Onlabが第25期デモデイを開催、建設業の見積業務最適化SaaS「GACCI」が最優秀賞を獲得

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Open Network Lab は18日、Seed Accelerator Program 第25期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。

新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化してきたことを受け、今回のデモデイはオフライン開催となった。採択された5チームがデモデイでピッチし、デモデイの最後には、主要メンターやデモデイに参加した聴衆らによる審査投票の結果によりチームを表彰した。

審査員は次の方々。

  • 林郁氏(デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループ CEO)
  • 畑彰之介氏(カカクコム 代表取締役社長)
  • 村上敦浩氏(カカクコム 取締役)
  • 伊藤穰一氏(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員 Chief Architect)
  • 大熊将人氏(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員 CSO)

【Best Team Award】GACCI by 情報ネット

M&A により鳥取県で公共工事の会社を事業承継した若本憲治氏は、工事を受注する上で見積業務の大変さに気づいた。入札情報が開示されてから見積を提出するまでには12営業日ほどの猶予があるが、実際には、情報の取りまとめに10営業日ほどかかるため、分析や経営判断に割けるのは2日間ほどだ。粗利率10%が相場とされる建設業において、見積を誤ることはプロジェクト受託が赤字になる可能性をはらんでいるので慎重を極めたい。

GACCI を使えば、工事の元請会社は PDF や Excel をアップロードし、見積範囲を指定して、下請け業者に見積依頼することができる。データの転記作業が不要になり、見積範囲を下請け業者毎に指定して送信することができ、下請け業者は指定された業務の単価を入力するだけで作業が完了する。日本全国の2万社ある地域ゼネコン(元請け業者)に導入を図り、そこから、48万社ある下請け業者(専門工事事業者)の獲得を狙う。将来は、プレコンストラクション(設計〜施工間のプロセス)への進出も計画している。

【Special Award】Section L by Section L

コーネル大学でホテル経営を学んだ同窓生らにより2020年に創業。外国人観光客の日本滞在は長期化していることがわかっている。4泊以上が観光客の半数以上を占め、欧米豪の観光客は10泊以上を多数が占めるが、実のところ、ホテルは長期滞在には向いていない。自炊ができない、洗濯物が溜まる、落ち着いて長時間快適に仕事する環境が無い、などの理由からだ。民泊は、統一されたサービス水準が存在しないため、物件やホストによって当たり外れが大きい。サービスアパートは一般的に30泊以上が対象とされている。

こうした短期でもない、超長期でもない、1週間から数週間程度の滞在に便利な宿泊・滞在空間を提供するのが Section L だ。キッチンで自炊が可能で、洗濯も自分の部屋で行え、周辺の飲食店などの情報は、Section L が自ら収集した情報をスマートフォンから得ることができる。友人が欲しいユーザは、Section L に滞在している他のユーザを探しコンタクトすることも可能だ。物件は Section L が所有しているのではなく、不動産機関投資家から委託を受けて運営している。来年春には、都内に6拠点開設予定だ。

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【Audience Award】kaeka by kaeka

日本人の平均話量は1日あたり6.1時間で、一生の4分の1を誰かとの何かの会話をするために使っていることになる。コミュニケーション、すなわち、伝え方次第で、その人の評価に対して、ポジティブにもネガティブにも直結する。一般的に、コミュニケーションの改善を目指す人は、書籍を買うか、話し方教室に通うことが多いが、書籍は一方通行で十分な改善を実感できないし、話し方教室は発音や発話といった話し方の改善に関するものが多く、ビジネスの側面における伝え方に応用するのが難しいこともしばしばだ。

kaeka」は、30分間のパソコンを使った口頭試験を受けることで、伝え方の課題点や癖などが可視化され、それに基づいて、ユーザに最適化されたオリジナルのカリキュラムが作成される。その後、オンラインで 1 on 1 のトレーニングなどを経て、ユーザらが集まって開催される成果発表会や診断の再テストを重ねることで、ユーザは自分の成長を実感できる。現在、社会人多業種向けと、経営者や議員向けの2つのメニューが提供されている。

DroneShow by REDCLIFF

ドローン最大手 DJI の日本1号店のオープニングスタッフを勤めた佐々木孔明氏が昨年立ち上げたレッドクリフは、ドローンを使った広告媒体「ドローンショー 」を展開している。暗闇の空に日本最大級となる700機(年内に1,000機にまで増やす予定)のドローンを飛ばし、最先端の広告媒体として活用してもらうサービスだ。

昨年12月にサービスをローンチし、これまでに10件以上の案件を受注している。ビジネスモデルは、ゲーム会社や広告代理店からドローンショーを受託する形と、全国の花火イベントでドローンショーを展開する広告枠を広告主に販売する形の2つのビジネスモデルを展開している。同社は元々、広告業界で空撮業を営んでいた経緯から、テレシーとも提携している。

Tooon by Tooon

Tooon」は、フリーランスの取引を自動化する SaaS だ。フリーランスの取引は、個人のつながりを活用した直接取引がほとんどで、マーケットプレイスやソーシング機能は、決して多くは使われていない。しかし、労働人口の4人に1人がフリーランスとされる時代、その40%が何らかのトラブルを経験している。トラブルの3大要因は、報酬、契約、コミュニケーションに関するものだ。

Tooon は、納品定義、ポートフォリオや料金表の掲載、契約書の自動生成、エスクロー決済の採用で、発注者と受注者の双方のトアrブルを抑制する。マーケットプレイスと比べ、手数料が安い上、他案件が価格比較されにくいので単価が下がるリスクも少ない。フリーミアムモデルで提供しており、将来はフリーランス同士の業務のコラボレーション機能もサポートする予定だ。


デジタルガレージ オープンネットワークラボ推進部共同部長の松田信之氏によれば、今回の第25期の修了を受け、Open Network Lab は通算で140組のスタートアップを輩出したことになる。また、前回第24期までの輩出スタートアップの、次期資金調達達成率は58.1%、イグジット率は12.1%に達しているとのことだ。

第25期デモデイの開催とともに、第26期への応募受付が開始された。第26期への申込締切は、10月31日の正午となっている。

なお、Open Network Lab のアクセラレータとしての活動は、「Open Network Lab Seed Accelerator」に加えて、各産業との共創により社会実装を推進する「Open Network Lab Open Innovation」、北海道拠点の「Open Network Lab Hokkaido」、福岡拠点の「Open Network Lab Fukuoka」の4つのプログラムで構成されているが、今回、新たに世界のスタートアップを日本へ送り出し、日本のスタートアップを世界へ呼び込むことを念頭に置いた「onlab web3」を立ち上げると発表した。

onlab web3 のメンターは、デジタルガレージ取締役 兼 専務執行役員 Chief Architect の伊藤穰一氏、Animoca Brands 共同創業者兼 CEO の Yat Siu 氏、Offline Ventures パートナーのジェームス・比嘉氏、東京芸術大学美術学部デザイン科准教授のスプツニ子!氏らが務める。Solana、Polygon、Polkadot、Astar といったパブリックブロックチェーンプロジェクトが、パートナーとして、プログラムの運営に協力する。

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