フィリピンAyannahとインドECAPS、共に銀行口座を持たない人々に金融を提供する両社が事業統合——シリーズBで3,000~5,000万米ドル調達へ

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Image credit: Aynnah / ECAPS

フィリピンを拠点とするデジタル金融サービスプロバイダ Ayannah と、インドを拠点とする決済会社 Electronic Cash and Payment Solutions(ECAPS)の合弁会社として、Ayannah Global(AG)が設立された。新会社 AG は、シンガポールに本社を置き、南アジアと東南アジアの成長する中産階級に「手頃な価格でアクセス可能なデジタル金融サービス」を提供することを目指す。AG は、Miguel Perez 氏と Praveen Suri 氏が共同 CEO を務める。

拠点をシンガポールに選択したことで、インド、インドネシア、フィリピン、そして間もなくベトナムなどの市場への AG の拡大計画を実現しやすくなると、同社はプレスリリースで述べている。合併後の事業体は現在の製品群を拡大し、B2B デジタル金融サービスプロバイダーになることを目指す。さらに、AG は、銀行界のベテラン Ray Ferguson 氏を取締役会長に任命したとを発表した。

Ferguson 氏はスタンダード・チャータード銀行のアジアおよび中東部門で上級職を務めるなど5大陸で30年以上の経験を積み、台湾、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)、北南米、シンガポールでは CEO を務めた。また、過去にはバーレーンのアラブ銀行グループ(Arab Banking Corporation) でグループ・チーフ・バンキング・オフィサーを務めた経験を持つ。

AG はフィリピンで、中流階級の顧客・中小企業家⇄銀行・金融機関・保険会社をつなぐデジタルマーケットプレイス「Kaya」を立ち上げ、今年後半にはインド、インドネシア、ベトナムでもサービスを開始する予定だ。合併後の新会社は、まもなくシリーズ B ラウンドを開始する予定で、調達目標額は3,000万~5,000万米ドル。これまでに Ayannah と ECAPS は、Wavemaker Partners、Golden Gate Ventures、500 Startups のほか、アジア各地のファミリーオフィス複数から出資を受けている。

新型コロナウイルスの感染拡大の結果、オープンバンキングとオムニチャネル配信プラットフォームに対して、特に、デジタルサービスの迅速な展開を必要とする銀行、貸金業者、保険業者からの需要が増えていると AG は認識している。

2010年に設立された Ayannah は、新興の中間層に金融サービスを提供する AI 技術プラットフォームで、インド、フィリピン、インドネシア、ベトナムに顧客を持ち、地域を超えて大きな存在感を示している。同社の AI 技術は、決済、送金、保険、遠隔医療に至るまで、金融やライフスタイル商品やサービスを包括的に提供するために設計されているとしている。Ayanah の商品には、アクサと提携した病院収入保険プラン「PanaloCare」があり、被保険者が入院した際には毎日の副収入が得られるよう支援する。

一方、インド・バンガロールを拠点とする ECAPS は2013年以来、インド国内の移民や銀行口座を持たない人々の需要に対応してきた。同社は、インドの新興中産階級の消費者向けに、国内送金、公共料金支払、通信料のリチャージ、旅行券の発券サービスなど提供している。

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【via e27】 @e27co

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