宿泊施設〜空港間の手荷物を当日配送するAirporter、シリーズAで数千万円を資金調達——BASE Partners、マネックスV、みずほキャピタルから

SHARE:
Airporter のチーム。中央が創業者で代表取締役の泉谷邦雄氏
Image credit: Airporter

宿泊施設〜空港間の手荷物当日配送サービス「Airporter」を提供する Airporter は24日、シリーズ A ラウンドで資金調達を実施したと発表した。正確な調達額は明らかになっていないが、数千万円規模とみられる。今回のラウンドに参加したのは、BASE Partners、マネックスベンチャーズ、みずほキャピタル。Airporter にとっては、昨年3月に実施したシードラウンド(BASE Partners と BEENOS が参加、調達額数千万円程度)に続くものだ。Airporter では今回調達した資金を使って、ホテルとの業務提携の強化、UI の改善、配送システムの強化を行うとしている。

2016年12月にβローンチした Airporter は、空港から宿泊施設へ、または、宿泊施設から空港へ、観光客の荷物の当日輸送サービスを提供するスタートアップだ。観光客は手ぶらで移動できるため、フライト到着から宿泊施設へのチェックインまでの時間、または、チェックアウトからフライト出発までの時間を自由に過ごせるようなる。創業者で代表取締役の泉谷邦雄氏の言葉を借りれば、「観光時間の創出」が可能になるわけだ。

泉谷氏はもともと民泊を10軒ほど経営していたが、チェックアウト後に荷物を預かれないことから、宿泊客にはコインロッカーの利用を勧めていた。しかし、大型のスーツケースが収納可能なコインロッカーが限られ、コインロッカーが集中する鉄道駅まで荷物を持って移動することを余儀なくされるため、一部の宿泊客からはクレームが寄せられる羽目に。この事件を契機に、いっそ荷物を空港に運んでしまえばいい、というアイデアに行き着いた。Airporter は空港内の荷物預かり所と提携しており、観光客はここで荷物の受け取り、預け入れが可能だ。

Airporter のユーザの皆さん
Image credit: Airporter

現在、東京と大阪でサービスを提供しているが、東京では全体の25%に相当する4万室分のホテルと契約しており、現在の顧客流入経路の多くはこれらホテルを通じてのものだ。この戦略が功を奏して、現在のサービス取扱量は MoM(月次成長率)で20%を超えている。このビジネスの利益率を握るのは配送時の積載率になるが、今のところは〈宿泊施設→空港〉の需要が〈空港→宿泊施設〉のそれを大きく上回っているようで、後者の需要を伸ばすことが今後の課題。

泉谷氏は THE BRIDGE の取材に対し、「(〈空港→宿泊施設〉の需要に訴求する)海外プロモーションはまだこれから。まずは、(〈宿泊施設→空港〉の需要を取り込む)タビナカを押さえていこうと考えている」と語ってくれた。また、〈空港→宿泊施設〉の積載率を高めるため、この配送ルートに関わる他の需要確保にも見通しが立っているという。将来的には、観光客の日本滞在最終日の爆買商品の空港直送などにも商圏を広げたいと考えているようだ。

ソウルや香港などでは空港に行く前に、都市中心部で荷物の預け入れやチェックインできる「シティチェックイン」が提供されているが、東京や大阪を含む世界の多くの都市ではそのようなサービスは無く、観光客自らが重い荷物を持って、空港⇆宿泊施設間の移動を余儀なくされる。そんな中、筆者も旅をしていて、最近、この種の荷物配送サービスを目にすることが多くなった。バンコクの AIRPORTELs、ドバイの DUBZ(今月、グラウンドハンドリング大手の dnata が買収)、ロンドンの Airportr、アメリカ主要都市の AtYourGate、香港の LuggAgent など、既存の運送会社ではなくスタートアップの手によるものが多いのが興味深い。

その理由について、泉谷氏は

  1. 既存の運送会社ネットワークが、輸送効率化を目的にハブ・アンド・スポーク型で設計されていて当日配送には向かないこと
  2. 空港⇆宿泊施設間の荷物配送は、集荷や配達時に不在ということがないので、再配達によるコスト増が生じにくいこと

……などが背景にあるからではないか、と語ってくれた。一方で、早い段階で顧客流入経路との提携を増やし、潜在的競合への参入障壁を作ることもスタートアップにとって喫緊の課題だ。日本では、店舗等の余剰スペースを活用した荷物預かりサービス ecbo もまた、駅ターミナルから宿泊施設への手荷物配送サービス「ecbo delivery」を発表している

----------[AD]----------