WordPress.comの親会社Automattic、シリーズDラウンドでSalesforceから3億米ドルを調達——バリュエーションは30億米ドルに

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Image Credit: Paul Sawers/VentureBeat

Automattic は WordPress.com の親会社としての存在、そしてオープンソースの非ホスト型 WordPress への貢献がよく知られている。同社はシリーズ D ラウンドで Salesforce のベンチャーキャピタル部門 Salesforce Ventures から3億米ドルを調達した。

Automattic は2014年のシリーズ C ラウンドで1億6,000万米ドルを調達して企業価値が11億6,000万米ドルになったが、同社が海外から投資を受けるのはそれ以来初めてだ。今回の投資によって、Automattic の企業価値は30億米ドルになるという。

2005年に設立された Automattic は、基幹サービスである WordPress.com 以外にも様々なツールやサービスを提供している。例えば、同社が数ヶ月前に買収した Tumblr や、長文式コンテンツプラットフォーム Longreads、メモ取りアプリ Simplenote などがある。他にも、ドラッグアンドドロップ型のファイル共有プラットフォーム CloudUp、コラボレーション型翻訳ツール GlotPress、アンケート作成プラットフォーム Crowdsignal(元 PollDaddy)がある。

Salesforce、Automattic ともに互いのサービスの統合や製品の整理に関する計画を明らかにしていない。しかし、Automattic によると今回のニュースは資金調達以上のことを物語っているという。広報担当者は VentureBeat に次のように語った。

私たちは互いに協力して金銭以外のメリットを探っていきます。

行間を読み解けば、Salesforce がブログで有名な企業に多額の資金を投資した理由を知るのはそう難しくない。WordPress の現在のブログのシェアはウェブ全体の3分の1を占めている。すき間時間を使ってブログを書いている人から出版社、オンライン小売業者までもが WordPress を利用している。Automattic の製品ラインナップを見れば、Salesforce が投資した理由が見えてくる。

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顧客管理

数ヶ月前、Automattic は WordPress 用顧客関係管理(CRM)プラグインを開発する ZBS CRM を買収した。両社は以前、ZBS CRM を WordPress により緊密に連携させる計画を発表していた。Automattic は WooCommerce という e コマースプラグインも運営しているが、こちらも4年前に買収したものだ。WordPress と WooCommerce を使っているオンライン小売業者は CRM システムを使って顧客の管理をする可能性が高い。WooCommerce ユーザが自分たちのオンラインストアを CRM に接続できる拡張機能を ZBS CRM が提供しているのもそこが狙いだ。

さらに、複数のサードパーティ製プラグインが、WordPress ソフトウェアで構築されたウェブサイトと Salesforce をつないでくれる。

CRM システムを WordPress のウェブサイトに統合するメリットは明らかに大きい。そして CRM 市場で最大のプレーヤーこそが Salesforce なのだ。Salesforce はオープンソース分野でも実績がある直近では自社の Lightning Web Components の JavaScript フレームワークをオープンソース化している。ウェブにおける WordPress の立場はもともとオープンで拡張性が高いため、両社の相性も悪くなさそうだ。

Salesforce の社長兼 CPO(最高製品責任者)Bret Taylor 氏はプレスリリースで次のように語った。

当社から Automattic への投資と両社の提携によって、WordPress とオープンなウェブの世界に貢献できることを楽しみにしています。

Automattic の側からしてみると、今回新たに調達した資金で「ビジネスを拡大」することができる。また、WordPress.com や WooCommerce、Jetpack、Tumblr、プレミアムサービスの WordPress VIP といった WordPress の製品ラインナップへの投資を増やすこともできる。

今年 Marc Benioff 氏(Salesforce の CEO 兼共同設立者)に会いました。そこで、Salesforce と Automattic には共通する指針や哲学がたくさんあることがわかったのです。

Automattic の CEO で WordPress の共同制作者 Matt Mullenweg 氏は自身のブログで語っている。

Marc 氏は気配りのできるリーダーです。そして彼の感覚と目的意識は、ウェブをより良い空間にするという私たちのミッションと非常に近いものがあります。また、エンタープライズ市場における WordPress と WP VIP の大きなトラクションと今後の可能性にも気づかせてくれました。

9月19日の発表の数ヶ月前には、Automattic が Happy Tools と呼ばれる新たな製品スイートを導入している。Happy Tools は Automattic のように社員たちがリモートまたは世界中に散らばっている企業のために開発されたツールだ。Automattic には社員が出社するオフィスがなく、71か国で900人以上の従業員が働いているという。

Salesforce の投資は将来への自信の表れだと言えます。(中略

社員が各地に散らばって働くやり方は、働くチャンスが世界中に公平に広がることを意味します。

直近の投資ラウンドで Automattic は6億米ドル以上を調達している。以前から参加している投資家には True Ventures、Tiger Global Management、Insight Partners、Iconiq Capital などが名を連ねる。(Mullenweg 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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