電動歯ブラシのD2Cサブスク注目株「Quip」、拡大理由は”歯医者との連携”にあり

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ピックアップ:Quip raises $40 million to expand its subscription dental care products and services

ニュースサマリ:定期購入型のデンタル関連スタートアップ「Quip」が株式と借入によって4000万ドルの調達に成功している。昨年11月27日に報じられたもので、AirbnbやUberの初期投資家でもあるSherpa Capitalがリードを務めた。

話題のポイント:注目しているスタートアップのビジネスモデルについて解説するコラム、今回取り上げるのはデンタル関連のD2C「Quip」です。創業は2014年、今回のラウンドで累計調達額は6220万ドルになりました。正式ローンチは2015年末で、2017年時点で10万個の電動歯ブラシを販売。2018年11月時点での累計販売数は100万人に到達しているそうです。

ビジネスモデルの中心は3カ月毎の定期購入コースです。ユーザーはまず40ドルを支払い、電動歯ブラシの本体とヘッド、歯磨き粉からなるスターターキットをオーダーします。本体のカラーは8色の中から選ぶことができて、スターターキット購入以降は3カ月毎に10ドルでサブスクリプションすることで新品のヘッドと単三電池、歯磨き粉が送られてくる仕組みになっています。

最も安いプランは歯磨き粉を抜いたもので3カ月で5ドルです。本体は防水なのでシャワールームなどでも使えて、旅行のお供としてもオススメされています。なお、米国歯科医師会から認可されている商品になっています。

記事にもありますが、米国におけるヘルスケア、衛生関連のオンラインサブスクリプションには注目が集まりつつあります。例えば美容スタートアップのBirchboxは2018年はじめにヘッジファンドが株式の過半数を取得しましたし、少し前ですが、ユニリーバは2016年に髭剃りのサブスク「Dollar Shave Club」を10億ドルで買収しています。

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気になるのは「本当に電動歯ブラシの定期購入だけでスケールするの?」という点ですが、Quipはオンライン直販以外にも全米数千の歯医者のネットワークを持つ「Dental Connect」というサービスを始めているんですね。

これはユーザーに定期的な歯科検診を促し、ローカルの提携プロバイダー(歯医者)にQuipユーザーを向かわせることによって、ユーザーが何らかリワード(おそらくQuip製品のクーポン券)を貰えるという仕組みになっています。

ユーザーは歯科検診をすることでクーポン券がもらえて、歯医者は顧客獲得の可能性、そしてQuipはエンゲージメント向上を見込める、というわかりやすい展開です。なお、同社はオフラインでも事業展開を始めており、2018年10月には小売大手のTargetと提携し、リアル店舗にて商品の陳列を始めています。

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