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世界中で8割の建設プロジェクトが予算を上回り、2割のプロジェクトが予定より完成が遅れているという。建設途中で施工内容に誤りが見つかり手戻りが発生することも、そういった問題を誘発する一因だ。これらの問題を解決するため、業界では BIM(Building nformatioon Modeling)という技術が採用されるようになっている。建物の 3D モデルにメタデータを追加した建築物のデータベースを連携、建築設計、施工、維持管理までのあらゆる工程で情報活用するためのソリューションだ。
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Onesight Technology(以見科技) は BIM を開発・提供するスタートアップ。屋内では SLAM、屋外では高精度 GPS により正確な計測を実現、AR(拡張現実)モデルや IoT との組み合わせにより、建物の建築・施工・維持管理の見える化を改善し、問題箇所については自動的にプロジェクトオーナーに通知する機能も有する。2019年の SLUSH 上海で優勝。日本・中国・シンガポールで事業展開しており、日本では竹中工務店や住友商事と協業。住友商事の投資部門や Plug and Play China から出資を受けている。
【マイクロソフト賞】Brain Pool Tech from シンガポール(ファイナリスト外から選出)
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Brain Pool Tech は、ドローンから得られた地図データ、各所に配置されたセンサーから得られたデータ、GPS の人流データなどから、バターン認識や分析により、将来起きうる出来事のリスクや可能性を予測するスタートアップ。得られた知見の用途はさまざまで、物流の最適化、災害リスクのスコアリング、建設作業の効率化など、社会や業務の改善に役立てることができる。2019年に設立され、シンガポール国立大学のインキュベータ「GRIP」に採択された。
Endimension Technology は、レントゲン画像の AI 診断に特化したソリューションを提供。機械学習でレントゲン画像の異常箇所を認知し指摘することができる。インドの4病院、アメリカの1団体、インドの3つの診断センターと提携し、1,400万枚の画像を AI が学習。AI as a Service として、遠隔診断をサブスクリプションモデルで提供する計画。
【日本ベンチャー学会賞】Mantra from 日本
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【IP Bridge賞】Chronoptics from ニュージーランド(ファイナリスト外から選出)
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Chronoptics は、飛行時間(Time of Flight)深度センシング技術(光を対象物に向けて照射し反射して戻ってくるまでの時間の違いを元に画像w生成する技術)を用いた 3D カメラソリューションを開発。ピクセルと点群データの間のギャップを埋め、利用シーンに有ったソリューションを提供する。用途はゲーム、家電、自動車、セキュリティ、産業オートメーションまで多岐にわたる。
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Opsis は、映像を使って、顔の表情から感情分析をリアルタイムで行う「Emotion AI」を開発。コロナ禍でテレエデュケーション(遠隔教育)やテレメディシン・テレヘルス(遠隔医療)の利用が増える中、現場の教師・ソーシャルワーカー・医師などからは、生徒や患者の感情を理解するのが難しいとの声が多い。Emotion AI は、映像越しでも相手の感情を客観的に評価するのに役立つ。
2D のカメラ映像を用いて、心理円環モデル(psychology circumplex model)で感情分析を行なっている企業としては世界で唯一だという。一般的に、感情分析では、驚き・悲しみ・恐れ・中立・不快・怒り・幸せという7つの基本ラベルを使うのに対し、Emotion AI では64,000種類の感情パターンを検知可能。民族や文化が影響する表情の違いをも吸収し、対象がアジア人でもヨーロッパ人でも正確に EQ 分析できるという。NTT や富士通らと協業している。