次なる市場は「旅先到着後」。ニッチな移動需要を狙うWelcome Pickupsが330万ユーロを調達

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2019.3.30

Image Credit: Welcome Pickups

ピックアップ: Welcome Pickups lands €3.3 million funding to offer ‘in-destination’ travel services

ニュースサマリー: 3月22日、旅先移動サポートを行うギリシャ拠点のトラベルスタートアップ「Welcome Pickups」が330万ユーロの資金調達に成功したと発表。同社は空港ピックアップ、滞在グッズの支給、24時間対応の旅行先アクティビティ情報サービスを提供。

旅行先空港に到着してから帰国便に乗るまでの旅先移動需要を包括的にサポートするのがWelcome Pickups。提携ホテルまでの移動や代理店が販売する旅行アクティビティに必要な移動手段を提供。

たとえば海外旅行をする際、移動手段として配車サービス「Uber」や現地タクシーを自前で手配する必要があったが、Welcome Pickupsはこうしたストレスを解消する。

2015年の創業から2018年末までに32拠点で40万の旅行者にサービスを提供した。2019年末までには100万旅行者までトラクションを増やしたい意向。

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話題のポイント:成田空港を訪れると出迎えゲートに旅行者の名前が入ったプラカードを持ったドライバーをよく見かけることがあります。旅行会社や宿泊先から手配されたドライバー達です。Welcome Pickupsは正にこうした旅行先ドライバー手配をITの力で効率化しようとしています。

連絡手段はアプリを通じたメッセージに統一。ドライバーは利用者の飛行機の到着日時を手軽にアプリを通じて知ることもできます。現地に到着したら専用SIMカードや地図が用意されていますし、遊び先に迷ったら問い合わせられる対応オペレーターがいます。

これまで当たり前に見かけていた需要を、当たり前に普及した技術・機能を用いて1つのサービスにまとめているのがWelcome Pickupsと言えるでしょう。1つ1つを切り取ると非常にニッチな市場ですが、一元化することで大きな需要を丸ごと抱えられるという同社の戦略が伺えます。

トラベル市場は「旅行前」「旅行中」「旅行後」の3つのカテゴリーに分断されており、各カテゴリーに存在するサービスがばらばらに分かれています。そして航空会社のCVC(Corporate Venture Capital)が同3カテゴリーの水平統合を目指す動きがあります。

たとえば米国拠点のLCC(格安航空会社)「JetBlue」はすでに12以上のスタートアップに投資を実行し、旅行「前」から「後」に及ぶ顧客体験向上に動いています。東南アジア拠点の「AirAsia」もCVCを設立予定ということもあり、JetBlue同様の投資戦略を実施することが予想されます。

本記事で紹介したWelcome Pickupsは「旅行中」の需要を満たすサービスにあたります。この点、顧客体験の向上戦略に動いているCVCのコンテキスト(背景)を理解すれば高い事業シナージーを生み出せるはずでしょう。単なる旅先移動需要とだけ語るだけではアピール力が弱くなってしまう印象です。

さておき、日本でも国内旅行及び海外旅行客向けに旅先到着後の移動需要を狙ったサービスを展開すれば、ANAやJALとのシナジーを生み出し将来的にExitを見据えた展開を狙える可能性があるはずです。「ニッチだから」と見過ごすのではなく、旅行客の体験プロセスを分解してどの分野を統合すれば新たな商機を生み出せるのか考えると良いアイデアを得られるかもしれません。

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