CES 2020: イベント直前プレビュー〜スタートアップは1,200社が出展、健康ウェルネス・AR/VR・スマートシティ分野が出展者数・面積ともに増

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CES 2019 のサイン
Image Credit: Dean Takahashi

来週開かれる CES では、5G からビデオストリーミング、自動運転車に至るまで、最新の技術動向を見聞することになる。これらは新しいトレンドではないが、テクノロジーの継続的な進化のおかげで、これまで以上に強力で実用的なものになるだろう。

テック業界を代表するロビー団体 CTA(全米民生技術協会)の基幹イベントでもある CES 2020 が始まるのに先立ち、5日から2日間にわたって開催されるプレスデイには、約6,000人の報道関係者が集結することになる。もし CES に来るのが初めてなら、筆者のヒントやコツを参考にしてほしい。

CTA のエグゼクティブバイスチェアマン Karen Chupka 氏によれば、290万平方フィート(約27万平方メートル=東京ドーム6個分)におよぶメインのイベントフロアは、7日までに4,500人の出展者に開放される予定。約17万人が参加し、昨年の175,212人からはやや減少する見込み。しかし、それでも今年最重要のイベントの一つであることは変わらず、テックの未来トレンドを教えてくれる存在だ。

CES はサムスンやソニーといった大手のための場所であるとともに、Eureka Park のセクションには1,200社のスタートアップを迎える。スタートアップの数は昨年の1,160社よりも少し増加する見込みだ。

大きなトレンド

Qualcomm の 5G チップ

IoT は、スマートホーム、スマートビルディング、スマートなんでも…に舵を切ることになるだろう。映像解析、ニューラルネットワーク、機械学習の成功に支えられた人工知能は広がりを見せる。ブロックチェーンのスタートアップは、ガジェットのバッテリ寿命を節約する技術と同じく、引き続き注目を集めている分野だ。

ヘルステックの分野では、ベビーブーマーが高齢化する人口トレンドに業界がついに目覚め、高齢者とその介護者を対象としたソリューションをこれまで以上に見せてくれることを期待したい。このようなデバイスには、転倒警告や健康上の問題を検出するためのウエアラブル、介護者の生活を調整する手段などがある。全体として、健康とウェルネスの出展者は、出展者数ベースで25%、出展面積ベースで15%増加する。睡眠ケアソリューションがよりスマートで実用的になることを期待したい。

ホワイトハウス顧問で Trump 大統領の娘 Ivanka 氏が CTA の CEO Gary Shapiro とファイヤーサイドチャットを持つ予定だが(現地時間6日午後2時、日本時間7日朝7時)、これに反対している人もいるため論争を引き起こすことになるだろう。CES は、e スポーツ(お気に入りのプレーヤーのビデオゲーム対戦を、ゲーマーが見て楽しむ行為)にもスポットライトを当てる(筆者は8日午後1時、日本時間9日午前6時、3F Ironwood Ballroom の Aria で、「e スポーツやゲームとブランドがどう関わるか」をテーマにしたセッションでモデレータを務める予定)。

1年前、2020年に 5G の大規模展開が順調に進むと予想していた。5G はここにあるが、そのほとんどは、モバイルで常に先を行く韓国などの場所でしか、予想通りには進んでいない。Apple はまだ 5G スマートフォンを発売していないため、本当の革命が起きるのは2021年と思われる。5G は形を変え、データやネットワークへのアクセスを容易にし、家庭にブロードバンドサービスを提供するケーブル会社をディスラプトするだろう。5G ラップトップはモバイルワーカーにとって天からの恵みとなり、クラウドゲームサービスと組み合わされば、ゲーマーそ 5G ラップトップを欲しがるだろう。しかし、それでも我々が期待するよりも動作は遅い。

今年の CES には無いもの

昨年の CES では、Nvidia の CEO Jensen Huang 氏が事前原稿無しで講演した。今年は彼に会えない。
Image Credit: Dean Takahashi

いつもなら開催されるのに、今回は開催されないものもある。Nvidia CEO の Jensen Huang 氏は、5日夜に行う年次の基調講演を今年はスキップする。サムスンは現地時間6日夕方6時半(日本時間7日午前11時半)のオープニングの基調講演を担当するため、5日午後のプレスイベントを中止した。つまり、これらテック重鎮達によっては、いつもより露出が少なかったり、披露されるプロダクトが少なかったりするわけだ(Apple は CES には出展せず、Google は大規模プレスイベントを開催しない。Amazon は同社のパートナーがプロダクトを展示することのみ許可している。)

しかし、Advanced Micro Devices(AMD)の CEO Lisa Su 氏にはいくつかのニュースがある。彼女はサムスンのプレス発表の時間帯を利用して、Ryzen と Radeon という2つのチップで、AMD がいかにして復活を続けるかを話す予定だ。

ドローンの展示面積は昨年と同じかやや小さく、また、3D プリンティングの展示面積も小さくなる。Lora DiCarlo や Lioness などのセックステックベンダーはイベントフロアでのみ展示を許可される。筆者の Facebook の友人の一人は、CES を CEX に改称すべきだと言っていた。

たくさんのテレビと車

自動運転車が完成形に近づくには標準化団体が必要だ。写真は、ARM TechCon で展示された、ミネアポリス拠点 VSI Labs の研究開発車。
Image Credit: Dean Takahashi

ラスベガスコンベンションセンターの北ホールは、ドライバーアシストまたは自動運転車を製造する多くの自動車会社が、多くの車種を揃えた自動車ショーのようだ。

8K テレビは豊富になるだろう。8K テレビの解像度は 7,680 × 4,320 と、ピクセル数はHDTVの16倍、4K テレビの4倍になる。これらのテレビは過去3年間、主に金持ち向けのプロトタイプまたはオモチャとして披露されてきたが、テレビ業界は、特に2020年の東京オリンピックが8Kで放送されるため大きな努力を注いでいる。

サムスンのような企業も、我々がディスプレイに興味を持ち続けるよう、あらゆることをしようとしている。つまり、ディスプレイは折り畳み可能となり、薄くなり、ベゼルと呼ばれる小さな縁ができる。また、色に関しては、よりシャープで鮮明になる。しかし、これは必ずしも誰もが破壊的な(ディスラプティブな)イノベーションと呼ぶものではなく、我々が今求めているものだ。漸進的な(インクリメンタルな)イノベーションに似ている。

サムスンや LG のような企業も、日常のデバイスをよりスマートに、より接続しやすくしようとしている。ディスプレイ付きの冷蔵庫、スマートフォンで制御できる洗濯機、家を守る防犯カメラとロボットに期待しよう。また、企業は、テレビや音声制御デバイスで IoT の多くの制御を集中化することにより、我々の生活を簡素化しようとしている。

バーチャルリアリティ(VR)ベンダーは、市場を見つけるのに苦労し続けている。拡張現実(AR)とゲームベンダーの展示に混在しているため、CES で彼らがいっぱいになるかどうかを判断するのは難しい。全体として(昨年よりも)、AR/VR カテゴリは出展者数ベースで30%、出展面積ベースで15%増加。また、スマートシティは、出展者数ベースで25%、出展面積ベースで70%増加している。

しかし、VR イノベーターは、身体の触覚サイバーシューズといった VR でより多くの感覚を体験できるテクノロジーを引き続き推進していくようだ。

それ以外の人のためのテック

Carnival Cruises のゲーム「PlayOcean」は、クルーズ船上のポータル画面からアクセスできる。
Image credit: Carnival Cruises

非テック系企業から興味深いテクノロジーが出てくることを期待している。筆者の好きな CES トークは数年前のもので、世界最大のクルーズ会社 Carnival Cruises の CEO Arnold Donald 氏がウエアラブルの「Ocean Medallion」を披露したときのことだ。テクノロジーが非テック産業にどのように浸透しているかを示したもので、そのテクノロジーは木造物の中に溶け込み、また、木造物もスマートになっていた。Carnival Cruises は現在、100隻以上のクルーズ船にこの技術を装備している。

昨年、Procter&Gamble(P&G)は、センサーや AI を皮膚診断アプリや電気カミソリなどに組み込むなど、通常の製品にテックをクールに採用した事例を披露した。去年の製品——そういえば、筆者の顔によく利いたシミ落としがあった——のように創造性を取り入れた、より多くの製品が今年も登場するだろう。

デルタ航空の CEO Ed Bastian 氏は今年、現地時間7日午前9時(日本時間8日未明2時)に基調講演を行う。この講演が、非テック企業がテクノロジーを使ってビジネスを改善する方法を示すことを期待している。ただし、我々はすべての新しいテックトイに大量のお金を払えないということを、製品メーカーは念頭に置いておくべきだ。

よりスマートな空気清浄器?

Molekule Air Mini
Image Credit: Molekule

最後に、テック企業と非テック企業の両方が見たい事例を紹介して本稿を閉じたい。この一年ほどの間、筆者は空気清浄器に注目してきた。一般的には、吸い込みたく無いものを空気中から取り除くために電源を入れるローテクなデバイスのことだ。

カリフォルニアでは、最近発生したすべての火災を受けて、これらの空気清浄器をよりスマートにすることが非常に重要になっている。Molekule が Molekule Air Mini で見せたように、本当に良い空気清浄器を開発できれば、それは素晴らしいことだ。 ただし、この製品はフィルターのコストを含まず、400ドルと少し高価だ。それなら、この空気清浄器をより手頃な価格の領域に導入しるといい。おそらく、空気をきれいにするのに相応しい仕事をすることができる多くの競合他社がいるだろう。1,000ドルのシャワーヘッド、250ドルのペット餌やり器、1,000ドルのスマートスーツケースなど、高価すぎると、優れたテクノロジーはあまり役に立たない。

Molekule 自体は空気の質を測定しておらず、何らかの表示器でそれをユーザに示す必要があるというのは欠点だ。おそらくスマートフォンの画面で、自宅の空気がどれほど汚れているかを見ることができれば、適切なタイミングで気にすることができる。筆者はスマートフォンで寝室の空気がどれだけきれいかを確認してみたい。そして、清浄器メーカーが筆者により良い睡眠が取れると約束してくれたら、筆者は彼らがそれをどのように測定できるかを見てみたい。

空気清浄器の「Alen BreatheSmart 45i HEPA」は、Sleepscore Labs に調査を依頼、ユーザの93%がこの清浄器を使ったことで、より良い睡眠がとれたことを示した。しかし、筆者は、睡眠測定、空気測定、清浄器がシームレスに接続され、リアルタイムに確認できる方法を見てみたい。それこそ、生活を変えてくれる製品になるに違いない。

おそらく、筆者は今年それを見ることになるだろう。しかし、空気清浄器業界には毎年のように何度も会いに行きたい人たちがいる。彼らは過去数年の良いアイデアをもとにしながらも、より洗練され、安価で、より実用的な形へと進化を遂げている。ある時点で、このテックは我々の生活の一部となり、我々はもはやテックと考えないようになるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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