大東南アジア圏(Greater South East Asia、GSEA=ASEAN +台湾)最大のスタートアップアクセラレータ AppWorks(之初創投)は6月4日、AppWorks Demo Day #18(第18期)を開催し、25組の AI およびブロックチェーンスタートアップが登壇した。合計1,200人の投資家や業界関係者らが集まった。 AppWorks CEO でパートナーの Jami…
Image credit: AppWorks(之初創投)
大東南アジア圏(Greater South East Asia、GSEA=ASEAN +台湾)最大のスタートアップアクセラレータ AppWorks(之初創投)は6月4日、AppWorks Demo Day #18(第18期)を開催し、25組の AI およびブロックチェーンスタートアップが登壇した。合計1,200人の投資家や業界関係者らが集まった。
AppWorks CEO でパートナーの Jamie Lin(林之晨)氏は、オープニングで挨拶をした。AppWorks では、アクセラレータプログラム第17期以降、支援対象バーティカルを AI とブロックチェーンに絞っており、今回はバーティカルを絞ってから2回目のバッチとなる。今回のバッチは、AppWorks がプログラムを開始以来9年間で最も国際的なものとなった。
今回参加した25チーム中、14チームが主に AI と IoT に関するもの、また11チームがブロックチェーンと仮想通貨に関するもので、過去9年間で最多となる18チーム(バッチ参加チーム全体の70%)が台湾域外からの参加だ。Lin 氏によれば、域外チームは、香港、シンガポール、ベトナム、マレーシア、アメリカ、カナダなどから参加。
登壇した将来のスターの中には、Google、Microsoft、Ripple、Uber、Amazon の幹部らによって設立されたスタートアップ、Y Combinator の卒業生、Forbes 30 Under 30 に選ばれた若い起業家らもいた。
Lin 氏は、今回のチームにおいては2つのトレンドがあると分析。一つは AI/IoT、ブロックチェーン/仮想通貨は急速にパラダイムシフトを起こしており、世界の多くの優秀な人々を魅了し、経験豊富な起業家がそれに関わっているということ。もう一つは、AppWorks が東南アジアなどから多くの質の高い国際的起業家チームを集め、起業家の前進を後押しし続けているということだ。
AI で 3D 制作をシンプルにする「Lucid」
Image credit: Lucid
最初に登壇したシリコンバレー発のチーム Lucid は、デュアルレンズを備えたスマートフォン用の世界初の AI ビジョンプラットフォームだ。独自開発の AI とディープイメージングテクノロジーにより、同社のソリューションはデュアルレンズ以上の能力を導き出し、ソフトウェアを通じて撮影した風景を人間の眼がするような視覚データに変換、クラウドにアップロードして AI データ演算が可能だ。
Lucid は、現在のチームのテクノロジーパートナーやビジネスパートナーには、Qualcomm、Samsung、Huawei(華為)、Oppo(欧珀)、HTC(宏達電)、Wistron(緯創)、VIA(威盛)などがいることを明らかにした。Lucid は、コンピュータビジョンと AI 専攻でスタンフォード大学博士の Adam Rowell 氏と、UC Berkeley 修士の CEO Han Jin 氏が共同で設立。デモデイでは Han Jin 氏自らがピッチした。
TechOrange の連載「厳選した5大最強スタートアップ」で、Lucid Taiwan ビジネス開発担当の Jeff Tsai(蔡承志)氏に行ったインタビューでは、Lucid はこれまでの B2B に加えて、今年から B2C アプリにも事業拡大すると語っていた。そのためのアプリである「LucidPix」は、世界初の 3D ビデオ編集アプリで、市場ではまだメジャーになっていない 3D 制作をより簡単にすることが目標。現在は、βテストが進行中だ。
2019年5月、Inmedia(独立媒体)、Stand News(立場新聞)、Citizen News(衆新聞)、Matters News などのメディアが加盟して、LikeCoin は正式ローンチ。創業者の Kin Ko(高重建)氏によれば、LikeCoin は実のところ、新しいプラットフォームというわけではない、著者の発表、読者の閲覧、両者のやりとりはプラットフォーム上に残った状態で、その文章の最後に「いいねキー」を追加するだけだ。LikeCoin はブロックチェーン技術を使って、、クリエイターの収入を増やし、メディア業界に高品質なコンテンツ提供を促している。
いいね!国民の Ko 氏に、なぜ香港から台湾へ来て事業を始めるのかを尋ねたところ、台湾には自由で民主的で多様な社会があると感情的に述べた。また、台湾に入国する際の申告欄には職業の選択肢に「作家」があるものの、香港入域の際の申告欄には「作家」の選択肢が無く、「我々のような、モノを書く人は存在しないことになっている」という。
USPACE CEO 兼創業者である Allen 氏によれば、USPACE はこれまでに台北市と新北市に1,000以上の駐車スペースを確保しており、直近の18ヶ月間で累計8,000人のユーザが利用、10万件以上の取引を達成、月の成長率は400%に達したという。統計によれば、空き駐車スペースを通じて、オーナーは毎月7,200ニュー台湾ドル(約24,800円)の新たな収入が得られているそうだ。
Allen 氏はまた、USPACE の朗報を発表する場にデモデイを選んだ。同社はシードラウンド調達を完了、台湾全域の900棟あるビルと提携し新たなプロダクトをローンチする。ビルと協力し、AI を使ったナンバープレート自動認識管理システムを実装。ビルに対し、「車は出て行き、お金は入って来る」サービスを提供する。
Lin 氏はまた、デモデイで AppWorks が成長していることにも言及し、AppWorks のエコシステムが昨年、非常に素晴らしい実績を達成したとも述べた。活躍している起業家の累積人数は351人に達し、共同創業者は1,044人、従業員数は1万人を超えて10,115人となった。一年で40%増の値だ。
AI 写真のスタートアップ Meero は、フランスのテックエコシステムが近年成し遂げたことの好例と言えるかもしれない。 2016年に設立された同社はすでにベンチャーキャピタルから6,340万米ドルを調達しており、その中には昨年夏の4,500万米ドルのラウンドも含まれている。直近のたった6か月間で400人を雇用し、同社の従業員は600人近くとなっているが、今年末までに1,200人にする目標を持って…
VivaTech に登壇した Meero CEO の Thomas Rebaud 氏 Image credit: Viva Technology
AI 写真のスタートアップ Meero は、フランスのテックエコシステムが近年成し遂げたことの好例と言えるかもしれない。
全般的に、これらの資金調達ラウンドは、フランスが幅広い分野の最初期段階のスタートアップに数多くの小規模ラウンドをばら撒いているということを反映している。資金のほぼ62%はシードあるいはシリーズ A ラウンドの企業へ回され、24%は「その他」に分類されるもの(ビジネスプランのコンペティション、企業のマイノリティ施策、奨励金など)に注ぎ込まれている。
スタートアップの資金調達の残り約14%はシリーズ B ラウンド以降へと向かっており、この割合はここしばらく変わっていない。これに対処するため、昨年フランス政府は「スケールアップ」を加速させるための一連のプログラムを発表し、ポテンシャルを秘めていると思われる100社以上の企業を特定して、それらの企業が資金調達の途を見つけることができるよう手助けを推し進めている。
一方で、政府は PACTE(Plan d’Action pour la Croissance et la Transformation des Entreprises/ビジネスの成長と変革のための行動計画)と呼ばれる広範囲な改革を採択した。これには、オンラインでのビジネス設立の簡素化、税制改革、雇用プロセスの緩和、ICO などの新しい方法を通じて資金を調達できるようにすることが含まれている。
政府はブロックチェーン使用の促進といったイニシアチブも、引き続き推し進めている。また自国産のスタートアップを後押しする別の方法も探そうとしている。例えば、フランスのデジタル大臣 Cedric O 氏は、政府はパリに拠点を置きプライバシーに注力した Qwant 検索エンジンを使い始めるだろうと明らかにした。
昨年正式にローンチした France is AI は地元のエコシステムを促進させようとする別の取り組みであり、また技術の設計や使用に関して、より倫理的なアプローチを奨励するものでもある。フランスの AI の人材は長い間シリコンバレーに奪われてきたため、このプログラムはフランスに大きな気づきをもたらし、AI 業界で働く人にフランスで会社を始めるよう促すものとして設計されている。
フランスの AI コミュニティ出身者としてはおそらく最も有名な Facebook のチーフサイエンティスト Yann LeCun 氏は、VivaTech のステージでフランスが果たすことができる役割について楽観的であると述べた。
過去2年間、同氏は世界中のテック CEO の有力者や為政者を引き付けてきた Tech For Good Summit を通じ、VivaTech を活用してフランスに注目を集め、テック政策の発表ならびにフランスへの投資を盛り上げてきた。今年、同イベントは企業や政府がオンラインのテロリズムと戦うことを手助けする枠組み、「クライストチャーチ・コール」の創設で国際的にニュースの見出しを飾った。
フランスのテックシーン、もしくはフランスそのものが示す現在進行中の発展の兆候としては、昨年 La French Tech のディレクターに選出された Kat Borlongan 氏も挙げることができる。5年前にフランスの前政権がローンチしたこのプログラムは、フランスのテック復活への取り組みの中心となることを意図したものだった。
Borlongan 氏は Techstars や Google で働いた経歴、彼女自身のコンサルティング企業 Five by Five によって、パリのテックコミュニティではよく知られている人物だ。だがよそ者に対してあまりオープンではない国においては、フィリピン生まれで15年前にフランスに移って来たばかりの人が選ばれたのはかなり注目に値することであり、よりオープンであろうとする取り組みの象徴である。
French Tech Mission はパリのスタートアップキャンパス Station F にオフィスを持っており、その役割の大部分は同国の悪名高いお役所仕事を起業家が切り抜ける手伝いをすることだ。Borlongan 氏はテック関連の問題に対する補助を調整し応答性の速度を上げるために、フランスの様々な省庁とネットワークを構築している。
Pass French Tech と呼ばれるプログラムの下で、同国は240社の急成長中のスタートアップを特定し、追加の補助を受ける資格があるとしている。現在これらの企業は国外出身の従業員に新たなフレンチテックビザを提供することができる。このビザには必須条件がほとんどなく、例えば企業はフランスで仕事を探している人を見つけようとしていると証明する必要がない。そしてたった48時間で承認が下りるのだ。