製品ではなくサービスで稼ぐ電動歯ブラシのQuipーーサブスクの次「新小売戦略”D2C as a Service”」を学ぶ

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.12.11

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ピックアップ:Quip raises $40 million to expand its subscription dental care products and services

ニュースサマリー: D2C電動歯ブラシを販売する「Quip」が4,000万ドルを調達した。25ドルからの価格帯から電動歯ブラシ、ヘッドブラシ、歯磨き粉の3点セットを提供。四半期毎に新しいヘッドブラシが5ドルの低価格で届くサブスクリプションモデルを展開。電動歯ブラシ販売だけでなく、米国内数千の歯科ネットワークを利用できるサービス「Dental Connect」も提供。口腔ヘルスケア企業として製品とケアサービスの両方を扱う。

話題のポイント: サブスクリプション企業が乱立する市場で生き残るためには製品を販売しているだけでは勝てません。そこで同社が取り組んでいるのが「サービス」も提供するパッケージ商品化です。

歯磨きをする人の生活体験を考えると、定期的に歯医者へいくことは容易に考えられます。こうしたUX視点から顧客体験を考え、川上(歯ブラシ販売)から川下(歯科医療)までを綺麗に抑えているのがQuipと言えるでしょう。この考えは現状のD2C市場では非常に大切なものであると考えます。

たとえば高級女性服レンタルサービスの利用者を考えてみましょう。サービス利用者はどのような日々を送っているのでしょうか?高級服を着て出かけるとしたら、料金帯が比較的高いレストランであったりエステ体験などを求める顧客であると仮定できます。こうした顧客向けに飲食・美容体験パーッケージサービスも提供すれば、Quip同様に顧客体験の川上から川下まで抑えることができるかもしれません。

洋服だけでなく化粧品や本、アウトドアグッズなど様々な商材を切り口として、ターゲット顧客が求める体験をあらゆる角度から提供できるポジションを確立させることで競合他社へのスイッチコストを高め、LTVを最大化させることに繋げられると考えられます。

これまでは各分野でD2C製品を販売すれば既存品より低価格であることに魅力を感じ多くの顧客を獲得できました。たとえば製造ラインを透明化させるミッションやビジョンを掲げることで、企業コンセプトを綺麗に表現できることも手伝い巧みなブランディングが可能であったと感じます。しかし、群雄割拠状態のD2C市場ではブランディングメッセージも製品の安さもなかなか刺さらなくなってきています。

筆者が米国在住時にベッドマットの購入を検討した際、4〜5社ほどのD2Cマット製品を比較しましたが価格帯はほぼ一緒、ブランディングメッセージも似通っており比較する点は機能面しかありませんでした。この経験から筆者はD2C企業は「生活サービス」を提供する立場であるべきだと考えています。私のケースではベッドマットの購入を考えるきっかけが不眠です。そこで睡眠セラピストのカウンセリングやメディテーショントレーニングなど、私の課題感を解決し、生活体験を向上させる企業があればものすごく惹かれていたかもしれません。

これからのD2C企業はサブスクリプションモデルで製品を定期販売するだけではなく、サービス収益も含めて成長戦略を描く必要性があるはずです。

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