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フードテックについて消費者によく知ってもらおうという試みは、たいてい時間の無駄に終わる、と Joseph Zhou(周桓達)氏は言う。彼は、中国初のフードテック専門のベンチャーキャピタル兼アクセラレータ、Bits x Bites(ビッツアンドバイツ)の投資パートナーだ。また、Zhou 氏は、中国における食品の安全性や廃棄物、持続可能性といった問題は、食品の味を向上させることで解決できると主張する。…
Image credit: Bits x Bites
フードテックについて消費者によく知ってもらおうという試みは、たいてい時間の無駄に終わる、と Joseph Zhou(周桓達)氏は言う。彼は、中国初のフードテック専門のベンチャーキャピタル兼アクセラレータ、Bits x Bites(ビッツアンドバイツ)の投資パートナーだ。また、Zhou 氏は、中国における食品の安全性や廃棄物、持続可能性といった問題は、食品の味を向上させることで解決できると主張する。
上海に拠点を置く Bits x Bites は、食品技術だけに焦点を絞ったアクセラレータでありベンチャーキャピタルでもある。だが、中国においては最終製品を食べる消費者には食品技術のことを教えないのがベストなのだ、ということを同社は気付かされた。
Bits x Bites が現在検討しているソリューションの一つがコールドチェーンだ。これは食品安全性の問題にも大きく関わっている。農産物を冷蔵状態で輸送するトラックなど低温流通用の車両は存在するが、農場や倉庫から農産物を積み込んでから30分ほど経つと、運送会社はコスト削減のために冷蔵庫のスイッチをオフにしてしまうのだ。その後、配送先の倉庫や店舗への到着時に食品が冷たくなるようなタイミングで、スイッチをオンにする。
Bits x Bites は現在、輸送中の農産物の温度を追跡するリモートコールドセンサーに投資したいと考えている。
中国農業科学院(通称、農科院)は、Bits x Bites にアプローチし、早期段階での議論の場を設けようとしている。彼らは食糧生産に関連する膨大な数の特許を抱えていて、こうした特許の一部の商業化を考えており、そのためのチーム編成に協力を得たいのだ。確かではないが、これは政府機関にやる気がある可能性を示している。
プロセス
Bits x Bites にとって最初のスタートアップの「収穫」でもある4ヶ月間のプログラムが終了したばかりだ。そのクライマックスとなる上海でのデモデイには、食品の未来を見ようと、メディア、潜在投資家、顧客が来場した。
Bits x Bites のアクセラレーションは、アーリーステージのシードスタートアップやプレAラウンド、Aラウンドのスタートアップのみを対象としている。スタートアップらはBits x Bitesに対してピッチを行い、Bits x Bites はリミテッドパートナーである調味料メーカーの Shinho(欣和)と共に最終選考を行う。Bits x Bites は現在第2コホートへの申込みの審査を行っていて、6月30日まで申込みを受け付けている。
中国市場向けに高圧処理で作られたサラダの液体版「Salad Bottle」 Image credit: Bits x Bites
Bits x Bitesは、現在のサプライチェーンにイノベーションをもたらすベストな商品や技術を誰でも提供することができるオープンプラットフォームです。栄養士、デザイナー、農家、グルメ通は大歓迎です。
スタートアップらは120日間のトレーニングを受けられるだけでなく、コワーキングスペースを利用できたり、ラボやキッチン、大勢のメンターや資金にアクセスすることができる。Bits x Bites は一つのスタートアップに対し、最高で300万人民元(ただし株式の15%以下)の出資を行う。
その資金は Bits x Bites のリミテッドパートナーである Shinho から出ている。Bits x Bites の設立者である台湾人の Matilda Ho(何瑞怡)氏は、Joseph Zhou 氏の MBA 時代の同級生でもある。彼女は以前、デザイン企業 IDEO の上海拠点で働いて、Shinho は当時の顧客の一つだった。Shinho は、中国における食品の未来を良くするためには良い原料を使用するだけでは駄目で、それ以上の何かが必要だということに気づいていた。
彼らは、人材を集めるためには資本を開放しなければならないことを知っていました。(Zhou 氏)
そして、 Ho 氏が Bits x Bites を設立する際に Shinho はリミテッドパートナーになった。Bits x Bites は IDEO とスペースを共有している。というのも上海において IDEO の上層部は、スタートアップにとってはメンターとなり、Bits x Bites にとっては相談役となるのだ。
商品は準備が整うと、Yimishiji、Benlai Shenghuo(本来生活)、Tencent(騰訊)が支援する MissFresh(毎日優鮮)などのさまざまなプラットフォーム上で商品がローンチされる。Bits x Bites は手数料を支払ってスーパーマーケットの流通に参加することもできるが、スーパーマーケットやコンビニに目を向ける前に、eコマースでの販売からユーザのフィードバックを得たり、新たなメディアを使ってストーリーを演出するようにスタートアップに勧めている。
フードテックはより安全で持続可能な食品をもたらすかもしれないが、美味しいものでなければ売れないはずだ。中国やその他世界中の国々でこうした食品の需要が高まれば、より安全な食品の未来を得ることができるだろう。とはいえ、現在も中国では非常に深刻な食品安全性の問題が相次いでいる。Bits x Bites も当然知っているように、文字通り、論より証拠なのだ。
また、貧困撲滅を目指し、全世界初の P2P マイクロトレンドプラットフォーム「Kiva」を創業した Jessica Jackley 氏、発展途上国の子供たちに教育の機会を提供する NGO「Room to Read」の創業者 John J. Wood 氏、GM のコネクテッドカー部門グローバルイノベーション総括の Kurt Hoppe 氏らが講演に招かれた。