スマートフォン決済サービス「Coiney」が国内決済市場を変革する方法

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2013.4.2

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丁度1カ月ほど前、私は盛り上がりをみせる新たなEC市場について取材を続ける中、彼らの成長の「キー」が決済にあることを知ってこんなインタビューを掲載した。新しいネット決済の方法や考え方は、ビジネスそのものを変えることができる。

そして今日、大きく日本の決済市場を変えようというスタートアップが再始動の準備をはじめた。スマートフォン決済サービスの「Coiney」だ。

彼らはしばらく取りやめていた一般受付を4月10日に再開するとサイト上で発表している。日本の決済市場にロングテールモデルは実現可能なのか。私はいくつかの疑問や質問を携えて、コイニー代表取締役社長の佐俣奈緒子氏に日本の「スマートフォン」決済の未来を聞いてきた。

日本の決済ビジネスにロングテールはありえるのか

前述のインタビューでも指摘されていたのだが、日本の決済は審査が厳しい。一方、Square型の決済ビジネスが狙うのはロングテールの「右側」、つまり大量のマーケットを一気に獲得するイメージがある。審査に1カ月もかかっていたのでは、加盟店の大量獲得は夢のまた夢だ。この壁をCoineyはどうクリアするのだろうか。

意外にも佐俣氏の用意した答えは「この審査そのものの短縮」という大胆なものだった。「加盟店の審査には通常1カ月単位の時間がかかります。これをまずステップバイステップで数営業日に短縮します。従来通りひとつひとつ審査するので、クレジットカードを使ったユーザーには利用事業者の名前が入った明細が届くことになります」(佐俣氏)。

しかし加盟店の審査といえば、クレジットカード会社の仕事だ。驚いたのだが、佐俣氏はこの根本的な部分について直接カード会社などと効率化の話を進めたのだそうだ。

従来加盟店審査に必要だった紙のフローを見直したり、審査情報のデータ化を進めて効率化をする。加盟店審査を受けたい法人や個人は登記簿や免許証などの個人情報を確認できる書類をPDFで送付すれば審査が進む。

「Squareの影響もあってスワイプ端末に注目が集まりがちですが、実は本当の変化はこの地味な裏側の効率化にあるんです。各社バラバラの審査項目なども統一化できるようルール作りを進めています」。ーーまず私が用意した一つ目の疑問は解消された。

加盟店が増えればトラブルも増えるのでは

佐俣氏に教えてもらったのだが、金融や保険といった法律で守られている分野と違い、決済というのは実は管理されている法律が存在しない。認可を取らなくても誰でも参入できる。それだけに業界には長年に渡って培われたルールというものが存在し、トラブル防止の役割を担っている。

カードブランドを提供している世界的な事業者と違い、加盟店獲得事業者やカード発行会社というのは極めてその国の商習慣を重んじる。ここには一件のミス(加盟店による不正など)も許されない雰囲気があるのだそうだ。

しかし、佐俣氏は「絶対に起こしてはいけない問題、例えばカード情報を流してしまうとかそういうことは起こしてはいけないが、数万円の現金化(※)がもし発生した場合、その事象をしっかり把握して、以降のトラブル発生時に素早く対処できる方法を考えたい」と未然の防止よりも問題解決が重要と語る。

先の回答の通り加盟店はひとつひとつ審査をするので、何かが発生した場合の追跡は可能だ。こればっかりは何かが起こってからでなければどうなるのか分からないが、合理的な回答と思える。

日本で少額決済にクレジットカードを使うのか

最後の質問、それは私が数百円、1000円ほどの決済にクレジットカードを使ったことがない、という自分自身の疑問だ。困ったことに日本では電子マネーも多く使われている。

この点について佐俣氏は「フリーマーケットのような野外での物販や飲食といったわかりやすいターゲットももちろん考えているが、例えば外回りしている営業の方が何かを届けて決済するとか、引っ越し、修理業者、宅配など従来現金主義だった場面も考えている」と、少額決済よりも「まだカードを使うことがなかったシーン」を変えることが大切と語る。

さらに私のような小額決済にクレジットカードを使わないユーザーのことも考えていて、リーダーの電子マネー対応を視野にいれているのだそうだ。

端末という「点」ではなく決済という「面」を変えるCoiney

「日本版Square」のような言い方が正しいのかどうかは分からないが、少なくとも北米で盛り上がっているサービスを輸入することが大好きな日本にとって、このサービスはどうしても「端末」に注目が集まりがちだった。しかしCoineyがチャレンジしているのは日本のお金まわりのインフラ変革だ。

決済手段が現金から信用取引に変われば、仕事の仕方も変わるかもしれない。私は今回の話を聞いて、料理教室の生徒さんがCoineyを使って月謝代金を決済しているシーンを想像していた。

「Coineyに申し込めば決済ができるし、その与信情報を使って銀行口座が作れる。さらに会計サービスと連動する。お金回りをシンプルにしたいんです」。ーー佐俣氏はこれから作ろうとする世界観をこう語る。今後は10万ユーザーをひとつの目安に、首都圏、さらに地域経済との連携も深めていきたいそうだ。


※:クレジットカードを加盟店もしくはユーザーが商品を購入したことにして現金化する不正利用の方法。

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