スキルマーケットプレイス「ココナラ」を運営するココナラ(東証:4176)は8日、都内で記者会見を開き CVC「ココナラスキルパートナーズ」を設立することを明らかにした。目標とする最終的なファンド規模は10〜15億円で、チケットサイズは数千万円程度になると見られる。主にアーリーステージの起業家を支援する。対象スタートアップのバーティカルは問わない。
CVC は設立元の本業との事業シナジーを模索することが多いが、このファンドはココナラとの事業連携を目指すものではない。ココナラは GP を務めるが出資せず、LP のみの出資金のによってファンドを組成する。他 VC らとの協調投資が前提で、LP の中には VC が多く含まれるだろう。LP の名前は開示されていないが、千葉功太郎氏は LP 出資していることを明らかにしている。
このファンドが特徴的なのは、10人のスキルパートナーズ(スキル保有者)が出資先を支援する点だ。スタートアップの業態やそのタイミングで求めているものに合わせて、スキルパートナーが相談に乗りスタートアップを支援する。ファンドの GP であるココナラの運用報酬は LP の了解を得て一般的なファンドより多めに設定してあり、この増分が支援したスキルパートナーに充当される(下図)。
会見で登壇した、ココナラ代表取締役会長の南章行氏は、「成功の可能性がありつつも資金調達が容易でない、スキルを持った人材が社内にいない、外部から知見を得ることが容易でないスタートアップの立ち上がり期を支援することで、業界の発展につながる」とこの事業の意義を協調した。「あらゆるスキルの可視化とマッチングを行いたい」というココナラのミッションにもつながるという。
ファンド設立時点でスキルパートナーに就任したのは次の方々。
- サービス/UX デザイナー ……… 深津貴之氏(THE GUILD、ピースオブケイク CXO)
- プロダクトマネージャー ……… 坪田朋氏(クラシル CXO)
- ソフトウェアエンジニア ……… 柄沢聡太郎氏(スターフェスティバル執行役員 CTO、クラフトビールレストラン「P2B Haus」経営
- ソフトウェアエンジニア ……… 渡辺洋司氏(サイバーセキュリティクラウド代表取締役 CTO)
- 営業コンサルタント ……… 高橋浩一氏(TORiX 代表取締役)
- 事業開発/海外進出 ……… 迫俊亮氏(メルカリ執行役員)
- PR/ESG コンサルタント ……… ⻫木愛子氏(代表取締役 CEO、PRAS 取締役)
- SEO 専門家 ……… 渡辺隆弘氏
- 弁護士 ……… 増島雅和氏(森・濱田松本法律事務所パートナー)
- 人事コンサルタント ……… 曽和利光氏(人材研究所代表取締役社⻑)
なお、ディールソース、デューデリジェンス、ファンドの資金調達などは、南氏や LP 参加する VC や投資家らが主体となって行うものと見られる。南氏はココナラを創業する前、PE ファンドのアドバンテッジパートナーズで7年間にわたり企業買収を担当していたことがある。
また、ココナラスキルパートナーズは、同ファンドの第一号案件として、アメリカを拠点に和菓子の D2C ブランド「MISAKY.TOKYO」などを展開する Cashi Cake inc. のシードラウンドに出資したことを明らかにした。同ファンド単体での出資金額は明らかにされていない。本内容については別記事で詳報する。
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