旅の始まりはスーツケースからーー14億ドル評価のD2Cトラベルブランド「Away」がベットするミレニアル世代のパーソナライズ思考

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ピックアップAway Luggage Hits $1.4B Valuation After $100M Fundraise

ニュースサマリー:D2Cトラベルブランド「Away」は14日、シリーズDにて1億ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドをリードしたのはWellington Management Company LLP。その他にはBaillie Gifford、Lone Pine Capital、Global Founders Capitalも参加した。同社は今回のラウンドを含めこれまでに累計1億5600万ドルを調達し、今回の調達で14億ドルの評価額をうけている。

同社は2016年に創業した旅行用品ブランド。同社発表のプレスリリースによれば、創業から1年のみで1200万ドルの売り上げを記録し、2018年には1億5000万ドルを突破したとしている。Awayは今回調達した資金を用いて、製品バリエーションの増加、実店舗の設立、並びにグローバル展開を進めていくという。特にグローバル展開においては、既に進出済みの39カ国での展開を強化するとしている。

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話題のポイント:D2Cモデルながら急激な早さで成長を遂げるAway。企業のブランド力に加え、数字の面でも1億ドルを超える売り上げをたたき出すことに成功しているその秘密には何があるのでしょうか。

同社が主力とするスーツケースは、所有する機会の多いプロダクトです。しかしその反面、一度購入したらそう簡単に買い替えしないのも事実です。同社創業者でCEOのSteph Korey氏も、事業を開始した当初は、スーツケースの買い替え頻度が少ない点を指摘され続けたとインタビュー等にて明らかにしています。

さて、では同社はなぜこの一般概念を覆すことに成功したのでしょう。そのヒントは、同社HPに隠されていました。キーワードは「Personalization」です。

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いわゆるミレニアル世代は、モノ消費からコト消費への転換が起きているといわれています。コト消費の典型的な例が「旅」で、Amazonでヘッドフォンに200ドル使うよりも、旅という「経験」にお金を消費する体験重視の考え方です。

これは見方を変えるとミレニアル世代は「旅」という消費行動を通して、自分にとって「パーソナライズ化」されたサービスを受けたいと考えていることの裏返しにも思えます。消費行動に変化が起こって「旅」に多様性が生まれるなか、「旅のパートナー」ともいえるトラベルバックパックやスーツケースはそこまでパーソナライズ化されていない領域でした。

そのたった一点を突いてきたのが同社でした。

例えば同社では、スーツケースに好きな文字と色を3文字以内のみで付け加えることが可能です。さらに、文字自体はAwayのデザイナーによって直接ペインティング施されるため、オリジナリティー性を求める層にとっては最大の魅力ポイントになります。

同社がなぜ、ここまでD2Cモデルを成長することが出来たのかに関してよく議論されているのを目にします。もちろん、彼らのインスタグラムでのマーケティングやその他リアル店舗の展開なども役立っていることは間違いありません。

しかし今回リサーチを通して、最終的にたどり着いたのは上記の「ミレニアル世代からの需要」を前提としたブランド創造という観点でした。今後D2Cモデルを始めていくスタートアップにとってAwayのミレニアル世代を踏まえた戦略は非常に参考になるのではないでしょうか。

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