アパレル小売店がリスクフリーで仕入できる「homula」運営、1億円をシード調達——ニッセイC、HIRAC FUNDらから

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Image credit: Homula

アパレル小売店・ブランド向けのオンラインマーケットプレイス「homula」を運営する homula は31日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドには、ニッセイ・キャピタルと HIRAC FUND が参加した。なお、調達金額にはデットが含まれる。homula は、ニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーションプログラム「50M」の第3期に採択されており、今回の調達はその結果を受けてのものと推定される。

homula は2019年、筑波大学大学院を修了し、以前はバークレイズ証券で金融商品の開発に携わっていた福地峻氏により設立(設立当時の社名は SUSQ)。小売店舗、特に、アパレル店舗のバイヤーがブランドを探して商品を仕入れることができるマーケットプレイスを運営している。コロナ禍で展示会に代表される顧客の開拓チャネルが減っているブランドにとっては、新たなバイヤーに出会える機会が提供されることになる。

委託販売ではない売り切りの場合、初回取引は即金でやりとりすることが一般的だ。ブランドにとって販売した商品の掛け売りリスクは軽減されるが、一方で、仕入れた方の店舗にとっては、初めてのブランドの商品だけに「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という心配はつきまとう。したがって、売れ筋や既存取引のあるブランドの商品は仕入れやすいが、新規参入やニッチブランドは取引しにくい傾向にある。homula では売れなかったものを店舗から引き取る保証をつけることで、店舗に安心な仕入をコミットする。

福地氏の前職の経験からも想像がつくように、homula が提供するのはある種のフィンテックだ。福地氏によれば、アパレル業界は数ある小売の中でも仕入れてから売れるまでのタイムスパン、すなわち、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)が長い。その上、中小事業者が多く、店舗を構えているために比較的多額の資金が必要にもかかわらず、先進的な金融ソリューションからは取り残されているという。homula では AI を使った評価やファクタリングの活用などで〝在庫リスクの肩代わり〟を行う。

この分野のスタートアップを見てみると、アメリカでは Square 従業員らが2017年に立ち上げた Faire が創業から2年でユニコーンクラブ入りするなど驚異的な成長を見せている。日本では、スペースエンジンが D2C やオンラインブランドに特化した卸入れサイト「orosy(オロシー)」を昨年ローンチ、「STORES」「BASE」「Shopify」「カラーミーといった個店向け EC プラットフォームと連携し業績を伸ばしているが、homula が主にリアル店舗をターゲットとしている点で差別化が図れているかもしれない。

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