Dolphin BrowserがAndroid版バージョン10.0をリリース——日本向けにはJetpackを標準搭載し、表示高速化に対応

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2013.7.17

dolphin_logoジェスチャーやソナー(音声認識)で操作ができるモバイルブラウザ「Dolphin Browser」は7月16日、Android端末向けにバージョン10.0を発表した。今回のバージョンアップで、スタートページに60以上のサイトへの直リンクボタンが登録できるようになり、ジェスチャーやソナー機能の起動は「ドルフィンボタン」から選択可能、Amazon や Wikipedia などのサイトでの横断検索、Flash 対応が実現された。

また、Dolphin Browser の日本版では、世界と比較して高速な日本のモバイル環境に対応すべく、ブラウザのレンダリングやスクリプト実行を高速化する Dolphin Jetpack を標準搭載、日本市場でのオルタナティブ・ブラウザ(スマートフォンに標準搭載されているブラウザ以外のブラウザ)としてのシェア拡大を狙っている。

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このニュースを受けて、筆者は自身の Android 端末に入った Dolphin Browser を Ver. 9.4.3 から 10.0 にバージョンアップしたのだが、画面が非常に見やすくなったというのが初見の印象だ。

Dolphin Browser は、特に日本市場に照準を定めた動きが顕著だ。対照的に、モバイルの普及率の高さでは日本を凌ぐ韓国で「돌핀브라우저(Dolphin Browser のハングル表記)」とか、Dolphin Browser が生まれた中国で「海豚測覧器(Dolphin Browser の中文名)」とかでキーワード検索してみても、目立ったニュースは見つからない。日本での Dolphin Browser の最近の動向は次の通りだ。

  • 2011年11月  iOS 用日本語版アプリをリリース
  • 2012年8月  Infinity Venture Partners から資金調達(調達額は非公表)
  • 2013年1月  日本法人を設立、須賀正明氏が代表取締役に就任

2009年10月のアプリリリース以降、2012年8月までの34ヶ月で世界5,000万ダウンロード、さらにそこから今年7月までの11ヶ月で3,000万ダウンロードを追加して計8,000万ダウンロードを達成。単純計算すると、この1年間でダウンロード増加のスピードは、ほぼ倍に加速していることがわかる。AppAnnie の公開データを見る限り、他の国に比べて日本市場のユーザが圧倒的に多いというわけでもないようだが、それでも、日本市場を重視する背景には、モバイルのマネタイゼーションのやりやすさが深く関係しているのだろう。

同じく中国出身で(そういう意味では、Dolphin Browser と境遇が似ている)、サンフランシスコでモバイル向けのサイト構築サービス「Strking.ly」を運営する David Chen も、こう言っていたのを思い出す。

(Eコマースは例外として)ウェブサービスにお金を出すというマインドは中国には無いので、まず消費者や事業者を啓蒙するところから始めなければならない。でも、スタートアップには、市場が成熟して彼らがウェブサービスにお金を払ってくれるようになる時期を待つ余裕は無い。モバイルのスタートアップが日本市場を目指すのは、日本が既にモバイルのマネタイズに成功しているからだ。

dolphin-pokecho_screenshotこれまで無料でブラウザを提供してきており、目立ったマネタイゼーション・ストリームを持たない Dolphin Browser だが、ここに来て新たな動きを見せている。去る7月12日、東京に本拠を置くモバイルゲーム・アプリ開発会社のハイレゾと協業で、「ドルフィンぽけちょ(スマートフォンからのみアクセス可)」なる新メニューをローンチした。このメニューでは、広告主がモバイルアプリの宣伝を掲出し、そのアプリをユーザがダウンロードすることで、ユーザは景品交換ポイントを得られるしくみだ。当然ながら、Dolphin Browser またはハイレゾ社には広告主から広告収入が得られることになる。(ちなみに、アメリカ本家版には同様のサービスの存在は確認できていない。)

以前、創業者兼CEO の Yongzhi Yang が来日した折、「Dolphin Browser は、片手でも操作が完結できる」という話をしていた。東京の地下鉄のトンネル内でも高速モバイル環境が整備された昨今、混雑した電車の中でもスマートかつスピーディーにウェブ閲覧を楽しむ上で、Dolphin Browser は日本のユーザ環境にフィットしていると言えるだろう。ウェブ閲覧時にキーワードを自動的にリンク化する Phroni が Dolphin Browser 向けにアドオンをリリースしたのは記憶に新しいが、これらの便利なアドオンとの融合により、多忙な現代人に最良のユーザ・エクスペリエンスを提供し続けてくれることに期待したい。

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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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