ウェルネス業界向けSaaS「hacomono」運営、38.5億円をシリーズC調達——フィンテック事業に参入へ

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Image credit: hacomono

フィットネスクラブ・公共運動施設・スクールなどウェルネス産業向けの会員管理・予約・決済 SaaS「hacomono」を開発・提供する hacomono は18日、シリーズ C ラウンドで38.5億円を調達したと発表した。このラウンドは Coral Capital がリードし、Cygames Capital、GMO VenturePartners、THE FUND(シニフィアンとみずほキャピタルが運営)、ALL STAR SAAS FUND が参加した。調達額には、あおぞら企業投資、静岡銀行、東京スター銀行、名古屋銀行からのベンチャーデットが含まれる。

これは、hacomono にとって、2022年3月に実施したシリーズ B ラウンドに続くものだ。ALL STARS FUND は、hacomono(当時の社名は、まちいろ)のシードラウンドシリーズ A ラウンド、シリーズ B ラウンドに続くフォローオン、Coral Capital と THE FUND はシリーズ B ラウンドに続くフォローオン。今回の調達を受けて、累積調達額は64.5億円に達した。同社では調達資金を使って、IoT の活用や、そのためのハードウェアの研究開発、フィンテック事業への投資、人材の採用や組織力強化を行う。

hacomono は月謝で運営する店舗の入会や予約、各種決済、会員管理など一連の手続きをまとめたクラウドサービス。フィットネスクラブを運営する上で必要な紙の手続きなどを効率化し、スタッフの業務量を削減する。2019年3月にスタートしたサービスの導入店舗数は今年4月時点で3,000店舗、同サービスを通じた毎年の決済金額の合計は227億円に達した(以前は月の決済金額を公表していた)。創業者で CEO の蓮田健一氏によれば、店舗の閉店などを除き、解約ほぼゼロの状態をキープできているという。

フィットネスに通う人の中には長続きしない人もいる。キャッシュレス化が進んでいない業界で、受付で時間をかけて口座振替の手続をするにも面倒。これが、一度退会した後に再び入会してみようか、と考えづらくする一因になっている。ネットフリックスのように、簡単に入ったりできるような手軽さがない。オンラインサブスクの便利さをリアルのサービスにも届けたい。(蓮田氏)

今後、成長すると考えられる「対面&役務の E コマース化」を hacomono は主導するというのだ。今回新規に参加した投資家の一つである GMO VenturePartners とは、hacomono が新たに参入するフィンテック分野で協業する。具体的には、フィットネスクラブなど施設に対するトランザクションレンディング(従来からの財務情報をもとにしたものではなく、日々の取引データをもとに借入条件を決定する融資形態)や、業務委託なども多い施設で働くスタッフに対する報酬前払サービスなどだ。

前者については、オンラインサブスクや SaaS でいう RBF(売上連動型金融)をリアルでやるようなサービスだ。施設は従来の金融機関よりも柔軟な方法で店舗拡大や施設充実のための費用を調達することができる。後者については、すでに我々が知る「助太刀 Pay」や「タイミーのお給料前払い」的なものと考えればいい。具体的な仕様はまだ先だが、Web やアプリから業務委託スタッフが申請すると、振込や提携 ATM で本来の支払日より先に報酬が受け取れるような仕組みが期待される。

施設では、現場の採用力を上げたいと考えている。hacomono を導入することで、業務委託のスタッフは(会員入会などを扱う)事務手続の煩雑さから開放され、本来、自分が得意とするとトレーニングやアドバイスの仕事に集中できるようになり、モチベーションも高まる。(蓮田氏)

hacomono では、フィンテック領域を含めた新規事業によりソリューションの提供を強化し、公共運動施設を含めたウェルネス施設へのキャッシュレスを拡大することで事業領域を広めていく。また、中長期的には、少子高齢化や健康増進、地域活性化、学校部活動問題など、地域課題解決のためのスポーツによる地方創生、まちづくりに貢献し、ウェルネスによる社会実装を推進していくとしている。

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