バクラクビジネスカード、2年で発行枚数20倍に成長ほかーー1週間のスタートアップ40社+動向まとめ【Weekly HOT100/8月19日週】

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はじめに:スタートアップの週次報告開始します

今年の4月から開始したスタートアップの活動状況を可視化したチャート「BRIDGE HOT100」ですが、今週から毎週、掲載されているスタートアップの具体的な話題をまとめてお送りする連載を開始いたします。8月はチャートに掲載された717社からこちらの条件に合致した97社を対象に、前週の活動状況をテーマや事業領域などでまとめていきます(※文末にお詫び掲載)。

なにこれ?なんでやるの?:スマートフォンシフトという大きなパラダイムが2010年代に始まり、国内でもテック・スタートアップが数多く立ち上がりました。当時はまだ珍しいこともあり、メルカリや BASE 、マネーフォワードなど各領域ごとに「by name」でトレンドを追いかけられる粒度でしたが、10年経過すると数も多くなり、全てを把握することが難しくなっています。

そこで、BRIDGE では、特に事業活動に注目したチャートを作り、そこから絞り込んで「動きのある」スタートアップの話題をまとめることにいたしました。活動状況は主に企業の PR 活動(プレスリリース中心)を数値化して計測しています。例えば今回、対象となっている97社が3カ月で配信したリリースの数は764本で、5月が288本、6月が328本、7月が387本でした。

この連載では前の週(今回は8月19日から25日)の1週間に HOT100 の対象企業が発表した内容を中心に、40社以上の新製品やアップデート、導入、人事組織、エンタメなどに話題を分けてまとめています。1週間分なのでちょっと長いですが、見出しで気になる箇所だけ読み飛ばしつつ、活発に動いているスタートアップの定点観測にお役立ていただければ。

急成長中のバクラクビジネスカード、2年で発行枚数20倍に

プレスリリース:バクラクビジネスカード、2周年。発行枚数は昨年比20倍以上に成長し、従業員へ安心して配付できる法人カードに

8月、複数の企業が自社サービスの機能アップデートや拡充を発表し、顧客体験の向上と業務効率化を推進している。今週の注目は LayerX のバクラクビジネスカードだ。

同サービスはリリースから2周年を迎え、発行枚数は前年同月比で20倍以上に増加した。リリースによると特に、東京以外の地方への展開も加速しており、約4割が東京以外の顧客となっている。三重県桑名市や中日ドラゴンズ、トヨタカローラネッツ岐阜などの行政や企業をはじめ、タイミーや note といった上場企業に至るまで幅広い顧客に導入されている。

さらにカードと連動した法人支出管理サービス「バクラク」では、複数の新機能が追加された。「バクラク申請」内の「汎用申請」において、アップロードしたファイルの必要項目が自動で読み取り・入力される AI-OCR 機能を追加した。これにより、あらゆる業務領域の申請の手入力の手間・ミスの削減を実現する。

また、バクラクビジネスカードでは、「決済先限定機能」において、決済可能な取引先を複数設定できる機能をリリースした。これで一枚のカードに複数の取引先を指定できるようになる。さらに、「決済先限定機能」において設定可能な取引先が70以上に増加した。これらによって、決済先を設定する際の柔軟性が増し、安全を担保したまま、これまで以上に便利にバクラクビジネスカードを利用できるようになった。

急成長筆頭株、LayerX の話題からは眼が離せない。

プレスリリース:SmartHRのスマートフォン向けアプリが50万インストール(※1)を突破。ノンデスクワーカーやパートタイマーが活躍する組織の業務効率化や生産性向上を後押し

一方、もうひとつ国内を代表するスタートアップ、SmartHR が運営するクラウド人事労務ソフト「SmartHR」のスマートフォン向けアプリが、50万インストールを突破した。このアプリにより、従業員はスマートフォンから SmartHR を利用できるようになり、人事・労務担当者からの手続き依頼やお知らせの見逃しが低減され、社内の円滑なコミュニケーションが実現できる。特に、パソコンに触れる機会の少ない方や移動の多い方、シフト制で働く方など、ノンデスクワーカーやパートタイマーが活躍する企業で導入が進んでいる。

アプリの導入傾向分析によると、宿泊・飲食業や卸売・小売業、サービス業といったパートタイム・アルバイトが多い業種や、医療・福祉業、運輸・郵便業、製造業など全国に複数の拠点があり、現場仕事を担うノンデスクワーカーが活躍する業種で積極的に導入されている。

プレスリリース:クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」が国土交通省より「令和6年度推奨技術」に選定

アンドパッドは、クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」が国土交通省より「令和6年度推奨技術」に選定されたことを発表した。これにより、公共工事等での採用時に加点されるなど、さらなる普及が期待される。

また 施設関連の管理クラウドを提供する hacomono は、スクール向け機能の大型アップデートを実施し、サッカー、バスケ、ダンス、体操スクールの運営をデジタル化でサポートする。このアップデートにより、生徒数が2倍に増加した事例も報告されている。一方、カラクリは、 AWS ジャパンの「生成 AI 実用化推進プログラム」のパートナーに認定された。これにより、企業や行政の LLM (大規模言語モデル)活用を支援し、 AI ・ LLM 事業部においてさらなる技術革新を進めていく。

今週の新製品・新サービス

ルームクリップ、ハウスメーカーや家具・日用品メーカーなどの住領域業界向けにマーケティング調査のパッケージメニュー「RoomClipリサーチ」の提供を開始

ルームクリップは8月21日、住領域業界向けにマーケティング調査のパッケージメニュー「RoomClipリサーチ」の提供を開始した。このサービスは、同社が運営する住まいと暮らしに特化したソーシャルプラットフォーム RoomClip の膨大なデータを活用し、マクロな分析やユーザーへのインタビュー、アンケート調査、スポットヒアリングを組み合わせて実施するもの。

RoomClipリサーチは、費用対効果に優れた商品として設計されており、生活者への理解を深め、商品開発やマーケティング活動に活用できるとしている。同社は現在、写真枚数が600万枚を超える日本で最も「実際に人が生活している部屋の写真とデータ」が集まっているサービスを運営しており、そのデータを活用することで、より精緻な分析が可能になるとしている。

【健康経営を推進するお菓子の福利厚生サービス】スナックミーオフィスから従業員をいたわるヘルシーグラノーラを取り扱った新コースが誕生

スナックミーは8月21日、お菓子の福利厚生サービス「スナックミーオフィス」から新たにグラノーラコースを追加した。このコースでは、「ギルトフリークランチ」と呼ばれる罪悪感のない特製おやつを提供する。スーパーフードを豊富に含み、無添加で作られたグラノーラは、健康意識の高い従業員にも適しており、朝食の代替や軽食、外出時の小腹満たしにも利用できる。グラノーラは4種類のフレーバーがあり、トロピカル、カカオ、抹茶カシュー、アップルシナモンと多様な味が楽しめる。

同社はこのサービスを通じて、企業の健康経営を支援し、従業員の健康維持・増進に寄与することを目指している。スナックミーオフィスは、月額利用料、初期導入費、更新費、送料、備品がすべて無料で、手間とコストを抑えて導入可能な点が特徴となっている。

ちょっと気になった調査リリース

「2026卒<東大生> 新卒就職人気企業 夏期ランキング」を発表 ミキワメ就活調べ

採用関連ではリーディングマークが運営する新卒採用支援サービス「ミキワメ」が、「2026卒<東大生> 新卒就職人気企業 夏期ランキング」を発表した。この調査結果から、最新の就職市場動向や学生の意識変化が見て取れる。

ランキングによると、人気業界の1位はコンサルティング・シンクタンク、2位は総合商社となっており、前年から順位が逆転した。企業別では三菱商事が1位、三井物産が2位を維持している一方、コンサルティング業界では野村総合研究所、ボストンコンサルティンググループ、 PwC コンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどが順位を上げている。

また、 IT 、金融、官公庁の人気が上昇している一方で、食品、不動産、運輸、電気・電子機器、化学業界の人気が低下している傾向が見られる。

キャリアゴールについては、東大生は旧帝大早慶層全体の調査結果と比較して、ワークライフバランスよりもスペシャリストを目指す傾向が非常に高いことが明らかになった。また、30歳時の期待年収は平均1,058万円と、昨年同時期と比べて193万円上昇しており、65.7%が1,000万円以上を希望している。

今週の導入事例:オープンエイトの「Video BRAIN」横浜市が導入

8月、多くの企業がデジタル技術を活用した新たなサービスやプラットフォームの導入を発表した。8月26日にはオープンエイトの提供する AI ビジネス動画編集クラウド「Video BRAIN」を横浜市が導入したと発表した。横浜市は、18の区役所全てで手軽に効果的な動画が作成できる環境整備を行い、動画が持つ分かりやすさを武器に市民サービスの向上と業務効率化を両面で推し進めるために Video BRAIN を採用した。

また、局統括本部でも市民サービスに関する情報発信や職員向け研修など様々な用途において動画を活用することで、コミュニケーションの DX を実現していく。西区および港南区での実証実験では、手続説明時間が大きく削減されるなどの成果が認められている。

ではそれ以外の話題についても各社の動向を見てみたい。

各社の動き

 Micoworks(8月19日)セキスイハイム中四国が LINE を活用したマーケティングプラットフォーム「MicoCloud」を導入したと発表した。セキスイハイム中四国は、人口減少が進む中国地方及び愛媛県で事業を展開しており、生活者一人ひとりのニーズに応じた情報提供を行うために MicoCloud を採用した。このシステムにより、 LINE を通じて住宅関連の有益情報の配信や、エリアごとにカスタマイズした情報提供、イベント案内などを行う。将来的には住宅購入後のアフターサポートまで含めた顧客とのつながりを構築する予定である。

プレスリリース:J-オイルミルズ、企業情報を WOVN で英語対応

Wovn Technologies(8月21日) 京王電鉄のホームページに多言語化ソリューション「WOVN.io」を導入したと発表した。京王電鉄は、インバウンド需要への対応を目的として、 WOVN.io を採用した。この導入により、高いセキュリティレベルを保ちながら、スピーディな多言語対応が可能となった。また、8月20日には、 J-オイルミルズのコーポレートサイトにも WOVN.io が導入されたことを発表。 J-オイルミルズは、英文開示義務化に対応するため、リソース・スピード・コストのバランスを取った運用を実現するツールとして WOVN.io を選択した。これにより、 IR 関連情報や非財務情報を含むタイムリーな発信が可能となった。

ハッカズーク(8月19日)ふくおかフィナンシャルグループがアルムナイ(退職者)専門サービス「Official-Alumni.com」を導入したと発表した。このサービスは、外部で新たな経験やキャリアを培った退職者を人的資本と捉え、持続的な関係性を築くためのコミュニティを提供する。ふくおかフィナンシャルグループは、新たな事業や多様な人材が活躍する組織風土醸成に向けた取り組みなどを発信し、アルムナイ同士の情報交換や交流の場を提供する。これにより、ビジネスパートナーとしての協業や再入社等の機会創出を図り、組織力の強化につなげることを目指している。

観光 DX プラットフォーム「Nutmeg

NutmegLabs Japan(8月20日)阿蘇ファームランドが観光 DX プラットフォーム「Nutmeg」を導入したと発表した。阿蘇ファームランドは、 WEB 予約率の低さによる現場販売業務の負荷増大や、顧客対応業務の負荷、新規顧客数に依存した売上構造などの課題を抱えていた。 Nutmeg の導入により、 WEB 予約率が向上し、現地での対応業務が大幅に軽減された。また、 E チケットの導入により窓口対応の負担が軽減され、データの可視化と分析が容易になった。さらに、顧客データの分析やレポート作成の自動化により、リピーターづくりに向けたマーケティング施策の実施が可能となった。

SUPER STUDIO(8月22日) RAGTAG の出張買取予約サイトに次世代型店舗予約・顧客管理システム「ecforce check」を導入したと発表した。 RAGTAG は、出張買取運営の効率化とより利便性高くお客様が必要な情報にたどり着きやすい快適なユーザビリティを実現するために ecforce check を採用した。この導入により、今まで以上にストレスフリーな顧客体験を提供すると共に、本事業の成長を支援することが期待されている。

アスエネ(8月20日)シャープが CO2 排出量見える化・削減クラウド「ASUENE」を導入したと発表した。シャープは、2030年の自社活動の CO2 排出量ネットゼロを目指しており、 GHG 排出量開示の迅速化・精緻化のために ASUENE を採用した。 ASUENE は、 Scope1-3の CO2 排出量に加えて、水・廃棄物データを一元化することが可能で、大手電気機器製造業への導入実績を持つ。シャープは ASUENE の導入を通じて、サプライヤーからの1次データ収集に取り組み、 Scope3 の見える化・削減にも取り組む予定である。

コラム:THE資本主義「以外」の選択肢

READYFOR サイトより

筆者がスタートアップの取材を始めた2010年台前半はソーシャルメディア黎明期の頃で、このプラットフォームを通じてつながりが生まれ、それをきっかけに新しいサービスが次々と生まれることになります。クラウドファンディングは、そうした人のつながりを活用した資金調達の仕組みとして一気に市民権を得た代表例といってもいいと思います。

国内には初めてこの概念のサービスを立ち上げた「 READYFOR 」、連続起業家の家入一真さんが共同操業した「 CAMPFIRE 」、上場一号となった「マクアケ」が代表例で、徐々にそれぞれ特徴を出して差別化するようになっていきます。先行したマクアケは応援購入という言葉の通り、マーケティング寄りの現実的な展開を示したのに対し、 CAMPFIRE は購入、寄付、株式と全方位で展開していきました。

その中にあって社会課題解決色が強かったのが READYFOR です。同社は先週「みんなの想いを集め、社会を良くするお金の流れをつくる」というパーパス実現を策定し、6名の新執行役員が就任したことを公表しています。

併せて代表の米良はるかさんがこちらの手記を公開していました。

クラウドファンディングの良さは、特定少数の資本家に依らない実現の仕組みです。小さな力であってもそれが集まれば自己実現の力になる。資本家と労働者のような関係ではなく、対等なコミュニティ、ファンの力で何かを実現できることに魅力があるんですよね。でも、それを実現するためのこれらプラットフォームはスタートアップ的な成長を選択しているので、やや皮肉めいた感じもしますが。

 

次世代クレジットカード「 Nudge 」を通じた寄付が3万件を突破

さておき、初志貫徹、米良さんの手記を読む限り、引き続き READYFOR はなかなか光の当たらない、特に資本やそのモデルに課題を抱える団体や組織に寄り添った方向性を突き進むようです。ただ、実はこのソーシャルセクターの資金問題はあながちビジネスとしてしょっぱいわけではなく、以前取材したコングラントのように「寄付のデジタル化」というアプローチで急成長しているケースもあります。

それに加えて次世代クレジットカードの「 Nudge 」もカードを通じた寄付が累計3万件を突破したと発表しています。このクラブでは、カードの利用額に応じて各種ファンクラブ限定のデジタルコンテンツなどがもらえたりするのですが、それと同時にカード利用金額の一部を任意の活動に寄付できる機能も持っているんですね。先日、ナッジさんを取材した際、ふるさと納税のような使い方が広がっているというお話も聞いていました。

寄付やソーシャルセクターの資金問題はまだまだ仕組みの方で課題解決できそうな気がしています。

人事・経営体制の強化:READYFORが経営体制強化

8月19日、 READYFOR は新たなパーパスとして「みんなの想いを集め、社会を良くするお金の流れをつくる」を掲げ、その実現に向けて6名の新執行役員が就任したと発表した。

新執行役員には、 CSO / VP of PA, Business development として吉川葵氏、 VP of Legacy gift として湊幹氏、 VP of Social impact design として瀧島勇樹氏、 VP of Fundraising service として小谷菜美氏、 VP of Crowdfunding consulting として林田翔太氏、 VP of Productivity & Security として若林岳人氏が就任した。これらの人事異動により、 READYFOR は各事業の進化を推進し、既存の事業基盤を活かした新たな取り組みに着手する。

各社の動き

ACROVE(8月23日)同社は代表取締役社長の荒井俊亮氏が「ForbesJAPAN 30 UNDER 30 2024」の「 BUSINESS & FINANCE & IMPACT 」部門に選出されたと発表した。これはアジアを代表する30人として選出された「 Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に続く同時受賞となる。 ACROVE は EC の販売支援と ロールアップ M&A の2事業を展開しており、連結従業員数は220名、約2年で15件の M&A を実現するなど急成長している。

スペースデータ(8月26日)元 LINE 代表取締役社長で、 C Channel 代表取締役社長の森川亮氏がアドバイザーに就任したと発表した。スペースデータは「宇宙」と「デジタル」の融合を目指した研究開発を行うスタートアップであり、森川氏には、テクノロジーを活用したプラットフォーム事業、およびユーザー普及の知見をもとに助言や協力を仰ぐ。

オリゼ(8月21日)ユーグレナ共同創業者兼エグゼクティブフェローの鈴木健吾氏が R&D ストラテジーオフィサーに就任したと発表した。オリゼは、発酵技術で開発した甘味料を企画・開発・販売するスタートアップ。鈴木氏の参画により、オリゼの麹研究を加速させる。鈴木氏は、世界で初めて食品用途の微細藻類ユーグレナの屋外での大量培養に成功した経験を持つ人物。

業務提携・出資:アスエネ、タイの Green Frog Innovation と提携

アスエネAPACとタイでESGコンサルティングを提供するGreen Frog Innovationが業務提携

先月の増資以降、海外攻勢を強めるのが ESG 関連のアスエネだ。8月18日にはアスエネの海外現地法人 Asuene APAC が、タイの Green Frog Innovation と業務提携したことを発表した。両社は、タイの現地企業を中心に CO2 排出量見える化・削減・報告クラウドサービス「ASUENE」と脱炭素ソリューションの提供を行い、 APAC 企業の脱炭素・サステナブル経営を支援する。 Green Frog Innovation は、タイ企業に戦略的ビジネス・アドバイザリー、 ESG コンサルティング、革新的な気候変動技術ソリューションへの接続を提供している企業である。では、各社の業務提携関連の動きを見てみる。

各社の動き

The Chain Museum(8月19日)ジャフコ グループが運営する投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資を実施したと発表した。調達した資金はプロダクト開発、マーケティング、採用・組織体制の強化に注力するとしている。 The Chain Museum は、アート・コミュニケーションプラットフォーム ArtSticker を運営しており、この資金調達を通じてさらなる事業拡大を目指す。

SUPER STUDIO(8月18日)アパレル EC 向けサイズレコメンドエンジン「unisize」との連携を開始した。この連携により、 SUPER STUDIO の統合コマースプラットフォーム「ecforce」で構築された EC サイトに unisize のサイズフィッティング画面を表示させることが可能となる。unisize は購入時のサイズ不安を解消するサービスで、この連携によりアパレル事業者の顧客 UX 向上をサポートする。利用料は月額1万1,000円からとなっている。

アンドパッド(8月19日)大成建設と現場 BIM 推進のための現場検証を開始した。この検証では、アンドパッドの「ANDPAD BIM」を使用し、施工計画・作業間調整・作業指示などのシチュエーションで BIM Viewer の効果的な活用方法を検証する。 ANDPAD BIM は、 ANDPAD ユーザーが BIM データを閲覧・管理でき、現場で職人と BIM を見ながら調整可能な機能を持つ。検証期間は2024年7月から2025年3月までを予定しており、複数の現場で実施される。

KiteRaウェブサイト

シンプルファーム(8月21日)大同生命保険と法人契約者の手続き利便性向上に向けた実証実験を開始した。この実験では、 シンプルファームが法人契約者の重要な情報・属性の変化を検知し、大同生命保険に通知する。これにより、契約者からの申告を待たずに必要な手続きを案内することが可能となり、手続きの迅速化と利便性向上を図る。実験期間は8月から9月までで、一部の法人契約者を対象に実施される。

Kiva(8月20日)さくらインターネットと業務提携契約を締結した。この提携により、さくらインターネットのホスティングサービス「さくらのレンタルサーバ」の顧客向けに、 Kiva のウェブアクセシビリティツール「ユニウェブ」が提供される。ユニウェブは音声読み上げや文字拡大、色や明るさの調整などの機能を持ち、世界規格「 WCAG 2.1」と国家規格「 JIS X 8341-3:2016」に対応している。この提携により、ウェブサイトのアクセシビリティ向上とユーザビリティの改善が期待される。

コラム:若手の活躍するコマース

ここ最近お会いするコマース関連の起業家の方、若い方が多い気がします。

ACROVE の荒井俊亮さん

ロールアップで一気に上り詰めている ACROVE の荒井俊亮さんが Forbes 選出の30歳未満リストに掲載されたそうです。ヤフー社長を退任したのち、ハイブリッド・ファンド「 Boost Capital 」を立ち上げた小澤隆生さんとの対談でも記事にしましたが、ロジカルとフィジカルというか、勢いを兼ね備えているのがとても魅力的なんですよね。

もともと、ランナーだった荒井さんがプロテインの EC を始めたことがきっかけで同社の前身がはじまり、企業の EC サポートを経てそのノウハウを他の事業者に提供する流れからロールアップ事業に至るという、文字で書くとあっという間の成長ストーリーも見る側を引き込む力を持っています。

その荒井さんと同世代でこちらもコマース事業を展開するのが60%(シックスティーパーセント)の真部大河さんです。こちらは1994年生まれ。あまりテックテックしてないのもこの世代の方の特徴かもしれません。デジタルネイティブですね。

 

日本初上陸!日本オタクカルチャーの影響を受けて誕生した商品も。台湾ブランドの「 SlylyLuna (スライリールナ)」

運営するオンラインセレクトストア「60%」はとにかくリリースがすごくて毎週なんらかの中国、韓国、台湾ブランドを日本初上陸させています。 K-POP やアニメ文化の影響を受けた独自のデザインが注目を集めているそうで、例えば中国のシューズブランド「 SOAP OPERA (ソープオペラ)」や韓国発のアクセサリーブランド「 Grumpy Stuff (グロンピースタッフ)」は K-POP アイドルの着用で火が付いたそう。

もう一人、1997年生まれの小泉泰英さんが代表を務めるのが米麹由来の発酵甘味料「オリゼ甘味料」を用いた発酵食品ブランドを展開するオリゼです。先週、ユーグレナの共同創業者である鈴木健吾氏が R&D ストラテジーオフィサーに就任したことを公表しています。鈴木さんは世界で初めて食品用途の微細藻類ユーグレナの屋外での大量培養に成功した実績を持つ方だそうです。

8月には4.7億円の資金調達にも成功していて、今秋9月には東京・中目黒に初の直営店舗「 ORYZAE SHOP TOKYO 」をオープンする予定だとか。日本の伝統発酵技術のグローバル展開も動き出しているということなので、これからの動きが楽しみです。

エンターテインメント

先週あった国内のテック・エンタメ関連の話題をまとめてお届けする。注目はやはりVTuber、IP関連、この辺りは動きが激しい。

8月27日、ウタイテは、オリジナル音楽プロジェクト「きみとぴあ!」の第2弾楽曲「星空のメロディ」を発表した。この楽曲は、プロジェクトのメインキャラクターである「星野ミア」をイメージして制作されており、著名な作曲家と歌手がタッグを組んで制作された。

楽曲の MV には、最新のモーションキャプチャー技術を使用したキャラクターのダンスシーンが盛り込まれており、ファンの期待に応える内容となっている。さらに、楽曲発表に合わせて、「星野ミア」のボイスチャット機能付き LINE スタンプの販売も開始された。ウタイテは、この楽曲を皮切りに、今後3か月間で全5曲のリリースを予定している。

各社の動き

STYLY(8月21日)XR (拡張現実)コンテンツの祭典「NEWVIEW AWARDS 2024」の開催を発表した。今回の特徴は、空間コンピューティング部門を新設したことだ。この新部門では、最新の XR 技術を活用したクリエイティブな作品を募集し、次世代のデジタル空間デザインの可能性を探る。応募期間はSpatial Computing 部門が8月21日から10月16日12:00(UTC)、Site-specific AR 部門が8月21日から12月17日12:00(UTC)までで、グランプリ受賞者には賞金5,000USDが授与される。

クラスター(8月23日)中京テレビの「24時間テレビ」におけるメタバース募金会場のステージ出演者が決定した。メインMCには、ラバーガールとザ・マミィが選ばれた。出演者はアバターとなり、メタバース会場に登場する。イベントは8月31日から9月1日にかけて開催され、テレビ放送と連動したリアルタイムの募金活動が行われる予定だ。

Anique(8月22日)人気アニメ『銀魂』と『黒子のバスケ』の新規描き下ろしイラストを使用したグッズの販売を開始した。商品ラインナップには、アクリルスタンド、缶バッジ、クリアファイルなどが含まれている。

RATEL(8月21日)e スポーツ大会「GGL:THE FINALS VOL.4」の大会配信と運営を決定した。スタジオに実況・MCとしてRintoXD氏、 解説としてバンドフェイス氏を迎えて8月24日(土)GGL:THE FINALS公式YouTubeチャンネル、Twitchで配信が行われる。

コミュニティ支援の動き

次世代クレジットカード「Nudge」に元AKB48の岡部麟「Atelier Berin(アトリエベリン)」クラブが誕生

コミュニティ活動は、企業と顧客、そして顧客同士のつながりを深める重要な役割を果たしている。近年、多くの企業がテクノロジーを活用しながら、独自のコミュニティ形成に注力している。これらの取り組みは、単なる顧客サービスの枠を超え、イノベーションの促進や新たな価値創造の場として機能している。

ATOMica が取り組む「Tokyo Innovation Base」の運営サポートは、スタートアップエコシステムの構築を目指すコミュニティ活動の好例だ。このプロジェクトでは、スタートアップの成長支援と大企業とのオープンイノベーション促進を目的としている。定期的に開催されるピッチイベントやワークショップを通じて、起業家や企業間のネットワーキングを促進し、新たなビジネスアイデアの創出や協業の機会を提供している。このような場は、参加者にとって貴重な学びと成長の機会となるとともに、地域経済の活性化にも貢献している。

一方、フィナンシェが展開する「Filament 支援プロジェクト」のコミュニティは、金融技術の革新を目指す取り組みだ。このプロジェクトでは、ブロックチェーン技術を活用した新しい金融サービスの開発に焦点を当てている。コミュニティには、金融機関の従業員、学生、ブロックチェーン技術者など、多様な背景を持つ参加者が集まっている。オンラインフォーラムやウェビナーを通じて、分散型金融( DeFi )の可能性や課題について活発な議論が行われ、より透明で効率的な金融システムの構築に向けたアイデアが生み出されている。

ナッジもまた、独自のアプローチでコミュニティ形成に取り組んでいる。同社が提供する次世代クレジットカード「Nudge」は、単なる決済手段を超えて、ユーザー同士のつながりを生み出すプラットフォームとなっている。最近では、「岡部麟クラブ」という新たなコミュニティを立ち上げ、元 AKB48 メンバーの岡部麟氏が支援する活動にカード利用者が参加できる仕組みを導入した。このクラブを通じて、共通の関心を持つユーザー同士が交流し、情報交換や協力関係を築く場が提供されている。

これらのコミュニティ活動は、オンラインとオフラインを融合させたハイブリッドな形で展開されている点も特徴的だ。デジタル技術を活用することで、地理的な制約を超えた幅広い参加を可能にしつつ、対面での交流の機会も設けることで、より深い関係性の構築を目指している。

コラム:存在感増す「歌い手」たち

先日、 AI VTuber 「紡ネン」などを展開する Pictoria さんの話題を書きましたが、引き続き国内のテック・エンタメの話題は YouTube を中心とするクリエイター経済圏になりそうです。カバーや ANYCOLOR など上場組勢に加え、最近では Pictoria のようにAI を組み込んだ勢力も出現しています。

 

Aww の代名詞となったバーチャルヒューマン「 imma 」

時を同じくして超リアル「バーチャルヒューマン」 imma を展開する Aww の守屋貴行さんにお話を聞く機会があったのですが、やはりこちらも生成型 AI を搭載して「会話できる」存在へと進化しつつありました。守屋さんのインタビューは近日公開するのでそちらもお楽しみにいただければ。

さて、先週チャートインしたスタートアップでこのテーマの話題を提供してくれたのがウタイテです。デビューからわずか 1 か月で登録者 10 万人を達成した歌い手ユニット「きみとぴあ!」のオリジナル曲第 2 弾「ユートピア」のミュージックビデオを 8 月 24 日に公開しています。

歌い手はその名称の通り、 YouTube 上で歌唱やカバーソングを披露するアーティストやパフォーマーのことを指します。多くの場合、既存の楽曲のカバーを中心に活動していますが、きみとぴあ!のようにオリジナルソングを作成・公開する歌い手もいます。「うっせぇわ」で爆発的な人気を得た若手歌い手の Ado さんや「まふまふ」といったプレーヤーを中心にマス層でも認知を広げているのが特徴です。

歌はやっぱり強いですね。

ビジネス的には YouTube 広告を中心にスパチャ・投げ銭に加え、楽曲販売やライブといったこれまでのアーティストビジネスに食い込んでくるのもこの歌い手の強みになっています。実際に 1IP あたり 100 億円規模の売上が上がっている事例もあるというお話もあり、 1 人当たりの売上は VTuber よりも大きいそうです。

スタートアップとして急成長中のウタイテは 5 月にシリーズ A ラウンドで Sony Innovation Fund や電通ベンチャーズ、 BRICKS FUND TOKYO (三菱地所の CVC )、 KDDI Open Innovation Fund ( KDDI とグローバル・ブレインによる運営)、 Bandai Namco Entertainment 021 Fund などから3 億円の出資も受け、かなり注目度が上がっているのではないでしょうか。カバー、 ANYCOLOR に続けるか。

キャンペーン・イベント

週次まとめの最後はイベントやキャンペーンに関する話題をお送りする。特にコマース関連はポップアップなどの展開も多いので動向として触れておく。

[日本初上陸] (G)I-DLEやNCT着用で人気の韓国発アクセサリーブランド「Grumpy Stuff(グロンピースタッフ)」が「60%」で購入可能。
セレクトショップECのシックスティーパーセント(60%)は、韓国発のブランドの日本初上陸を記念して、複数のイベントを展開している。東京・表参道に期間限定のポップアップストアをオープンし、韓国で人気の高いファッションアイテムや雑貨を日本の消費者に直接紹介する機会を設けた。

このポップアップストアでは、韓国のストリートカルチャーを反映したデザインや、 K-POP アーティストも愛用する最新トレンドアイテムが多数展示販売されている。また、日本の若者文化の中心地である渋谷では、韓国の人気アーティストとコラボレーションしたライブイベントを開催。このイベントでは、ファッションショーと音楽ライブを融合させ、韓国と日本の文化交流を促進する場となっている。さらに、 SNS を活用したキャンペーンも実施しており、日本の消費者が韓国ブランドの魅力を発信することで、両国のファッション文化の架け橋となることを目指している。

各社の動き

favy(8月23日):大阪の複合商業施設「グラングリーン大阪」にて、9月10日からアバターロボットが接客スタッフとして登場する。「グラングリーン大阪」では、2024年9月10日(火)〜9月29日(日)の期間、ムーンショット型研究開発事業目標1アバター共生社会プロジェクト体験型実証実験「アバターランド」が開催され、その一環として『re:Dine 大阪』に小型ロボットアバターのSota100とCGアバター用のデジタルサイネージが設置されることが決まった。

運動通信社(8月23日):パラスポーツの魅力を伝えるプロジェクト「パラスポデザインカレッジ」の4期生を募集している。また、「パリ・サン=ジェルマン ハンドボールジャパンツアー2024」の全2試合を無料でライブ配信する予定だ。

ビビッドガーデン(8月22日):オンライン直売所「食べチョク」の7周年を記念した感謝祭を開催している。この感謝祭では、人気生産者ランキングの発表や限定商品の販売を行う。

次週の話題は来週火曜日に公開予定です

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お詫び:初出時に記事を分割して出したところわかりにくいものになったのでひとつにまとめて再掲いたしました。404を連発してしまい申し訳ありません。以後、気をつけます。

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