
13億人の人口を誇るにも関わらず、中国の若者は驚くほど出会いの機会がない。少なくとも、このスタートアップはそう考えている。
Hanzhou Ouch Technology Ltd.(杭州哎呦科技有限公司)の Kuailai Zuwo(快来租我、「私を貸し出します」の意)は、中国の若者の空き時間を他の人に貸し出すことによりマネタイズしようというサービスである。月曜日(3月7日)の発表によると、この会社は非公開のエンジェル投資家から、500万元(約76万7,000米ドル)を調達したという。
同社の WeChat(微信)公式アカウントを用いて、ユーザは自身を見知らぬ人に貸し出したり、その逆もできる。料金は1時間ごとに発生し、1時間1~200元(0.15~30.70米ドル)である。内容は映画に行ったり、夕食を食べたり、ジョギングしたり、古都を訪れたりなどだ。
Kuailai Zuwo 共同設立者の Yulong Fan(范宇龍)氏は述べる。
この頃は、若者は出不精になっています。職場への往復の間、ほとんどの若者は一人で家にいるかゲームをプレイしています。自由な時間を活かさなければ、人に出会って話をする機会は減少するのです。

中国の SNS アプリ Momo(陌陌)のように、Kuailai Zuwo は中国の若者同士が出会うのを支援したいという。しかし、Momo とは違って、Kuailai Zuwo はそれらの出会いを個人が利用できるマネタイズの機会と捉えている。
私たちはコミュニティプラットフォームではありません。私たちは情報サービスを運営しています。誰かに会うにしろタスクを完了させるにしろ、何をするにもコストが発生します。(Fan 氏)
Fan 氏は Kuailai Zuwo でのデートはチケットの販売と同様の価値があり、クロストーカー(相声、中国北部で人気のカジュアルなお笑いのパフォーマンス)を例に上げた。
それも一種の消費ではないでしょうか? 例えば、誰かが Jack Ma(馬雲)氏に会いたいとしても、気軽に彼に会うことはできません。もし彼が私たちのプラットフォームを利用したら、人々は彼に会う機会を持つことができます。従ってレンタルの料金は機会に対しての費用なのです。(Fan 氏)
Kuailai Zuwo のユーザが誰かをレンタルしたい場合、プラットフォームからテキストメッセージを受け取る前に、その時間分の金額を払わなければならない。テキストメッセージにはレンタルしたい相手の WeChat ID が含まれている。WeChat で連絡を取った後、時間を貸し出している人はクライアントを拒否することもでき(その場合クライアントに全額が返金される)、面会を手配すると、報酬を受け取れるようになる。
同社は、中国において配車サービスで台頭しつつあり、オンデマンド経済のアイコンとなった Uber や Didi Chuxing(嘀嘀出行、以前の嘀嘀快的)に自社をなぞらえている。
Didi と Uber の立ち上げは、人々が本業以外でも収入を得られるようにという願いからでした。でも、当時人々は個人の車は安全でないと考えていました。今や、Uber や Didi は個人の自由時間を一変させ、個人の車でもいいと考えられるようになりました。(Fan 氏)
Kuailai Zuwo も車を運転する代わりに個人が時間を貸し出す、という同じ目標を持っている。
パフォーマーやクロストーカーも時間を売っていますよね? コンサルタントや弁護士は? 個人が自分の時間を売ることができない理由はあるでしょうか?(Fan 氏)
Kuailai Zuwo は、特定のタスクで時間ごとに課金する C2C レンタルサービスの Zuwo(租我、「私を借りて」の意)によく似ている。Zuwo も Kuailai Zuwo も中国のデート文化の下で運営されており、20代や30代の中国人はしばしば親から結婚しなさいというプレッシャーがあるのだという。どちらのプラットフォームも見知らぬ人と出会うチャンスがない年代をターゲットにしている。
しかし、両社は中国のセックスに関する規制に対応する必要もある。中国では売春もポルノも違法であり、メディアは「不適切な内容」と言う理由でたびたび検閲を受けている。Fan 氏によると、Kuailai Zuwo は誰が何の目的でレンタルしているかに関しては非常に厳しいルールを設けているとしているが、違法行為を防ぐのはほぼ不可能で、2人の人間がオフラインで出会って何が起こるかをコントロールする方法はない。他の中国企業もこの微妙なラインにあり、Momo の場合、2014年中国当局により、売春を促したことで告発された。
2015年7月に設立された杭州拠点の同社は、WeChat 上で50万人のユーザベースを抱えている。Fan 氏によると、その内10%ほどの5~6万ユーザは実際にサービスを提供しており、残りはレンタルサービスを利用する顧客であるという。同社は4月にモバイルアプリのローンチを計画しており、今回得られた資金を製品開発、オンライン及びオフラインマーケティングに活用していく予定だ。
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