三井住友銀行、金融APIを活用した初のハッカソンのデモデイを開催——ファイナリスト5チームが渾身のアイデアを披露

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.10.7

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三井住友銀行は5日、同行初となる「ミライハッカソン」のデモデイを開催し、ファイナリストとして残った5チームが登壇し、審査員や同行行員、三井住友フィナンシャルグループ(東証:8136)のグループ企業担当者らの前でプレゼンテーションした。

このハッカソンでは、三井住友銀行が PoC 目的で利用可能なサンプルAPIを27種類提供する形で、7月22日から応募を受け付け。約30チームがエントリし、9月3日の API 説明、9月17日のハッカソンおよびメンタリングを経て、5チームがファイナリストに残った。なお、デモデイで参加した審査員は、ファイナリスト各チームのメンタリングも担当している。

審査員を務めたのは、

  • 東 博暢氏(日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門主席研究員/融合戦略グループ長)
  • 立岡 恵介氏(グローバル・ブレイン パートナー)
  • 村田 祐介氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
  • 吉岡 優氏(GMO ペイメントゲートウェイ イノベーションパートナーズ本部 上席執行役員 戦略統括部長)
  • 小池 裕幸氏(日本アイ・ビー・エム 執行役員 デジタル・イノベーション事業推進担当)
  • 榊原 健太郎氏(サムライインキュベート 代表取締役)
  • 太田 純氏(三井住友銀行 取締役兼専務執行役員)
  • 向 伸一氏(三井住友銀行 決済業務部長)
  • 中山 知章氏(三井住友銀行 IT イノベーション推進部長)

…の皆さん。

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各チームのアイデアについて、他業種連携(新規性)、ニーズ、事業性、実現可能性、熱意、成果物の6つの要素で評価・審査された。なお、このハッカソンで優勝したチームは、三井住友銀行と日本総合研究所が企画・運営するピッチコンテスト「未来2017(12月20日開催)」に招待される。

【最優秀賞(優勝)】伝票レス・来店レスによる介護施設事務支援サービス「Grow up ケアシステム」 by グローリー

副賞:未来ハッカソン・オリジナル VISA プリペイドカード10万円分、未来2017 ピッチコンテスト出場権利

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介護施設では、被介護者が買い物をしたいときなど必要に応じてお金を使えるように、被介護者の家族からお金を預かって管理しているが、事務作業が煩雑であり、金銭トラブルが絶えない。

これらの問題を解決するために、グローリーが開発したのは、顔認証によるログインサービス、電子印鑑照合サービス、モバイルによる簡易入力サービス、家族向け明細通知サービスを組み合わせ、介護施設における介護施設と入居者による金銭トラブル、施設側の煩雑な小口払い事務を解決するサービスだ。

介護施設は家族から通帳や印鑑を預からず、セキュリティを強化した形で出金管理が行え、その動向を家族はリアルタイムに把握することができる。判断が正しくできない高齢者に対しては、成年後見制度を活用することで、より柔軟な運用ができるとしている。

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【ベストクオリティ賞】入出金メタ情報シェアリングサービス「MANA (Meta Automatic New Addition)」 by マネーフォワード

副賞:未来ハッカソン・オリジナル VISA プリペイドカード2.5万円分、未来2017 展示ブース出展権利

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企業内おいては、取引先への代金支払などの情報にはコンテキストが結びついているが、金融機関での入出金データになった瞬間にコンテキストが失われる。このため、銀行明細から入出金がぞれぞれ何を対象としたものだったのかを把握し、消込する手間は煩雑なものとなる。

MANA では入出金にメタ情報(取引内容)を付与することで、企業間の取引の利便性の向上、入金消し込み業務の課題を解決する。メタ情報は、MANA を使う請求側と支払側の両方のユーザで共有可能なほか、相手が MANA をユーザでなくても、プラットフォーム上から請求書を作成しての代金請求が可能だ。請求側には未収金残高や入金予定額の把握、支払側には請求と振込を直結でき業務が軽減でき、出金予定額や出金後残高を把握できるメリットが生まれる。

EDI を使っていない大企業ではない層、マネーフォワードの看板サービスである「MF クラウド」を使っている中小企業層との親和性が高いと考えられるとのことだ。審査員からは、これを単独のサービスとして提供するよりも、むしろ、銀行側のオンラインバンキングに統合してしまう方が便利なのでは、などの意見が寄せられた。

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【ハイ・グロース賞】インターネット上のコンテンツを対象とした手軽な振込サービス「いいね¥」 by bugnitude

副賞:未来ハッカソン・オリジナル VISA プリペイドカード2.5万円分、未来2017 展示ブース出展権利

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ブログ、動画などのコンテンツが役立ったり、面白かったりした場合に、コンテンツに併設された「いいね¥」ボタンによってその感謝の気持ちをお金の形に送れるサービス。まさに現代の「投げ銭」の感覚で、有志による花火大会など、オフラインイベントの寄付などにも活用できる。あるコンテンツに多くの「いいね¥」がついて評価が上位になる前の段階で、他ユーザよりも先行して「いいね¥」をつけたユーザには、「めききポイント」という特別リワードを与えるなどして、ユーザをモチベートするとしている。

審査員からは、2012年にローンチし、その後シャットダウンしたサービス「Grow!」に酷似しているのではないかとの指摘があり、Grow! の時代には無かった銀行 API 連携で異なるユーザ体験が生み出されるかもしれないが、どのようなメディアと組んでサービスを展開するかが肝要だとするアドバイスが寄せられた。

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【API 賞】メールとwebで簡単素早く集金できちゃうサービス「振り込め!Now」 by チームギャップ(仮)

副賞:未来ハッカソン・オリジナル VISA プリペイドカード2.5万円分、未来2017 展示ブース出展権利

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飲み会などの機会に事前や事後に割り勘をする場合、支払内容のコンテキストを直感的に把握できるようにすることで、個人間で簡単かつセキュアに支払・集金ができるプラットフォーム。例えば、飲み会の幹事はメールアドレスのみを知っていれば、飲み会参加者に振込を促すことができ、アプリのインストールや専用デバイスの準備が必要ない。支払う側も、添付された写真などから支払内容のコンテキスト(例えば、飲み会での写真をもとに、飲み会の割り勘代金であるということ)を把握でき、支払先となる幹事の口座番号などの入力も求められない。

一定期間が経過しても振込が行われない場合に、自動的に電話で支払の督促ができるようにしている機能は面白かった。Twilio を使って実装しているそうだ。副次的には、振込に関わるユーザの動向データなどから、ユーザが振込を実施した際の感情や状況を人工知能が分析、回収率を向上させるための施策を提言できるのではないか、と考えていることだ。

審査員からは、機能の利便性については一定の評価が得られたものの、振り込め詐欺をイメージさせる響きがあるため、デザインやネーミングに一定の改善を求めるアドバイスがあった。

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【熱意賞】企業の生産性をも高めるヘルス・メンタルヘルスケア「ヘルカン」 by bluetech

副賞:未来ハッカソン・オリジナル VISA プリペイドカード2.5万円分、未来2017 展示ブース出展権利

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企業における健康経営、従業員の健康促進を行えるアプリ。ユーザがモチベーションを維持できるようにするため、目標達成者にはクレジットカードポイント、目標未達成者にはペナルティを課す。iPhone のヘルスキットに加え、ワークアウト機能を独自に追加しており、計測した結果に応じて、リワードやペナルティが計算される。

企業からは社員一人あたり4,980円/月を徴収し、そのうちの3,100円/月がデポジットされ、目標達成者へのポイント還元などに利用される。審査員からは月額費用が高すぎるのではないかとの指摘があったが、法定外福利厚生費を参考に決めた金額であり、チームとしては妥当なプライスレンジと考えているとのことだった。

収集されたデータは、ビッグデータ解析を行って保険会社、スポーツメーカー、飲料メーカーなどにも販売。また、アプリ上でユーザ動向に応じてリワード広告を掲出し、マネタイズにつなげたいとしている。

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5チームのプレゼンテーション終了後に会見した、三井住友銀行 IT イノベーション推進部副部長の井口功一氏は、「銀行員からはなかなか得られない発想がたくさんもたらされ、我々が勉強をさせてもらっているところ」と今回のハッカソンについての感想を述べた。

今回参加チームに提供されたのは、いずれもサンプルの API だったが、実際のビジネスにつなげるには正式 API を開発する必要がある。三井住友銀行にとっては、フィンテック・スタートアップとのオープンイノベーションを進める上で、どのような API が求められるか、どのようなビジネスモデルがあり得るか、どのようなセキュリティ課題があるかを見極める上でも、絶好の機会となったようだ。

ミライハッカソンでは、三井住友銀行と三井住友カードがそれぞれ、銀行やクレジットカードに関連したサンプル API を提供した。将来的には、三井住友フィナンシャルグループ傘下の他業種の事業会社も、このような活動に巻き込んでいく可能性があるとのことだ。

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日本の金融機関のオープンイノベーションに関する動きとしては、三菱東京UFJ銀行がフィンテックに特化したアクセラレータを運用しているほか、みずほ銀行NTT データとオープンイノベーション支援で協業、クレディセゾンがデジタルガレージらと DG Lab を開設、クレジットカード大手の JCB はアクセラレータプログラム「JCB Payment Lab」の開始を発表している。

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