Facebook メッセンジャー、その本当の可能性

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Documenting life in 2010.
Image Credit : Mobile Phones And Abercrombie / garryknight on Flickr

つい7カ月前の2016年4月、Facebook の Mark Zuckerberg氏、David Marcus氏はカンファレンスのメイン会場において(そして、私自身は小ステージで)「ビジネスの未来は会話にある」と宣言した。

個人のプライベートスペースで10億人の潜在的な顧客とコミュニケーションを取れるようになればそれは親友にメッセージを送るのと同じくらい簡単で楽しいものになる。

しかし最初の数カ月の運営から得た感覚としては、まるで昔の彼女にメッセージを送っているようなものだった。ーー応答時間が悪く、意図が誤解され、総体的にフラストレーションが溜まってしまった。皆一様に疑問を抱いているのである、何が本当で何が大げさに宣伝されていることなのか? いつになったらうまく行くのか?

あの時メッセンジャーが約束したこと・・・

以前は個人的対個人で回っていたビジネス

ネットの無い時代、店のオーナーはお客の名前、そして靴のサイズまで知っていた。 その後、インターネットの到来によりビジネスの規模は大きくなったが、顔の無い白いフォームとテキストボックスが応対するようになった。

ーーメッセージングは改めて、ビジネスのパーソナライズ(オーダーメイド)化のチャンスを与えてくれる。

顧客サービス ーー壊れている顧客との対話

企業は年間100億ドル以上費して顧客にとって、言うなれば今週の一番不愉快な出来事になるようなサービスを提供してしまっていた。電話をかけるにもややこしく神経を使い、電話オペレータを雇う人件費がかかり、さらには長い電話待ち時間がかかっていた。

ーーメッセージングによるモバイルサービスが提供される。よくある質問への回答の自動化、コスト削減、品質向上のチャンスが生まれる。

デスクトップからモバイル利用に移っても、支払いについてはモバイル利用は普及せず

画面が小さ過ぎて支払いの操作が面倒だし、これまでとは違った方法で行う必要があった。見づらいモバイルサイトを使用するか、アプリケーションをダウンロードするという面倒な作業のどちらかでないと機能しなかったのだ。そのためユーザーは予約に関しては相変わらずラップトップパソコン上で行っていた。

ーーメッセージングはモバイルコマースのための完璧な解決法を提供。モバイルウェブサイトよりも優れていて、アプリよりも摩擦が少なく、内蔵のIDで支払いが容易。

一般消費者向けのソフトウェア配布上の問題

米国のスマートフォン利用者の半数は月に1度もアプリをダウンロードしない。 Facebook、Instagram、Uber、Snapchat、Maps など、よく使うものはダウンロードしておけば使い勝手がよいが、2カ月に一度乗るだけの飛行機のチケット、月一回行くだけのレストラン予約などのためにそれぞれ専用アプリをダウンロードするなど、それこそ何百ものビジネスやサービスについてそんなことは不可能である。

ーーメッセージングはすでに家族や友人と一緒に計画を立てるためのパイプになっているが、今やこれにプラスしてより意味のある何百もの製品やサービスにつなげることも可能。

で、実際には・・・

そして、私たちは未来に向かってメッセージを送信した。オークランドの天気予報を聞き、最新のスターウォーズの映画のアドリブ演技を見る。しかしそこに未来感はなかった(もしくはそうなるかもしれないけど)。理論的にはメッセージングが人々の生活に馴染んでゆくにあたっては、テクノロジーの多くの進歩と同じ道を取るのである。

  • うまいツールはまずオープンプラットフォームで利用可能になる

WeChat、Kik、Telegram、Slack、そしてFacebook Messengerなど

  • マニアや新しもの好き人間によって何が効果的で何が効果が無いかが見極められる

ゲーム、ショッピング、生産性、ニュースなど

  • キラーアプリ。 アプリが必然的に何度も繰り返して、継続的に利用されることで人々やビジネスのための「魔法の瞬間」が作られる。

これは新しい波である

  • そして大ブレイク

詳細は後日

可能性について・・・

私は6週間前に Facebook Messenger Developer Platform のプロダクトマネージャーの仕事を辞め、ビジネスメッセージングを他所から支援することにした。メッセージングの起業家が将来的に冷蔵庫に対してアーモンドミルクが注文出来るようになるよう、ナビゲートするのが仕事だ。メッセージングスペースで今、最も実現可能な4つの項目について紹介しよう。

顧客サービスの再開発

プラットホームを通話からメッセージングに移行することで、より良い使い勝手が生み出される。ビジネスの相手が応答するまで45分かかっても、電話の場合のようにじっと縛りつけられることはない。次に出て来るエキサイティングなものは、自動化、即時対応、シームレスなトランザクション、およびハイパー・パーソナライゼーション、つまり尋ねる前にニーズを予測するサービスだ。 顧客サービスはもはや無駄金使いではなく、客をつなぎとめるものであり、楽しく、増収につながるものなのだ。

モバイルコマース実現の加速

メッセージングによってターゲットになった人々がニュースフィード経由で意識を持ち、メッセンジャーで検索して調べ、メッセンジャーを通じて購入することで、企業はマーケティングファネルを完成させることができる。この販売方法はモバイルウェブサイト、アプリ、メールよりも簡単なのだ。試乗会のスケジュール設定、不動産の見学の予約、メッセンジャー経由のテレビの質問など、全てにおいて直接オーダーとレスポンスが行われるのを想像してみよう。

違う分野を縦につないだ個人的アシスタント

ヘルスケア関連の入力フォームはもう飽き飽きである。それでは個人的私的なデジタルアシスタントはどうだろうか? 価値ある革新的な企業はもう医療財務パーソナル備忘録の重要分野で個別化と対個人サービス強化に着手している。

一般社会での情報対話利用外からあらかじめ自宅にメッセージを送って室温を上げ、灯りを点け、オーブンを予熱することができる世界を想像してみよう。すると冷蔵庫からはわさびが無くなりかけてると言ってくるのだ。そのあとはボタンを押すだけで Amazon の自動発信機能で注文完了してしまう。

eコマースが世の中に広がって行く中には多くの障壁がある。90年代、ネットで買い物する人間はキチガイだと思われていた。しかしその後一般消費者はネットの販売業者を信用するようになったのだ。ペイパル支払い(Paypal)、スピーディーな出荷(Amazon)、返品自由(Zappos – インターネットで靴が購入可能?!)

その後社会的アイデンティティ、また個人情報についての問題が到来し、今はネット上での出会いへの信頼如何という波も押し寄せている。(インターネットで出会った見知らぬ人間と一緒に車に乗る気になるだろうか?)。現在会話とパーソナライズされたセールスをインターネットに取り入れる事が出来たことより、次の障壁が生まれている。 2016年第3四半期のeコマースの取引額は、米国内の小売売上高全体の僅か8%を占めるに過ぎなかったのだ。1兆2,000億ドルのうちの1,000億ドル、残りの1兆の売り上げは何によるものなのだろうか。

ボット(自動発信機能)について3人の違った人間と話すと、三者三様の応答が返って来る

  • 起業家:「これから先、期待できるツールですね」
  • 逆張りベンチャー投資家: 「完全な誇大宣伝です」
  • その他大勢”の一人: 「ボットって何ですか?」

プラットフォームのメッセンジャーへのシフトは実現されるが種々の問題も現実のものなのだ。さて、誰がそれらを解決するのだろうか?

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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