
Image credit: Retail AI Institute
ホテルの料金設定支援サービス「MagicPrice」を提供する空(そら)は26日、一般社団法人リテールAI研究会流通部会において、電通と「ダイナミックプライシング分科会」を立ち上げたことを発表した。リテールAI研究会流通部会の会員企業の中から実証実験の参加者を募り、ダイナミックプライシングの小売店舗における運用可能性を検討するとしている。
リテール AI 研究会は、リテールにおける AI の活用に関する情報の共有を目的に発足した団体で、流通関連商材のメーカー、卸、小売販売を行うさまざまな業界の流通企業200超が参加している。空は以前から、宿泊業界以外の価格決定や料金最適化にも取り組んでいくことを明らかにしており、組む相手に応じて柔軟に対応するとしていた。その第一弾が小売業界ということになる。
リテール AI 研究会は2017年5月、電通時代に東京ミッドタウンなどの都市開発を手掛け、スマートレジカートを開発する Remmo を立ち上げた田中雄策氏らにより設立(現在、代表理事)。空は電通と共にリテールAI研究会に参加することで、電通の流通業界に関する知見を活用できるほか、必要時には電子棚札など価格表示デバイスの提供、必要時には電通テックの支援も受けられるとしている。
アメリカにおいては、リアルのリテールをオンラインリテールが侵食しつつある。この分野で圧倒的な存在感を示しているのが Amazon Go を持つ Amazon と言えるだろう。Amazon に対抗せんと Walmart がオンライン小売の Jet を買収。このほか、小売チェーン大手は何らかの形でダイナミックプライシングを取り入れるべく、革新的な技術や知見の確保に奔走している。
日本においてリアル店舗や流通業の AI 活用はまだこれからと言えるが、空のリテール AI 研究会への参画により拍車がかかることは期待できる。この分野では、家電量販大手のノジマやビックカメラが全店で商品表示をデジタル化した電子棚札を導入済または導入予定。ドラッグストア大手のウエルシアホールディングスやローソンも、消費期限が近づいた食品在庫の量に応じて値下げするシステムを試験導入している。
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