話す。

今後は拠点をもつ業態との提携を推進し、シェアスポットを増加させたい意向。1人あたり200〜300円の単価で1000万人の利用を目指す。

見積査定の効率化ツール「RFQクラウド」A1A

RFQクラウドは、製造業の購買担当者の見積査定を効率化するツールだ。購買担当者の管理品目(1日10〜30品目程度だそう)が多く、膨大な量の見積書を管理しなければならない点、フォーマットがばらばらで購買単価が比較しにくい点を解決する。

具体的には各社が見積書を取り寄せる際に、見積書のフォーマットリンクを見積発行者側に送り、入力してもらうことで、見積書のデータが収集される。ツール内では、見積もり比較や過去の見積もりデータとの比較が可能になっている。

同じ製品でも工場や部門、担当者によって製品の値段が変わることはあるが、それに対して別々のフォーマットの見積もりを比較して購入決定するのは、なかなか骨の折れる作業だ。これを効率化することで、ボリュームディスカウントや人的コミュニケーションに頼らない購入意思決定を可能する。

現状30社に導入を進めており、利用料金は初期費用と月額費用20万円から50万円。2023年には240社への導入で10億円の売上を目指す。

【パラマウントベッド Active Sleep賞】婦人科ネット診察サービス「スマルナ」NEXT INNOVATION

生理痛などの婦人科診察に特化したオンライン診察サービス「スマルナ」。同社代表取締役の石井健一氏は薬剤師免許を保有しており、医療現場経験者のメンバーが参画している。スマルナでは、メッセージやオンライン通話で診察を実施し、最短で翌日に薬が自宅に届く。低容量ピルやアフターピルといった薬が多く処方されている。

石井氏によれば生理に関する被害額は7000億円、年間で168,015件の人工中絶が実施されているという。これを解決するためにはピルなどの薬があるが、その中に20代女性には産婦人科を受診するのに抵抗があり、身近な人にも相談しにくいという問題がある。この課題をオンラインにすることで薬の処方まで到達しやすくする。

リリース10ヵ月時点で課金ユーザーが1万5千人。ユーザー平均年齢は25.7歳で、7割がピル処方の未経験者だ。マネタイズポイントは薬の処方で取引単価は6,500円から6,700円前後となっている。

【優勝】【Lexus Crafted賞】営業電話の生産性向上システム「MiiTel」 RevComm

MiiTelは、営業人材の生産性向上を目的としたIP電話搭載の分析システム。システムから電話をかけると電話内容が録音され、オペレーターと顧客のやりとりを人工知能解析する。データで見える化する部分は発言したキーワード数や話のトーン、沈黙の回数など。さらに繋がりやすい時間帯や個人担当者ごとの統計データで、営業の生産性の改善に繋げることができる。

また、上司と部下の営業活動共有も、テキストメモではなく音声データの抜粋やダッシュボードになるため効率化する。

利用はユーザー課金型で月額4980円、1IDから利用が可能だ。その他に通話料とデータ保存料での課金をしており、平均1.3万円の利用料金となっている。日本の電話営業規模は3,3兆円と言われているそうだ。ユーザー数は800人を超えており、これまでに80万件のコールがされた。今後はAIによるアポ取りやクロージングの自動化、さらに営業以外の分野にも展開を視野に入れている。

恋愛コミュニケーションのアシストツール「Aill」

AIを活用した恋愛アシストツール「Aill」は、恋愛で傷つきたくない男女のコミュニケーションを円滑にする。解析できるメッセージはAillのアプリ内のみ。メッセージの内容をAIが読み取り、デビルとエンジェルが会話中に「いまはデートに誘わない方が良いよ!」「趣味を聞いてみたらどうかな?(^^)」とアドバイスする。男女の好感度もAIがウォッチングしてくれる。

開発にははこだて未来大学の松原仁教授や北海道大学の川村秀憲教授、東京大学の鳥海不二夫准教授などAIの専門家が携わっている。同社によれば、AIを無視した場合デートの成約率が23%に対してAIを活用すると成約率76%まで向上するそうだ。

同アプリは法人の福利厚生として提供しているため、導入企業に所属する個人のみが利用可能。5年後には利用者100万人規模、売上100億円を目指し、他業界への転用や海外展開を目指す。

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