NY発の相乗りライドシェア「Via」、シリーズEで2億米ドルを調達——社員移動にサービス利用の森ビルも出資、評価額は23億米ドルに

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Via Transportation は、バンやバスを使ったオンデマンドのライドシェアシェアリングを提供している。同社はシリーズ E ラウンドで2.3億米ドルを調達した。バリュエーションは23億米ドル。

新型コロナウイルスの流行が世界的に経済環境を動揺させる中、今回の資金調達は発表された。ソーシャルディスタンスやテレワークが原因で、ライドシェアアプリやホテルのアグリゲーターなどのビジネスが深刻な打撃を受けている。また、スタートアップは特に、投資家から新しい資金や約束された資金を調達することが困難になっている。

Source: Via Transportation

これまでのところ、物流や輸送サービスは、このトレンドに流されていない。Tech in Asia の分析によれば、2月の資金調達総額は前年比26%減の46億米ドルとなった。物流・輸送では13件で11億米ドルの資金調達があり、業種別ではトップとなった。

2月下旬、東南アジアの配車サービス大手の Grab は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)や TIS などの投資家から8億5,000万米ドル以上の資金調達を行ったと発表した。インドネシアの競合である Go-jek も3月中旬に12億米ドルの資金調達ラウンドをクローズした。

今回の最新ラウンドは、イタリアのアニェッリ家(フィアットの創業家)の持株会社である Exor がリードインベスターを務めた。新規投資家には、 Shell、Macquarie Capital、森ビルなどが名を連ねている。既存の投資家である Pitango、83North、Hearst Ventures、Ervington Investments、Planven Ventures、Broadscale Group、RiverPark Ventures もこのラウンドに参加した、と Via は述べている。

特にこのような困難な時代にあって、ダイナミックでデータドリブンの公共モビリティシステムという Via のビジョンに対する Exor のコミットメントを非常に評価している。(Via 共同設立者 Oren Shoval 氏と Daniel Ramot 氏)

2012年にイスラエル人起業家によって設立されたアメリカ拠点の Via は、同じ方向に向かう複数の乗客や荷物を集約できるサービスを提供。このアプリは20カ国70都市以上で利用可能で、これまでに世界中で7,000万人以上に乗車サービスを提供してきたと同社は述べている。

Source: Via Transportation

Via は、世界中の規制当局や公共交通機関と協力し、既存インフラをより効率的にすることを目指しているという。

シンガポールでは陸上交通庁(LTA)と提携し、オンデマンドの公共バスサービスを提供している。日本では、伊藤忠商事、森ビルと戦略的パートナーシップを結び、森ビルの従業員向けにバン通勤サービスを提供している。また、インドネシアでは、Teknologi Rancang Olah Nusantara(TRON)と提携し、ブカシで公共交通機関とバンシェアリングサービスを提供している。TRON のモバイルアプリでは、ユーザは15人乗りのシェアバンをリクエストすることができる。

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Via は、アジアの地元企業との提携により、独自のニーズに対応している。アフリカ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、インドの農村部では、公共交通機関の選択肢がないため、ほとんどのユーザはタクシーとバスの中間のような個人経営のシェアバンを利用している。Via を使うことで、こういったのサービスの安全性や価格設定の問題に対処できる可能性が高い。

業界大手の Uber は「UberXL」で多人数用のライドシェアサービスを提供しているが、Uber のプラットフォーム上のほとんどのユーザは、アプリを Uber の配車サービスと認識している。アメリカに拠点を置く Uber とインドの競合 Ola Cabs は最近、新型コロナウイルスの影響で、世界で最も人口密度の高い国の1つであるインドでのライドシェアサービスを停止した。これより前、Grab はシンガポールとフィリピンで「GrabShare」を停止している。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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