iPhone12・MagSafe復活:「完全ワイヤレス」への道の始まり(1/5)

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Apple Watchのマグネット充電ケーブルとMagSafeクリアケース、AppleのiPhone用MagSafe充電器。Image Credit:Jeremy Horwitz/VentureBeat

2020年も待望の終わりに近づく中、ワイヤレス充電技術はそれなりに一般的になり、ある程度手頃な価格となった。従来の電源ケーブルをいじくり回すよりも遥かに便利だ。消耗したスマートフォンやウォッチ、Bluetoothイヤホンを12ドル20ドルの誘導充電パッドの上にポンと置くだけで、数時間後にはフル充電したものを手に入れることができる。

しかし、ここにきてワイヤレス充電は混乱を巻き起こそうとしている。そして意外に思うかもしれないが、Appleはその混乱の中心いるのだ。

先週、AppleはUSB-Cに取って代わられる前のMacBookに搭載されていた、あの磁気充電コネクタのトレードマーク「MagSafe」の名前を復活させた。電源につまずくことを心配していたコンピュータユーザーにとって、MagSafeは磁石で簡単に外れるにも関わらず、電源プラグのフルスピード充電を約束してくれる、まさに衝撃的な存在だった。

そして今、iPhone用のMagSafe充電器が登場したのだ。ーーびっくりするぐらいデカい金属とプラスチックのパックで、ある一定の条件下であれば特定のiPhoneにおいて充電速度と利便性の両方を約束してくれる。もちろん価格もプレミアムだ。

私の情報筋によると、2020年後半に実施されたMagSafe公開は、iPhoneが2021年に従来のコネクタから離れていくための第一歩になると考えられる。この動きはライバルたちがここ数年に示したものを追随したものになる。ここで予想されるのは、スマートフォンユーザーたちは今後このチャージプレートを探すよりも、ここにあるケーブルの方を気にし出すということだ。一方、完全ワイヤレス充電への移行は、どの企業にとっても、そして少なくともAppleにとってスムーズなものではない。

ではここからその理由を書いてみたいと思う。

5年以上の歳月をかけて

手始めとしてまず、2006年のMacBook版MagSafeを振り返ってみるのがいいだろう。実際にAppleは初代Apple Watchで完全ワイヤレス充電とデータのテスト始めている。2014年に発表され、2015年にリリースされたこのデバイスは、電源に磁気充電ケーブルを使用し、データ転送にはBluetoothとWi-Fiの組み合わせを使った。

AppleがUSBや独自のオールインワンコネクタを代替品として使用していなかったことについては誰も深く考えておらず、結果として理想的な充電速度とデータ転送速度には満たなかった、ということが判明した。

その後の技術革新により、Watchは磁気パックを使ってより速く充電できるようになり、Wi-FiやBluetoothのアップデートでデータをより速く送受信できるようになった。しかし同じような理屈で、iPhoneの電源コードやデータコードをカットするのは簡単なことではない。ワイヤレスの速度が有線のオプションに追いつくまでには時間がかかったのだ。

現時点で存在するものは、少なくともいくらかのユーザーにとって気にならない程度のものにはなった。というのも、以前のiPhoneは18ワットの有線充電をサポートしており、新しいiPhoneは15ワットのMagSafeワイヤレス充電をサポートしたからだ。

USB 3.0は最大5Gbpsの有線転送速度を約束しているが、Wi-Fi 6は1~5Gbpsのワイヤレス転送速度を約束しており、5Gセルラーネットワークはギガビット速度を自慢し始めるようになった。一方、Bluetooth 5は2Mbpsのバックアップデータ送信方法として機能する。一般的に言えば、ワイヤレス技術は移行の準備ができた、と言えるのだ。

ここの変遷については議論の余地がある。ある一部のユーザーはApple独自のLightningコネクタでやるのが大好きだろうし、他方、完全ワイヤレスでどうしてもやりたい人もいるだろう。またまた、iPhoneがUSB-Cコネクタに切り替わることを望んでいる人もいる。Androidみたいに。

しかし、だ。Appleは今回の件で静かに、USB-Cの採用よりも完全にiPhoneのコネクタを離れることを示したのだ。その方向性は明らかにワイヤレスへの道を指し示していると考えている。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

 

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