宇宙スタートアップが一堂に会するカンファレンス「SPACETIDE」が開催【ゲスト寄稿】

本稿は、吉田直邦氏の英語による寄稿を翻訳したものです。吉田氏は東京を拠点とする Global Innovations のコンサルタントで、アメリカのドローン・スタートアップをはじめとする航空宇宙関連企業のアジア市場参入を支援しています。


Image credit: 一般社団法人 SPACETIDE

2017年2月18日、一般社団法人 SPACETIDE は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局、経済産業省、文部科学省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の後援により、2回目となる民間セクターに特化した宇宙セミナーを、横浜近くの日吉にある慶應大学の藤原洋記念ホールで開催した。このイベントの第1回目が開催されたのは2年前にさかのぼる。A.T. カーニーのプリンシパルで、一般社団法人 SPACETIDE 代表理事の石田真康氏のオープニングスピーチに続き、複数のディスカッション・セッションが行われた(Spire Global 代表は残念ながら、グローバル宇宙ビジネスのパネルには参加できなかった)。

この業界がグローバルステージへと成長する中、2016年には宇宙スタートアップが大きな資金調達を実施し、重要なビジネス提携を実現してきた。この日の1つ目のと2つ目のパネルディスカッションでは、日本の宇宙スタートアップや宇宙スタートアップと緊密に協業する企業から、既存または新しいプレーヤーが数多く紹介されたので、THE BRIDGE の読者にも特に興味があるものだろう。特に2つ目のセッションでは、ビジネス機会を拡大するという観点で、新たな可能性を実現するという側面から宇宙の役割が議論された。パネリストらは、宇宙ビジネスを起業し経営を続けていく上で、スキルセットやチームのスキルに加え、マインドセットが必要不可欠だと述べた。3つ目のセッションでは宇宙ビジネス全般、最後のセッションでは大企業の活動に焦点が当てられた。

Image credit: “Tex” Pomeroy

1つ目のセッションに登場したのは、流れ星アートに取り組む岡島礼奈氏(ALE の CEO で創業者)、東北大学工学部で航空宇宙工学のトレーニングを受けた緒川修治氏(PD エアロスペース)、金本成生氏(日本の衛星キット提供会社スペースシフトの CEO で、宇宙葬儀を提供するアメリカの Elysium Space のディレクター)、日本の小型衛星スタートアップであるアクセルスペースを経営する中村友哉氏(アクセルスペース代表取締役兼 CEO)の4人。総務省の宇宙× ICT に関する懇談会のメンバーでもある野村総合研究所の上級コンサルタント佐藤将史氏がモデレータを務めた。

Image credit: “Tex” Pomeroy

「イネイブラーとしての宇宙」と題されたセッションでは、他の産業とともに宇宙が作り出すイノベーションの最前線が紹介され、イネイブラーとしての宇宙活用の可能性が議論された。この大企業にとっての宇宙の価値についてのセッションには、「みんなのための宇宙」を展開するクリエイティブディレクターで電通宇宙ラボ代表の小田健児氏(彼の最近の作品には、宇宙に似た条件下での労働環境を提供する実験や、国際宇宙ステーションでの宇宙飛行士の生活をシミュレーションできるスマートフォンアプリ「kibo360」、国際宇宙ステーションにいる宇宙飛行士と地球上の人々のビデオチャットを実現した Google/JAXA の「Space Hangout」などの受賞作がある)が登壇した。

Image credit: “Tex” Pomeroy

この2つ目のセッションには、他に、マゼランシステムズジャパンのアシスタントチーフエンジニアである小西覚氏(2018年に完全導入される準天頂衛星を支援する、数センチ単位の正確性を持つ新型の GNSS 受信機を開発している)、ウミトロン代表取締役の藤原謙氏(衛星によるリモートセンシングなど、水産養殖業向けのデータサービス会社を共同創業している)、バイオテック・スタートアップのペプチドリームの取締役である舛屋圭一氏(新しい治療薬の開発のために微小重力環境を活用している)らが加わった。このセッションのモデレータは、グローバル・ブレインのベンチャーパートナーで、「宇宙エバンジェリスト」の商標を持つ青木英剛氏が務めた。

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