経営学を平たくする:5年間、毎朝8時に「使えるキャリア学」を発信し続けるキャリアプロデューサー田中伶さん【後編】

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「経営学を平たくする:5年間、毎朝8時に「使えるキャリア学」を発信し続ける田中伶さん」の後編をお届けします。【前編】はこちらをどうぞ。

Rei-Tanakaキャリアプロデューサーの田中伶さん

あきらめないで続けてきたことがあるという自信

伶さんは強みの一つは、続ける力。経営学を噛み砕いて伝えるというブログを5年間続けていることが自信になっていると話してくれた。また彼女は、小学生の頃から日記のようなノートをずっと書き溜めている。そこには、情けないこと、嬉しかったこと、嫌なこと、全てが詰まってる。

「整理できたり、一種のモチベーション管理みたいになってるかもしれないです。1年に一回のミッションステートメントよりも、積み重ねたものが大きいかなって。

当たり前のことを続けるというか。5年続けられたのは自分の能力とは関係ないかもしれないですけど、あきらめないで頑張ってきたものがあるっていうのは自信になっていると思います。」

完全に趣味ですと笑いながら彼女が教えてくれた、もう一つ続けていること。それは、C-POP(チャイニーズ・ポップ)の歌詞を日本語に翻訳して紹介すること。日本におけるC-POPの市場は小さいものの、かなりコアなファンがいる。これは18歳からずっと続けていて、歌詞から学べる中国語講座を交えながら、これまでに400曲ほど訳しているそう。C-POPのファンから特定の曲を翻訳してほしいとリクエストがくる。

お作法さえちゃんと守れば、できないことなんてない

まだ学生だった頃、お金がなくて、でも普通のバイトをやるのは気が進まなかった。そこで、C-POPファンを集めたランチ会を開催することを思いついた。中国語の台湾ドラマの台本を書き起こして、ランチ代金と台本代をパッケージにして費用を回収。自分が企画したことで人々が集まり、自分がやった仕事の対価を受けることもできた。その後も、コミュニティを継続するための支援者をサポーターとして募集し、最終的に100人以上集まったという。

「以前、父親に携帯が欲しいって話したら、レポート5枚になぜ必要かをまとめろって言われたことがありました。メリット・デメリット、持ってる人・持ってない人の意見、安く買える場所とかまとめて。そしたら、携帯を買ってくれた。

何事も、やりたいことを整理して組み立てて、考え方やお作法をちゃんと守って伝える。そうすれば、自分のワガママを実現することもできるんだと感じました。ビジネスや、自分の活動も同じ。ただ言ってるんだけじゃなくて、とにかくやってみる。実際にやってみることで、自分が語れることも増えるし、そもそもの実績なんてなくても、自分がやってみたという経験が実績になることだってある。」

みんなが英語なら、わたしは中国語

伶さんが、常に何か人と違うこと、違う道を選ぶ理由も、遡った過去にあるのかもしれない。父親は転勤が多く、家族は12回以上引っ越した。転校して新しい環境に入ると、どうしたって目立ってしまう。気づかないうちに、できるだけ目立たないように、人に合わせるようになっていた。

それが高校くらいになると、人と違うことをしても、それをその人らしさとして見てくれるような人が集まってくる。それまでの反動で、皆と同じ道をいくより、あえて違う道を選ぶようになっていったのかもしれないと振り返る。

「それって伶ちゃんっぽいねって言われることが楽しくなっていきました。本当の自分を隠して、周りの友達と仲良くするために、無理してジャニーズのファンのフリをしたり(笑)人に合わせていることがストレスだったんでしょうね。

解放されてからは、他の人がしないことを選ぶようになっていきました。中国語も、みんなが英語なら私は違うものっていう部分もあったかもしれないです。」

世の中から卒業をなくす「schoo」での新たな挑戦

学生時代から個人事業主として活動し、共同創業も経験している伶さんだが、今年1月に経営方針の違いなどから共に立ち上げた会社の代表取締役を退任。新たに自ら起業するか悩んでいた矢先、もともと先生として登壇したこともあった「schoo(スクー)」から声がかかった。

一方的ではない、先生と生徒の双方向のコミュニケーションを大事にしながら、地方も年代も垣根を越えて学ぶことのできるサービス。世の中から「卒業」をなくす、というコンセプトで生まれたschoo(スクー)は、伶さんのスタンスにとてもマッチしていた。

現在は、これまで通り、ビジネス書のキュレーションサロンや、人材系企業とコラボレーションしたイベントなどを開催しながら、スクーの中に大学生のためのキャリアセンターを作るというプロジェクトにもチャレンジしている。

「しっかり経営を勉強しながら、以前の会社で実現できなかったことをスクーの中でやってみないか?と、代表からオファーをいただいて、スクーに仲間入りしました。

スクーの中にキャリアセンターをつくるというプロジェクトを任せてもらえたことに感激して、今は頑張っています。これからも、いろんなフィールドで自分の強みが活かせる活躍の舞台を見出だしていきたいです。」

継続力と行動力が光る伶さんは、これからどんな道を歩むことになるのか。彼女のキャリアはまだ始まったばかり。

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