数十年の時を経て、なぜ今人工知能の時代がやってきたのか?

著者はNYU Future LabsのSteven Kuyan氏とff Venture CapitalのJohn Frankel氏である。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

人工知能、すなわちAIはコンピューティングが始まった当初から存在し、失敗のスタートを切ったことが多くあった。現実がサイエンスフィクションが描くような期待像に追いつかなかったのだ。

それによって、長い間、多くの人のAIに対する理解は、大学の研究室や企業の秘密プロジェクトなどといったものに限定されていた。AIの製品やサービスを市場でローンチし、より幅広い社会的利益のために活用することが実現できなかった。コンピューティングのパワーが十分でなかったし、体系化されたデータも(そのデータをいかに活用すべきかという知識についても)揃っていなかった。

AIは過去40年にわたって最先端を走ってきたが、2016年には流行語となった。機械学習、自然言語処理、音声認識、データマイニングといった技術を取り入れながら。大手企業はAIを自社製品に組み込むべく奔走している。

Googleの新しい機械学習プログラムは、自分のピアノ曲をつくった。自然言語処理の発展が非常に速いペースで進んでいるため、会議のスケジュール設定はAIの秘書をCCに入れることになりそうだ。AIベースのコンピュータであるIBMのWatsonは、既に10分以内に人命を救えるような医療判断ができるようになった。じきにニューヨークポリテクニック大学の学生と他の研究大学は、コンピュータを訓練してハッカーに対抗できるようにするだろう。

CB Insightsのデータによれば、2016年の第1・2四半期で人工知能を主軸とした200のスタートアップがベンチャーキャピタルの資金を得たという。巨大な時間とリソース、資本がこの領域に注がれているのは明白だ。

なぜAI、なぜ今なのか?

こうした動きの背景には、ここ数年の3つの主な進展がある。

  • これまではアナログだったより多くのデータ層がデジタル化している。それによって突然、巨大なデータセットが、いかにそのデータが振る舞っているか、そのデータが何をしているかも含めて、人々とシステムの前に現れた。
  • プロセッサーの処理速度が速くなり、プロセッシングアーキテクチャがずっと洗練されたものとなった。それによって、巨大な量のデータが現在はリアルタイムで分析でき、即時に行動を呼び起こすことができる。
  • 土台となっている科学の発展、AIの様々な活用方法が可能にした能力という点で、目を見張る進歩があった。

AIは非常に多くの業界に対して、非常に多くの形で影響を及ぼす可能性を秘めているため、それ自体を領域と考えるのではなく、複数の領域にまたがった一つのレイヤーと考えるべきだ。

2000年代初期にモバイルの始まりが今の私たちがなすほぼ全てのことに影響を与えたことを振り返ってみてほしい。今後数十年かけて、人工知能がもたらす変化はそれと似たものだと予想できる。

では、その変化はどのように起こるのだろうか?

AIの商業化が加速する

AIが進化するにつれて、その技術を商業化する方法を模索している起業家やスタートアップが利用できるリソースや専門知識もまた発展した。変革をもたらすような提携も生まれている。大学とテクノロジー・ベンチャー業界のエキスパートが提携して、AIをより大きな規模で展開するといった取り組みだ。

チャットボットからデータ分析、オートメーションまで、AIスタートアップは既存のプロセスと事業をより効率化できるソリューションを開発している。たとえば、Salesforceは従来のCRMプロセスの特定部分を簡易化しているといっても、多かれ少なかれアナログなオペレーションで対応している。機械学習と自然言語処理を含んだ新しいAIアプリケーションは、データとヒューマンインターフェイスの間にレイヤーを提供することで、よりそのプロセスを効率化する。テキストをベースにした社会に移行するにつれて、こうした効率化はAIの事業にとって非常に重要になる。

実店舗における対面のやりとりを代替するようなチャットボットもeコマースウェブサイトに必須のものとなり、すばらしい結果を生み出してきた。人と会話をすることで、製品のページビューが販売へとつながる。

チャットの回答をする側の人間にとっては、対応できる会話数というのは限られている。それゆえ、一度に企業の担当がサービスを提供できる顧客数は限られる。だからこそ、AIやAIスタートアップにとってのチャンスが眠っているといえる。音声によるインタラクションが必要としない形態に会話がシフトするほど、AIは基本的な会話の一部を補完したり、代替にすらなることができるのだ。

チャットボットの利用が増加し、投資家によるAIのボット開発に対する資本増加が続くほど、テキストベースのメッセージングを通したやり取りを人々は受け入れつつあるという事実が証明される。

たとえば新しいAI企業のWade & Wendyは、採用やキャリア向上のプロセスをより効率的に、透明性をもって、より人間的な形にするために、二つの異なるAIパーソナリティが志願者と採用担当それぞれにいかに統合されるか、一つの例を示している。

AIベースのチャットボットはまだ数年先をいったものではあるが、ルールに基づいた回答を提供するチャットボットは既に、大小企業の重要なアセットとなっている。

過去の半導体産業や現在の自律走行車業界のように、大学はより密接に産業界と組んでAIを、1950年代のシリコンウェハーと同じくらい革新的なものに、2007年にiPhoneが誕生したのと同じくらい影響力の大きなものとするだろう。それは非常に興奮する可能性だ。

(本記事は抄訳です)

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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