[現地レポート] シリコン・バレーで行われた500Startups Batch11デモデイ – 注目スタートアップ6選

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2015年2月3日、カリフォルニアのシリコンバレーにあるコンピュータ・ヒストリーミュージアムで、恒例の500Startupsのデモデイが開催された。デモをしたのはBatch11のスタートアップ30社。

500 Startupsは2010年に創設されたアクセレータで、現在までに734を超える投資案件を持ち、596の会社に投資している。Batch11での女性創業者の割合は37%を占め、17ヶ国からのスタートアップを受け入れており、ダイバシティーに重きを置いているアクセレータでもある。

まず全体の感想から言うと、どのスタートアップのプロダクトもまだまだ未完成という印象。トラクションデータ等を出せていないスタートアップもちらほらあった。逆に言えばそんな中でも、数は少ないが完成度の高いものや面白いアイデアはひときわ目立っていた。

今回は30社の中から、面白そうなスタートアップ6つを紹介する。

1. Headout

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Headoutはたった60秒で旅行ツアーをインスタント予約できるサービス。別名はHotelTonightの旅行ツアー版。iOSとAndroidで提供されている。各地域のローカル旅行会社と提携しており、売れ残ったツアーを低価格で販売している。

2014年に創業。シリコン・バレーのマウンテンビューに拠点を持つ。これまでに15万ドルの資金調達に成功しており、現在シードラウンド。

すでに4,000のツアーを販売し、65%の月間成長率を叩きだしているとのこと。同社のいる市場は840億ドルの規模と紹介されていた。マネタイズ方法は20%のコミッションから。ニューヨークでは、平均して240ドルのお金を落としているというデータも示された。

ビジネスモデルがシンプルなため、他にも競合が登場してきそうな印象。しかし、ユーザ数はしっかりあり、需要を手堅く掴んでいるように感じた。これからローカルの旅行会社との提携数が鍵になるだろう。

2. CoinPip

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CoinPipはビットコインを使って海外送金を簡単に行えるというサービス。ユーザは受取人の銀行口座や通貨の種類、送金額を入力するだけでよい。そのため実際にビットコインに触れる必要はなく、ビットコインの送金手続きは運営側が持ってくれる。

2014年にシンガポールで創業。現在シードラウンドで10万ドルの資金調達をしている。

ピッチでは、アメリカ企業はリモートワーカーに給与を振込む際に、210億ドルものトランザクションフィーを払ったと紹介されていた。また、アメリカからインドの外注先に500ドルの給与を振込む例が紹介されていた。この例では、普通の銀行振込だと47ドルのトランザクションフィーがかかり、かつ14日も手元に届くまでかかるとのこと。しかし、CoinPipを使えば10ドルのフィーとたった2日あれば支払いができてしまう。この安価でスピーディーな点がビットコインの魅力らしい。

ピッチにあったように、問題解決の姿勢を前面に押し出しているスタートアップであった。また、リモートワーカー向けということで、まさに私のように海外で働いている人向けのサービスで、個人的にも非常に興味が湧く。海外展開が前提のビジネスのため、ビットコインの認知度やリモートワークという働きの浸透が進めばより成長が見込めるスタートアップであろう。

3. Tapper

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Tapperは現在音楽向けのウェアラブルデバイスを販売している。平べったいバンドを巻き、センサー部分を触れれば音が鳴る仕組み。つまりドラムセット無しで、自分の足や太ももをタップすれば音を奏でることができるのだ。

2014年にサンフランシスコで創業。ピッチではプロダクト以外に、ビジョンに関しての説明がされていた。CEO曰く、将来的にはたった1回のタップでドアを開けたり、ライトを付けたりしたいとのこと。

上記のようなビジョンを語るのはいいのだが、音楽ウェアラブルとビジョンとの関連性が示せておらず、よくわからないピッチになっていた。しかし、現在のプロダクト自体はあまり魅力的ではなかったにせよ、「ワンタップで全てのモノにつながる」というビジョンだけを聞けば、惹かれた人は多かっただろうという印象。いずれにせよ、プロダクトの完成度を高める必要はありそうだ。

4. Slidebean
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Slidebeanはプレゼンスライドのデザインをウェブ上で行えるソフトウェアを開発している。使い方は非常にシンプル。予め用意されている型の中から、自分の好きなものを選んで文字と写真を入れていくだけ。いわゆるかっこいいプレゼンスライドの型がすでに用意されていて、それを利用するという具合だ。

2013年にシリコン・バレーにあるマウンテンビューで創業。これまでに20万を調達し、現在シードラウンド。

収益は月間で50%の勢いで伸びており、すでに15,000のスライドがこのサービスを通して作られたとのこと。また、今回のデモで使われた多くがSlidebeanを使って作られたらしい。また、毎日3500万ものスライドが世界中作られていると紹介して、市場の大きさを示していた。

プレゼンスライドのデザイン外注を請け負っているYコンビネータ出身のSketchDeckとは、ユーザ自身がデザインを仕上げるので手法が違う。しかしデザインを追求するという点では両社も同じ。競合になりうるだろう。この点から、どちらのやり方が支持されるのかきになるところだ。

5. CloudAcademy

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CloudAcademyはクラウドコンピューティングに関してのオンラインクラスを提供している。クラスでは動画を使った教材や、クイズ、テストが用意されている。また、AWSを実際に扱うこともでき、実践向けの内容となっている。

2013年にサンフランシスコで創業。22万ドルの資金調達をしており、シードラウンド。

35万ドルの収益と、1200ユーザー以上が課金しているとのこと。また、収益は四半期ごとに25 – 30%の割合で伸びているらしい。クラウドコンピューティングの市場は2000億ドルの市場で、同社はこの市場への切込みを目指しているのだとか。

このスタートアップのように、時代に沿ったトピックを選び出し、それだけに特化した形でオンライン教育を行うというのは理にかなっていると感じた。もちろん、日本市場へも参入は十分に考えられる。昨今の教育市場熱に乗った形で成長が期待できるであろう。

6. Native Tap

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Native Tapは、複数端末を連携させ、アプリテスト及びデバックを同時進行で行えるようにするサービスを提供している。これまで1つ1つ確認していた作業が一挙にできてしまうという具合である。

サンフランシスコに拠点を持ち、10万ドルの資金調達をしているシードラウンドのスタートアップ。

ピッチでは、世の中には500以上の端末が存在しており、これまでは1つ1つチェックしなければいけないという問題が指摘され、その解決策としてNative Tapが示されていた。また、たった1つの端末を扱いながら、複数端末を扱えるという手軽さもアピール。同社が展開するのは130万のアプリが存在する100億ドルの市場とのこと。

特にアプリ開発を受託している会社にとっては魅力的なサービスであると感じた。まだAndroid端末だけで、iOS向けに関しては鋭意開発中とのこと。しっかりとした企業提携先が今後増えれば、業界のスタンダードになるのではないだろうか。