フリーランスと歩むランサーズ、創業者からのメッセージ

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ランサーのみなさんと一緒に上場式典の様子(提供:ランサーズ)

新しい働き方、人生の選択肢という課題に向き合ったランサーズが今日、上場する。秋好陽介さんは数年来の取材先であり戦友であり、友人だ。彼が今日という日に寄越してくれたメッセージをみなさんにも共有させていただく。

秋好よりメッセージ
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起業した2008年当時、上場なんて想像もしていませんでした。ただただ、インターネットで仕事が取引できるプラットフォームを作ったら超ワクワクする世界ができるんじゃないか、それを実現したいという純粋な気持ちしかありませんでした。

一方で、本日に至るまでの12年は全くもって簡単ではありませんでした。社長なのに月曜日に会社に行きたくなくて変なセミナーに参加して何とか気持ちを奮い立たせたり、成長だけを考えた結果として大切な仲間を大きく傷つけてしまったことも、社会に大きく迷惑をかけたことも、絶望の苦しみと悔しさで一睡もできず握りこぶしを握りすぎて手が血だらけになって朝を迎えたり、本当に色々な出来事が走馬灯のように浮かんできます。

全ての関係者の方々の努力の積み重ねの上に今日があるんだと心から感謝しています。本当にありがとうございます。

そして、ランサーズは本日(2019年12月16日)、東京証券取引所マザーズに上場することができました。実は、12月16日はランサーズの誕生日でもあり、フリーランスの日でもあり、そんな日に上場することができて本当に嬉しい気持ちです。

次のステージに進むことにワクワクしていますが「上場した今日という日」は、きっと過去の出来事となります。明日からは更に全力でビジョンの実現に邁進していきます。だからこそ、今日くらいは立ち止まって、今までを一度振り返り、ここから本当に何を目指すのか、なぜさらなる進化をするのか。改めて素直な気持ちを綴りたいと思います。

ユーザーの皆さんと一緒に作ってきた新しい仕事のカタチ

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鎌倉から移転し、初めて外部資本を入れた頃のLancers(2013年5月、筆者保存スクショ)

2008年にサービスリリースして一番最初の仕事依頼は「2009年の年賀状デザイン」でした。この仕事依頼をしていただいたクライアントさんに心から感謝を伝えたい。たった1つの依頼だったけど、この依頼のおかげで自分たちがやりたい世界の可能性は「0」じゃないんだって本当に安心できました。

2012年にユーザーランキング機能を変更した時、「今回の機能変更で自分は2ページ目に落ちる。それによって収入が減ると思う。自分だけのために機能改修をしてくれとは言わないが、ランサーズで生活している人が実際にいることを知って欲しい」とメールくれたランサーさん、本当にありがとうございます。

我々がパブリックになるべきだと心から決めたのは、このメッセージが最後の決め手でした。社会インフラのようなサービスにならないといけないと。

2016年にランサーズがとあるメディアの記事作成に利用いただいていた問題が発生し、社内では年末に対応を実施して、正直かなり暗い忘年会が終わりに差し掛かった頃のことです。

ランサーさんの有志の方々が「ランサーズへの手紙」として、「今は大変だと思うけど、一緒に頑張っていこう」と多くのビデオメッセージをくれた時、社員全員で号泣しました。自分たちは1人ではない。心から勇気をもらいました。ありがとうございます。

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毎年開催されるランサーの称揚イベント「Lancer of the Year」(写真提供:ランサーズ)

2019年には、とあるユーザーさんの結婚式に主賓で呼んでいただき挨拶をさせていただきました。その場ではクライアント企業の方も来ていただいており「ランサーズのおかげで社員以上のパートナーが見つかり感謝しています」と言われて、こちらこそ人生の晴れ舞台に立たせていただいて本当に感謝しています。

2019同年にも別のユーザーさんからも、ランサーズがあったから結婚を決意できたので婚姻届の証人にサインして欲しいと本社にいらっしゃり、実際にサインをさせていただきました。人生に携わらせていただく貴重な機会をありがとうございます。

今回の上場承認を一番喜んでくれたのはクライアントさん・ランサーさんといったユーザーの方々でした。本当にありがとうございます。僕たちランサーズが12年間、苦しいことが多かったですがやってこれたのはユーザーの皆さんが一緒にサービスを作り・新しい仕事の仕方にチャレンジをしてくれた結果です。

新たなスタートラインに立ち、更にプロダクトを磨いていきますが、これからも一緒に作っていけると本当に嬉しく思います。これからも、何卒よろしくお願いします。

チームブルー

ランサーズは2008年から2013年までの5年間は自己資金経営をしていました。ただパブリックになろうと決めてから本当に素晴らしい多くの株主の方々に支えられてきました。戦略から採用、広報、事業提携に至るまで株主の皆様の支えがなかったら今のランサーズはあり得なかったと断言できます。

なぜか偶然に株主の方のロゴが全部青、ランサーズも青。ランサーズの組織カルチャーも「青いよね」と言われがちだったので、チームブルーと言っていたりもしましたね。

そして本日の上場を迎え、新たに株主になっていただく皆様、ビジョンの実現に向け、ご期待に応えられるよう精一杯に頑張ってまいりますので、これから何卒よろしくお願いいたします。

世界で一番フリーランスを考える集団

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渋谷に移転したばかりのランサーズ(2013年7月、筆者撮影)

毎朝、渋谷のランサーズ本社の執務室のドアノブを押してドアが開けた瞬間、僕の中に感動があります。総勢200名を超える仲間が毎朝ランサーズで働いてくれている。フリーランスの方800名を合わせると約1000名の仲間がいる。変に聞こえると思いますが、感動と感謝がある。何もなかった時から今日を見たら奇跡にも近いと思っています。

たった2人で弟と始めた、プロダクトも何もなかった会社。社長経験もマネジメント経験も全くない2人が手探りで始めた会社が1つのミッション・ビジョンに共感し、本当に多くの仲間が集ってくれ、一人一人の本気の積み重ねによって今日ができたんだと思っています。

正直にいうと、人と話すのも前に出るのも苦手で、できるだけ少人数で人と話さなくて良いように会社をやりたいとすら初期は思っていました。今では最高のチーム、最高の仲間がこんなにもたくさんいて、みんなと話すのが本当に楽しくワクワクして会社に行っています。引きこもり気味だった僕をこんなにもオープンにさせてくれてありがとう。チームで成し遂げることがこんなにも最高と気づかせてくれてありがとう。

そして今日からは大きな船出だと思っています。もっともっとプロダクトを磨いていかないといけない。新しい事業についても考えていかないといけない。最高のプロダクトは最高のチームからしか生まれない。

日頃よく話していますが、僕らランサーズがGoogleにも負けないもの。それは「世界で誰よりもフリーランスという新しい働き方のことを本気で考えている集団」だということ。こんなにも毎日新しい働き方の実現ばかりを会話している集団は僕ら以外にいないと思います。なので、その責任として、是非一緒にさらなる最高のプロダクトを作りましょう!

家族の支えとともに

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ランサーズ共同創業の秋好兄弟(写真は秋好氏のFacebookより)

高校を卒業して大学に行くつもりが突然行かないと言い始め、卒業後に無職ニートを2年間していたり。大学にいきなり入ったかと思えば、授業に全然行かずに引きこもってインターネットばかりしていたり。突然東京での就職を決めたり、就職したかと思ったら起業したり。

きっと家族のみんなが思う期待通りの僕じゃないし、理想の息子からも本当に程遠かった20年だと思うけど、一切何も言わずにいつも選択を応援してくれて、いつもそっと見守ってくれてありがとう。絶対に応援してくれる家族の存在は本当に大きな支えてになっていました。

会社には弟もいるんだけど、実は最初は家族経営っぽく見られるのが嫌で弟というのも隠していて、弟にも本当に申し訳なかったと思う。3カ月手伝う予定が12年間も一緒にエンジニアとして支えてくれて本当にありがとう。色々と厳しい経営環境の中でも、会社に創業者&弟がいるというのは難しいところもあったけど、どの会社にもないランサーズの強みになっていると思っています。

さらなるワクワクを目指して

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社員とランサーの「チームブルー」(写真提供:ランサーズ)

ビジョンの実現に向けて、さらなる大きなチャレンジをするため、今回上場をさせていただきます。日本で大きく変わる働き方。個人のパラダイムシフト。そこに対してテクノロジーで非連続に価値提供をしていきたいと思っています。

まだまだ若輩者ですが、12年を振り返ると憂鬱な困難も色々とありますが、今思うとやって来たのは理想世界と現実世界のギャップのすり合わせでした。

新しいサービスで中々受け入れてもらえなければ現実世界で一番近いものに変換してサービス提供をしてみる。

秋好という個人の価値観からは到底受け入れられないような価値観も一度飲み込んで相手の立場に憑依して理解しようと努力し続ける。

自分には全く訳がわからない理由で否定されても、むしろ否定が正しいというスタンスから自分を見つめ直してみる。

絶対に正しい何かがあるのではなく、自分の正しさなんてないと決めて素直に柔軟に、結果の正しさにだけ向き合い続けた10年でした。 正直なところ憂鬱なことが8割でした。

困難ばかり起こる起業・自分を否定し続ける日々は本当に辛く夜眠れない日々も多く・悔しすぎて握りしめた手から血がにじみ出るという漫画のようなことが起こったり、自分でもなぜこんなに辛いのにやり続けられるんだろうと思うことすらありますが、ただ一つ言えるのは、そんな困難を一瞬で消し去るくらいのワクワクする夢がある、ということです。

「ランサーズがあったからあの辛い状況でも仕事を得られて生活できた」「ランサーズがあったからフリーランスになり自分らしく幸せに暮らせている」「ランサーズで生活しているから仕様を変えないでほしい」「ランサーズは俺の人生なんだ社長」

そう言ってもらえるのが嬉しすぎて、社会に大きなインパクトを与えるサービスにしたくて、想いと現実のユーザーさんの言葉を支えに12年やってこれました。いつの間にか自分の心の辞書に「諦める」という選択肢はありませんでした。

上場という新しいステージに立てること、チャレンジさせてもらえること心から嬉しく思っています。

これからも、初心を忘れず、社会や責任と向き合って企業価値向上に努めて参りたいと思います。皆様のご支援のほど何卒よろしくお願いいたします。

ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 秋好陽介

本稿は今日、上場を果たした「ランサーズ」代表取締役、秋好陽介氏によるもの。Twitterアカウントは@AkiyoshiYosuke。彼らと新しい一歩を踏み出したい人はここからコンタクトされたい。