スマートフォンのアプリマーケティングを手がけるフクロウラボは10月22日、スマートフォンアプリ向けのディープリンク最適化サービス「Circuit」のβ版を公開した。同社ではこれに伴い、βテスター企業の募集を開始している。テスター期間中の利用は無料で、有料化の時期については未定となっている。
ディープリンクとはスマートフォンアプリ内に設定された特定ページに直接遷移させるために必要なリンクを指す。Circuitはこのリンク先となるウェブにJSタグを埋め込むだけで、アプリ側からリンク先にアプリがあるかどうかを判定し、ある場合はその指定されたアプリを直接開くことができるようになる。
例えばアプリで得た情報のリンク先に、コマースや予約サービスなどログインや個人情報の入力が必要なサービスがあったとする。既に会員登録などを済ませている場合、そのアプリを直接開いた方が入力などのステップを省略することができるので、ユーザー体験は格段に向上する。これを実現するのがCircuitだというわけだ。
この「アプリとウェブをシームレスに繋ぐ」ディープリンクの考え方は、2014年4月、facebookが開発者向けイベントで発表したアプリ間リンク「App Links」や、つい先日、KDDIが発表した、多くの事業者とアライアンスを組んで実現しようとしている「Syn.(シンドット)」の共通メニューなどが近い。ウェブの世界に逃がすことで損なわれるユーザー体験を回避するために生まれたソリューションだ。

なお、このソリューションは世界的にみてもまだ若い部類に入る。フクロウラボ代表取締役の清水 翔氏によれば、現在このソリューションに取り組んでいるのはURX、Deeplink.me、Branch Metricsなどで、どれも2013年頃の設立、Branch Metricsに至っては2014年5月とつい最近の公開となっている。
話だけ聞くと、このアプリとウェブ間のディープリンク問題は大変思い当たる課題だっただけに、なぜここまで解決ができていなかったのか不思議にすら思う。
この点について清水氏に聞くと、技術的な問題というよりは工数や手間の方が大きな障壁になっていたのだという。例えばこの問題を解決しようとアプリからアプリへのリンクを作成しようとすると、技術者であればそこは問題なく開発ができるらしいのだが、とにかくやり始めると手間がかかる。

特にアプリとウェブのリンクマップを作る手順でつまづくことが多いらしい。結果的に開発的には後回しとなり、実現が遅れる。非常によくありそうな状況だ。Circuitではこの一番面倒なマップ作成を現在は引き受けてやっているのだという。さらに導入した後のメンテナンスなどを考えるとこういうソリューションに任せた方が効率的であることはよくわかる。

私は清水氏の話を聞きながら、あるサービスを思い出していた。そう、約1年前に私たちを驚かせたKAIZENの「PlanBCD」だ。JSタグを埋め込むだけでウェブユーザビリティが向上する。まさにこのアプリ版ではないだろうか。KAIZENはユーザビリティ向上を実現できるUX技術者をクラウドソーシング形式で集めたことで、現在大きく躍進を果たしている。
例えばこのマップ作業が大変なのであれば、それをクラウドソーシングで実現することはできないだろうか。
このアプリ間リンクの問題は私自身、一人のユーザーとして不便に思っていることなので、ぜひ彼らに躍進してもらい、多くのアプリを改善していって欲しいと思う。
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