Aviary が先頃開催したイベント「Photo Hack Day Japan」で、優勝に輝いたアプリ「Back to the Future」について今週初めに書いた。[1] 二位に入賞したチームも同様に素晴らしいアイデアで、フィルターやエフェクトで写真を美しくするよりも、むしろ、ユーザの基本的な撮影技術を高めようというものだ。
その名は「Before the Filter」、ユーザに三分割法や実用的なテクニックなど、写真撮影に必要な基礎技術を紹介するアプリだ。スマートフォンの画面をカメラのファインダーに見立て、こういったテクニックで写真が撮影できるよう、グリッドやテンプレートが画面の上に表示される。Aviary API が実装されているため、Aviary のエディタを使って撮影後の編集も可能だ。
このアプリを作った2人の開発者 Ben Watanabe と Antony Tran は、ハッカソンイベント終了前になんとか動作するようになったアプリを Google Play にアップした。彼らがかくも素早くアプリを作り出せたことは興味深い。イベント後、私は改めてメールで二人に連絡を取った。Ben はアプリがすぐにアップできた理由について、Antony が Android 版用のペーパープロトタイプをコーディングする力に長けているところが大きい、と説明した。
アップデイト:Ben は TenTen という東京のスタートアップの創業者ということだ(親会社は香港にある)。
ストアにアップする前に数時間もあればレビューができるという点で、Android はハッカソンに向いています。iOS なら数週間はかかりますから。Antony は Android の魔法使いで、UI を開発させると恐ろしいほど速いんです。彼のライブコーディングのスピードに遅れないように、Sketch でデザインするのは大変でした。


Antony は、これまでにも取り上げた日本の新進気鋭のスタートアップ Origami で Android 開発者をしている。Ben はかつて自身の iOS 写真アプリ Cobypic をプロデュースした経験があるが、彼はこのハッカソンを通じて、Android により精通したいと考えていた。
つまり、両者にとってメリットがあったのだ、と Ben は言う。実演には Ben の兄弟 Alex が撮影した写真を用いたが、Antony 曰く、「この写真が他者を大きく引き離して、我々のアプリが抜きん出ている感を演出してくれた」のだそうだ。Before the Filter は Photo Hack Day で2位に入賞し、賞金20万円に加え、Aviary からは Aviary API の最優秀活用賞として 1,000 ドルが贈呈された。
写真を美しくするというのは基本的なことだが、何枚もフィルターを重ねたり、ステッカーで飾ったりするばかりのモバイル写真アプリが横行する中、写真家の持つ想像力から言って、Before the Filter は、興味深く見落とされがちなコンセプトを取り上げた。しかし、スマートフォンのカメラも改善され高品質な写真が撮れるようになっているので、モバイルを使った写真家を標榜する人にとって、Before the Filter は価値あるサービスと言えるだろう。
もし Before the Filter を試したければ、Google Play から無料でダウンロードできる。


- 全面的に開示するなら、私はこのコンテストを支援すべく、審査員の一人として参加したことを記述しておくべきだろう。 ↩
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