リクルート「TECH LAB PAAK」のデモデイが開催、第6期参加チームが半年の成果を披露

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2016.12.26

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リクルートホールディングス(東証:6098。以下、リクルートと略す)が東京・渋谷で展開するスタートアップアクセラレータ「TECH LAB PAAK(テック・ラボ・パーク)」は20日、第6期のデモデイを開催した。

通常コースからの6チームとVRコースからの6チームが、それぞれ3分間ピッチでプログラム参加からの半年間の成果を披露した。また、審査員による評価対象ではないが、聴衆投票によるオーディエンス賞の対象となる1分間ピッチには9チームが登壇し、総計21チームが登壇する一大ピッチイベントとなった。

入賞したチームの顔ぶれを中心に、TECH LAB PAAK からどのようなサービスが生まれたか、生まれようとしているかをみてみたい。なお、デモデイのピッチにおいて、入賞者の審査を行ったのは次の方々だ。

  • コロプラネクスト 代表取締役 山上慎太郎氏
  • LINE ビジネスプラットフォーム事業室 戦略企画担当ディレクター 砂金信一郎氏
  • AWS 事業開発部 マネージャー 畑浩史氏
  • 500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏
  • リクルートホールディングスR&D本部 Media Technology Lab. 室長 麻生要一氏

【TECH LAB PAAK 賞】HoloEyes

副賞:ホテルディナーペア招待チケット

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HoloEyes は、VR を使って医療分野に情報革命を起こそうとするスタートアップ。エンジニアの谷口直嗣氏と、外科医の杉本真樹氏(国際医療福祉大学大学院准教授)が共同で創業した。人体の情報を 3DVR の形で情報共有し、医療の世界に役立てる。

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CT スキャンのデータを集め 3D の人体モデルを作り、それを集積することで医療 VR データベースができあがる。例えば、「60代男性前立腺がん」というキーワードで検索すると、それにマッチした症例の 3D イメージを取り出すことができ、医師が類似症例の診断の参考にしたり、外科手術をする際のトレーニングに使ったりすることができる。

病院には VR ビューアーを提供し、患者の同意を得て集めたデータを、医科系大学や製薬会社などに販売するビジネスモデルを想定している。

【500 Startups 賞】MacroSpace

副賞:焼肉トラジ お食事券 3万円分

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MacroSpace は、テレイグジスタンス(遠隔存在感)のしくみを開発するスタートアップ。操作するユーザの身体にセンサーをつけ、のデータをインターネットを経由して遠隔地のロボットに送ることで、ユーザと同じ行動をロボットにさせることができる。自分の身代わりが別の場所に存在することで瞬間移動が可能になり、例えば、医師や教師が不足している過疎地に置けば、技術的には、遠隔で診療や授業を行うことができるようになる。ロボットの大きさを変えることもできるので、ユーザが大きなロボットの身体に乗り移り、災害救助などにも活用可能だ。

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開発者の中ノ瀬翔氏は、テレイグジスタンスロボットの可能性を「誰もがアイアンマンになれ、義体化できることを意味する」と例えた。2020年には、賞金総額約25億円に上るテレイグジスタンス分野の国際コンテスト「ANA AVATAR XPRIZE」がアメリカで開催されるとのことで、Macrospace ではこのコンテストに出場し優勝することを目指している。同社は今年9月、シードラウンドで Skyland Ventures から1,500万円を調達している

【コロプラネクスト賞】Embody Me by Paneo

副賞:Apple Store ギフトカード3万円分

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Skype などでのコミュニケーションでは、動画や音声だけでは直接対面で話をする場合に比べ、ニュアンスやコンテキストが伝わりにくい場合がある。Paneo では、オンラインでのコミュニケーションがリアルに比べ足りない部分を補い、必ずしも会って話す必要の無い環境を提供する。

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この分野では、マイクロソフトなどが複数台の Kinect を使って人体を 3D キャプチャーし、リアルタイムレンダリングするようなしくみを開発しているが、スタジオが必要だったりするなど、その準備や環境は手軽なものとは言えない。Facebook も Oculus を使って同様の試みを行なっているが、実在感が得られにくかったり、作成に手間がかかったりしてしまう。

Paneo の Embody Me では顔写真から 3D モデルを容易に作成し、それを使ってグループチャットできるしくみを開発。カメラが捉えたユーザ動作から 3D モデルが動く映像を作成し、通話中の相手にリアルタイムに届ける。2017年初頭には、HTC Vive や Oculus Rift 向けのフラッグシップアプリをリリースする計画だ。

【LINE 賞】Orario

副賞:ズワイガニ姿ボイルセット

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立命館大学の学生である芳本大樹氏が、大学が提供している情報サービスがあちらこちらに散在していて、スマートフォンには最適化されえいないことに問題を感じて開発に着手した 「Orario」。 大学のポータルサイトへのログイン情報を登録することで、ウェブスクレイピングで情報を収集、履修登録をしている授業の休講情報や補講情報をモバイルアプリ上に表示する。

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芳本氏が通う立命館大学には3.5万人の学生が在籍するが、同大学からのマンスリーアクティブユーザ数は1.8万人に上る。これまでに8大学の情報収集に対応しており、来年3月までには、トップ大学の7割の学生データをカバーできるようにしたい計画。現在アプリには、同じ講義を受講する学生同士がノートやレジュメを共有する機能が備わっているが、1月にはこれらを相互に売買できるマーケットプレイスの開設し、将来的には企業が学生をダイレクトリクルーティングできる機能をつけてマネタイズを目指す。

また、同社は12月17日付けで、ベクトル(東証:6058)から2,000万円を資金調達したことを明らかにした。シードラウンドと推定される。

【AWS 賞】OTON GLASS

副賞:Amazon ギフトカード3万円分、Amazon 社食でのランチ権

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父親が失読症に陥ったことを発端に開発を始めた OTON GLASS は、その後、文字を読むことが困難なディスレクシアの人々や弱視の人々の協力を得た開発により、9台目のプロトタイプが完成するに至った。OTON GLASS に備わったカメラでユーザの目が見ているものを視覚情報として捉え、それを文字認識し音声読み上げることで、ユーザは見ているものの意味を理解しやすくなる。非日本語話者向けの翻訳読み上げ機能、画像を遠隔転送し人に文字を読み上げてもらう JINRIKI GLASS なども開発している。

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ドコモ・ベンチャーズの第3期バッチから輩出。最近では、James Dyson Award 2016 の日本国内3位に入賞している。

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【特別賞】STYLY by Psychic VR Lab

副賞:日本マイクロソフトのテクノロジーセンター・センター長を務める澤円(さわ・まどか)氏に、テクノロジーセンターを案内してもらえる権利

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Psychic VR Lab は、ファッションブランドがオンラインで世界観を消費者に伝えたり、商品本来が持っている魅力を伝えたりできる、ファッション特化型 VR ショッピングプラットフォーム「STYLY(スタイリー)」を開発している。これまでに Pitti Imagine など30程度のファッションブランドがテストに参加しており、伊勢丹新宿店で今年催された「未来解放区万博」では、STYLY を使ったショッピングサービスが展開された。

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VR に必要な環境の普及度の問題から、Psychic VR Lab では、これまでユーザに VR が備わった環境まで足を運んでもらって体験してもらうことを想定してきたが、VR 環境がコンシューマユーザの周辺でも手に入りやすくなったため、今後は一般的なパソコンでも VR 体験できるサービスづくりに傾倒するようだ。

この日、Psychic VR Lab は、Colopl VR Fundなどからシード資金を調達したことを明らかにした(調達金額非開示)。

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【オーディエンス賞】Orario, Macrospace

副賞:TECH LAB PAAK Project Member 権利

Orario と Macrospace については、すでに前述しているため説明を省略。

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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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