BirdがライバルScootを買収ーー背景にある「米電動スクーター規制」その状況とは

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ピックアップBird Acquires Scoot

ニュースサマリー:シェア電動スクーター「Bird」は13日、同業でライバル企業の「Scoot」を買収したと発表した。Scootはサンフランシスコをベースにシェアリング型の電動スクーターをけん引。スマホで手軽に利用アクセスできる気軽さが特徴で、今までに4700万ドルの資金調達を完了している。

買収額自体は公開されていないが、WSJによれば2500万ドルを株式・キャッシュを利用して取引したとしている。

話題のポイント:日本にいるとそこまで感じない、シェアリング型電動スクーターのトレンド。Luupの例など徐々に日本でもその存在が知られるようになってきていますが、利用機会が街中に広がるまでには時間がかかりそうな雰囲気です。

さて、先日電動スクーター利用の合法化へ向けた動きがニューヨーク州で始まっているーといったニュースがありました。拡大を続ける電動スクーターのシェアビジネスですが、実は先進的と思われている米国でも完全に自由化されてるわけではありません。

<参考記事>

次のマップはNPO法人「PeopleForBikes」が発表した各州の電動スクーター規制状況をまとめたもので、米国における、電動スクーターの州ごとのスタンスが示されています。

Credit:People for Bike

緑色(Model Legislation)は既に電動スクーター専用の法整備が整っている州、黄色(Acceptable)は自転車などと同等扱いで利用可能な州、そして赤色(Problematic)が自動車などと同等の規制を受ける州です。この色合いを見る限り、明らかに西海岸へ近づけば近づくほど規制が緩やかになってきている印象を受けます。

整備が比較的進んでいるカリフォルニア州サンフランシスコですが、実は現在シェア型電動スクーターを運営できる企業はSkipと今回買収されたScootのみに制限されていました。これはサンフランシスコ市当局がパイロットプログラムの募集をかけたもので、12の企業から応募があったとしておりBirdもそのひとつです。

しかし実はBirdはこのプログラムに参加できておらず、今回の買収は単なるライバル企業との合弁による事業拡大だけでなく、サンフランシスコにおける同社プログラム運用権利の獲得も兼ねての動きだったとみることができます。

モビリティーはUberやDiDi(滴滴)、Grabなどの例をみても各国のインフラを掌握する非常に重要なサービスです。特にそこで得られるデータは渋滞緩和や別のデリバリーサービスなど、サプライチェーンに広がる可能性を秘めています。

スタートアップの爆発的な成長と国家による規制のバランスが問われるだけに米国事例がどのように動くのか、国内サービスを占う上でも重要な視点と思われます。

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