WordPress は、ユーザのブログ記事の作成と編集を支援する、独自の AI を搭載したライティングアシスタントを発表した。「Jetpack AI Assistant」と呼ばれるこの新しいツールは、WordPress.com ですぐに利用できるようになり、エディターインターフェイスにシームレスに連携される。

また、他のプラットフォームでホストされている WordPress ブログを持つユーザは、Jetpack プラグインを利用することで、このツールにアクセスすることが可能だ。

このアシスタントは、OpenAI の大規模言語モデル（LLM）チャットボット「ChatGPT」と同様のジェネレーティブ AI 技術を採用している。ただし、同社のブログ記事には、AI アーキテクチャに関する具体的な情報は記載されていない。

Jetpack は、従来の Jetpack と同様に、ユーザのプロンプトを利用してコンテンツを生成する。また、AI アシスタントは、特定のトーンやスタイルに合わせてテキストを調整・改良することができるため、ライターはターゲットとなる読者の心に響く文章を作成することができるようになる。

Jetpack AI Assistant は現在、英語、ヒンディー語、スペイン語、フランス語、中国語、韓国語を含む12言語をサポートしている（編注：日本語も含まれる）。このツールは、サポートされている言語間のシームレスな翻訳を促進しながら、スペルや文法のエラーを自動的に修正することを主張する。

WordPress と Jetpack AI Assistant を提供する Automattic は、この機能により、ライターが母国語でコンテンツを作成する力を与え、なおかつ、異なる言語でのコンテンツマーケティングを可能にすると考えている。

ジェネレーティブ AI を活用し、パーソナライズされたコンテンツを届ける

同社は、このツールを「クリエイティブライティングパートナー」と位置づけ、ユーザが簡単に多様なコンテンツを作成できるようにし、コンテンツ作成プロセスを大幅に効率化するとしている。

Jetpack AI Assistant では、ブログ記事を見出しにまとめたり、フォーマル、挑発的、ユーモアなどのオプションを選択して文章のトーンを調整することができる。

ユーザが投稿を書くことを好む場合でも、Jetpack AI Assistant を使用して、ユーザが書いた文章をもとに見出しを生成することが可能だ。

さらに、このアシスタントは、高度なスペルや文法の修正機能を提供することで、WordPressの標準的な内蔵ツールを凌駕していると同社は主張している。

WordPress がこのジェネレーティブ AI 機能を導入したことは、企業が業務の自動化やコンテンツ作成に AI 搭載のアシスタントを取り入れるという一般的なトレンドとよく一致している。特に、OpenAI の AI モデルは、Grammarly の GrammarlyGo や Microsoft Wordなどの Office365 製品など、さまざまな企業で急速に採用されている。

ユーザは、Jetpack AI Assistant の無料ブロックトライアルを利用することができ、最大20件のリクエストを行うことが可能だ。ただし、その後も継続して利用するためには、月額10米ドルの利用料が必要となる。

変化する技術文化におけるコンテンツ開発の未来

WordPressのニュースを受けて、WebOps プラットフォーム「Pantheon」の共同創業者兼最高戦略責任者 Josh Koenig 氏は、大規模言語モデル（LLM）の時代には、テキストや画像のコンテンツを生成する能力が不可欠になったと述べた。

AI はコンテンツ制作を大きく加速させるが、コンテンツクリエイターを完全に置き換えることはできないとした。

平均的・中庸的なコンテンツを大量に生産することが事実上自由になる世界において、それを突破するような本当に優れたものを作るためには、人間の創造性、そして洞察力が依然として必要となります。AI が個々のインサイトをまとめる作業をより多く担うことで、クリエイターの仕事はより面白く、より戦略的になっていくでしょう。純粋なオペレーション業務がどんどん自動化されていくので、クリエイターはスキルアップが必要になります。人間の付加価値は、創造性と意思決定にあるでしょう。（Koenig 氏）

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】