研究者の雑務を巻き取って「わからないによる絶望」をひとつでも減らすーー注目集まる「創薬」トレンドと企業/Inner Resource代表取締役社長、松本剛弥氏

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本稿は東京都が主催し、Beyond Next Ventures株式会社が運営する創薬系ベンチャー育成支援プログラム「Blockbuster TOKYO」による寄稿転載。医薬品/創薬、医療、創薬支援/受託サービスなどを手がけるベンチャー、起業家を対象に昨年6月から選抜・育成プログラム運営している。3月27日には成果を披露する「ビジネスプラン発表会」を開催予定

前回からの続き。本稿では発表会に先立ち、3回に渡って創薬に関係する人々を繋ぎ、この分野に関する知見を共有する機会を作ることにしました。最終回は研究者のための業務効率化クラウド「reprua(リプルア)」などを提供するInner Resource代表取締役社長の松本剛弥氏です(太字の質問は編集部、回答は松本氏)。

創薬をテーマに支援者、研究者のインタビューを繋いできました。松本さんたちが手がけられているのは研究活動を支える「サポーター」的立ち位置のサービスと言えばよいでしょうか

松本:そうですね、具体的には研究者の方々が研究物品を選定したり、相見積や調達、試薬・在庫管理など、研究に必要不可欠な購買・在庫管理がひとつのシステムで完結するクラウドサービスを提供しています。

人的リソースや資金が足りない研究開発型ベンチャーに対して、不要な雑務を巻き取って研究開発に取り組める時間を増やしたり、手軽な相見積環境を整えることで研究費をより有効活用できるようにする。私たちが貢献できる点は研究開発を促進させる「環境を整える」ことにあります。

どういった経緯でこの課題解決に挑戦しようとされたのですか

松本:ある出来事が転機になってこの事業を考えるようになったんです。

私の家族のことなんですが、ある日、とある病の宣告をされたんです。しかもこれは原因不明のもので、難病にも指定されているものでした。突然の出来事だったことに加えて病気の原因や治療方法が分からず目の前は真っ暗です。希望も全く見えなくなっていました。

なるほど…衝撃的な出来事があったんですね

松本:これをきっかけに、病気や医療のことについて調べるようになりました。また、当時勤務していた外資系の金融企業を退職し、研究機関向けの専門商社に転職しました。専門商社で働いたことで、難病の研究・治療を手がける医療機関に関する知識や人脈も得ることに繋がったんです。

そこで課題の発見をしたと

松本:はい。研究者たちのことを知るにつれ、膨大な事務作業によって研究活動をするための時間が圧迫されているという「環境が抱える問題」に気づくようになりました。ただ、当時勤めていた専門商社ではこの課題を解決するための動きを加速させることが難しかったので、もうこれは自分たちでやるしかないと思って起業という選択をしたんです。

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課題解決にはいくつかアプローチがあったと思います。また、創業の経緯も影響は強いように感じます。どうして結果的に業務支援という道を選んだのでしょうか

松本:お話した経緯から、私は人生の目標に「わからないによる絶望をなくす」というものを掲げるようにしています。研究者はいわば未知なるものの根源や解決策を日々模索するスペシャリストです。

もし彼らを増やし、徹底的に支援をすることができれば「わからないによる絶望」をひとつでも減らすことができるかもしれません。そのためには彼らが研究に没頭する十分な時間を確保することが重要になってきます。

課題は煩雑な事務作業です。

松本:これを解決し、研究者が研究に集中できる環境を構築することができれば、自分のように新しい治療法を待ち望んでいる人だけでなく、より幅広いニーズをカバーすることも可能です。これこそ自分が、研究業界の発展に寄与できる方法なんだと確信したんです。

難病で苦しむ人たちを支援するには、創薬に取り組む企業だけでなく、取り巻く支援者やスタートアップする研究者、さらに松本さんたちのようなサポーターの存在が必要なのだと改めて理解できました

松本:Blockbuster TOKYOでは、資金調達等の事業運営に関する各種支援の他、様々な人とのネットワークも作ることができ、大きな刺激を受けました。リプルアについてはBeyond BioLAB TOKYOにもシステムとして採用いただいたりしていますが、みなさんと連携して日本橋から様々な創薬ベンチャー発展のきっかけを作っていきたいですね。笑顔溢れる未来を支えることが願いです。

取材対応ありがとうございました

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