Monozukuri Hub Meetup、東京で3回目のイベントを開催——ハードウェアスタートアップ5社がピッチ【ゲスト寄稿】

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Sasha Kaverina 氏

本稿は、京都を拠点とするジャーナリスト Sasha Kaverina 氏による寄稿を翻訳したものである。

オリジナルはこちら

Monozukuri Hub Meetup」は、 は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータ「Makers Boot Camp」が主宰している。

本稿における写真は、Makers Boot Camp による撮影。


クリスマスの喧騒がスピードを上げて近付き始めた頃、Monozukuri Hub Meetup Tokyo は東京の docks でピッチセッションを開催し、3度目となるイベントを祝った。ロボティクス、VR、クリーンエネルギーなど、ピッチセッションに登壇したスタートアップ5社をチェックしてみたい。

Monozukuri Hub Meetup は、起業家、投資家、エコシステムプレーヤーが互いにつながり、知識の共有を支援したいというシンプルな目標から約3年前に京都で始まった。地元のスタートアップエコシステムが成長する様子を見てきたスタートアップとして、成功した起業家の急増を目にすることは誇りに思う。我々のミートアップのテーマは、ハードウェアスタートアップが取り組もうとしている挑戦と参入しようとしている市場に、Makers Boot Camp が特化していることを反映したものだ。このイベントの実現を支援してくれた、パートナーである docks と creww に感謝する。

東京のスペース docks で参加者に挨拶する Makers Boot Camp の Marie-Eve Menger 氏。

3回目となる Monozukuri Meetup Hub Tokyo は、Makers Boot Camp の Marie-Eve Menger 氏による開会の辞で幕を開けた。彼女は参加者を歓迎し、ハードウェアスタートアップが成長し次のステップへと向かっていく中で、彼らを支援する MBC のミッションを共有した。ハードウェアスタートアップを構築する需要は高まっており、世界市場へと展開するチームを作ることは難しさを増している。

ハードウェアスタートアップにとって、より簡単に挑戦できるようにしたい。

Menger 氏はそう語って、最初のピッチスタートアップをステージに迎えた。ピッチしてスタートアップは次の通りだ。

ホンモノのペットよりも好都合なロボット「Qoobo」

青木俊介氏はこの11年間、世界をより快適にするために最先端のロボティクスを適用する会社ユカイ工学に、科学とカワイイものへの愛を注いできた。彼は、社内での社員同士の競争が、新しいプロダクトのアイデアを思いつく上で非常に良い方法だと確信した。

昨年の優勝チームは、Qoobo という毛皮で覆われたロボットだった。フランス語で尾っぽを表す「queue」と「robot」と組み合わせた造語だ。(青木氏)

ロボットの尾っぽがついた柔らかく丸いクッションは、本物のネコを抱かなくても、快適な感覚を提供できるよう設計されている。叩いたり、触れたりすることで反応し、尾っぽを振ってくれる。

我々は当初、ペットを飼うことができないアパートに住む人のためのロボットを作りたいと考えていた。しかし、Qoobo には大きな癒し効果があることがわかった。(青木氏)

Qoobo は Kickstarter でのクラウドファンディングが成功し、日本最大の年次 IT エレクトロニクス見本市「CEATEC 2017」でデビュー。すぐに国際的な評価を得た。ヘルスケア業界を見据え、ユカイ工学は現在、自社ブランドの B2B の可能性を引き出すことを目指している。

音楽を身体で感じられるウエアラブルデバイス「Hapbeat」

今日、音楽は鼓膜を通じてのみ届けられるものではない。肌の下からでも届けられるのだ。Hapbeat は、ゲーム、音楽、VR、安全教育など、さまざまなプロダクトで使われる次世代のハプティックテクノロジー(触覚技術)を開発している。東京工科大学で生まれたこのスタートアップは、音を身体の感覚に変換するウエアラブルデバイスを開発している。2つのモーターと1つの弦で構成され、張力を使って忠実に振動を伝達する。

Hapbeat CEO の山崎勇祐氏は、このデバイスが音楽の聴き方や、ゲームやセキュリティ用途における VR/AR 体験に革命をもたらすことができると確信している。

Hapbeat CEO の山崎勇祐氏

他のソリューションと比べ、Hapbeat のテクノロジーは、着用のしやすさ、カバー範囲の広さ、与えられる主観的印象の良さ、という3つの明確な優位性を提供できる。(山崎氏)

小さいながらもパワフルなデバイスは、すでに安全教育の目的に導入されており、花火イベントで身体障害者が大音響を楽しめるソリューションとしてもテストされた。

ふわふわの身体から子守唄を聞かせる「パルスボッツ」

あなたは、電源を入れずに電子デバイスを使う習慣はあるだろうか? パルスボッツの美馬直輝(みま・なおき)氏は、スクリーンから放たれる青色光が睡眠不足を招く理由の一つだと考えている。ウエアラブルデバイスや睡眠トラッカーが過密にある市場において、パルスボッツのふわふわしたロボット「ネモフ」は、ユーザを眠りへと誘う理想的な就寝時の友達のようだ。

ネモフに触れるとコミュニケーションが始まる。当然ながら、ネモフには多くのテクノロジーとセンサーが詰まっているが、主な機能は幅広い音——それが、子守唄であれ、オーディオブックであれ(実話であれ)、あるいはちょっとした世間話であれ——の再生に特化した睡眠補助だ。

パルスボッツの美馬直輝氏

ネモフに触れると、推定時間を教えてくれる。明るいスクリーンを見る必要がない。(美馬氏)

パルスボッツは2018年10月、Makuake でクラウドファンディングを展開し、全種類のロボットが半日で支援を獲得した。現在はロボットと人のコミュニケーションを改善しているところで、ネモフをあしらったキュートな LINE スタンプを紹介し、ユーザのハートをつかみ続けている。

ロボットにモノのつかみ方を教える Xela Robotics

産業用ロボットにとって何かを拾うという単純作業は、ディープテックの研究書を読めば、そんなに簡単ではないことがわかるだろう。たいていの場合、ロボットは未知の物体を変形させたり落下させたりせず、しっかりとつかむことはできない。ロボットに触覚があれば高い精度と感度で物体を制御できると、オーストリア出身で Xela Robotics の CTO Alexander Schmitz 氏は語る。

早稲田大学からスピンオフしたこのスタートアップは、敏感に物体を握ったり動かしたりできる、3軸力覚センサーを開発している。より細かいフィードバックをロボットに提供できるので、ロボットは物体のつかみ具合が安定しているかどうかの区別、滑りの検出と防止、物体の認識、手のような動きの再現が可能になる。

オーストリア出身の Xela Robotics CTO Alexander Schmitz 氏

世界の包装ロボット市場は2024年までに50億米ドル規模になると予想されている。2016年から2024年までの年平均成長率は14.6%だ。

Xela Robotics のチームは安全な人間とロボットとのインタラクションを確立するというミッションのもと、触覚センサーを人間の指や腕と連携するという野心的な目標を目指している。

水素ベースのエネルギーサービスを提供する「H24E Innova」

AIRBUS Accelerator 参加のため、フランスのトゥールーズを拠点にしている久保直嗣(ただし)氏は、H24E Innova をローンチする前、再生可能エネルギーと従来型エネルギーの分野で十年以上に及ぶ勤務経験を持っていた。久保氏はケンブリッジ MBA プログラムに参加していたとき、超短パルスレーザー技術を水素電池セルと組み合わせることで、クリーン電力を作り出せるアイデアを思いついた。水素を燃料として使うソリューションのスケールには、驚くべきことにほとんど投資がなされてこなかったが、最近になって電力に似たクリーンなエネルギー媒介物とみなされるようになった。

水素を商売にしている人は、他に誰もまだいない。(久保氏)

素晴らしいアイデアを実行可能なビジネスにしたことで、大きな成功がもたらされた。1年間で12の賞を受賞し、日本政府やこの技術が開発された場所である京都大学から25万ユーロの助成金を受け取った。世界をよりグリーンにし、電力不足や飲料水不足を解決したいと考える全ての起業家に刺激を与えている。


今回の Monozukuri Meetup Hub Tokyo は、Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏の閉会の辞で幕を閉じた。彼はイベントパートナーに謝意を表し、ネットワーキングセッションでこの日の話題などについて語り合うべく参加者を招き入れた。起業家、投資家、コミュニティメンバーらは飲み物を片手にミングルに参加し、展示されているスタートアップのプロダクトをチェックしていた。

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