1年で1万倉庫獲得、物流をマケプレ化するロジクラがGVなどから1.2億円調達、オリコとは金融商品の開発も

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ニューレボ「ロジクラ」開発・運営メンバー

ニュースサマリ:物流倉庫の在庫管理SaaS「ロジクラ」を開発するニューレボは1月15日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先になったのはジェネシアベンチャーズ、マネックスベンチャーズ、オリエントコーポレーション、SGインキュベートの4社。調達した資金は1億2000万円で出資比率などの詳細は非公開。

今回の増資に合わせ、ニューレボとオリエントコーポレーションは業務提携も締結し、同社が運用するファンド「Orico Digital Fund」を通じて事業者向け金融商品や決済サービスの導入などの協業も進める。調達した資金でロジクラの販売拡大およびシステム開発を推進する。

ロジクラはEC事業などを手掛ける個人から中小企業を対象にしたクラウド型の在庫管理サービス。商品バーコードの読み取りを専用端末だけでなく、スマートフォンで代替しているのが特徴で、検品からピッキング、納品書や送り状の発行など、在庫の管理に必要な業務を効率化してくれる。3人までの利用は無料で、機能や利用人数によって料金プランが用意されている。

開発するニューレボは福岡拠点のスタートアップとして2016年に創業し、2017年にF Venturesからシード資金を獲得。同年に主にEC事業者の在庫管理を目的としたクラウドサービスを公開した。12月にはジェネシアベンチャーズを引受先に5000万円の増資を実施し、今回の調達はそれに続くもの。2018年11月に現在のロジクラのビジネスモデルをフリーミアム化し、導入事事業者数を100社から約1年で1万社にまで拡大させた。

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ロジクラ管理画面

話題のポイント:ニューレボさんは倉庫管理SaaSとして急成長する福岡発のスタートアップです。元々は代表で創業者の長浜佑樹さんが倉庫での実業務(検品など)の経験を背景に、その非効率を改善しようとスタートアップされました。ここ数年はフリマアプリなどの躍進もあって、個人が商品を販売する機会が増え、現在の拡大に繋がっているそうです。

<参考記事>

こういったSaaSビジネスはPMFをクリアすれば、堅調な積み上げを可能にする一方、「伸び」の部分でより高いレベルの事業成長を求められるようになります。例えば昨年上場したBASEはコマースだけでなく、早い段階で決済を2つ目の事業柱にして成功しました。

ニューレボもやはり同様で、在庫管理ツールとしての足元が固まりつつある今、拡大案を検証しようとしています。特徴的なのが過剰在庫に着目した「物流群戦略」というアイデアです。

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同社が保有する在庫は金額に換算すると2000億円分になるそうです。これらの商品は当然、全国1万の倉庫事業者に分散されており、所在もバラバラです。個々の事業者でこれら在庫の問題を考えると、大きくは需給問題(商品の売れ残り、もしくは不足)と資金問題(在庫の換金)を大なり小なり抱えることになります。今回の群戦略ではロジクラが管理する全ての事業者の在庫データをひとつの大きなマクロとして取り扱い、商品による需給予測、余った在庫の取引、在庫を担保とした金融サービスの実現でこれら課題解決を目指しているそうです。

これが実現すれば例えば、Aという静岡のお茶販売EC事業者が需給予測データを元に、どの銘柄のお茶がいつ売れるのかをロジクラの予測データを元に注文することができるようになります。また、それでも余ってしまった在庫はロジクラに登録されている別の事業者に販売することもできる、といった具合です。

金融商品については中国Alibaba(阿里巴巴)傘下の「MYbank(網商銀行)」などが提供するローン商品事例が参考になります。事業者は税務情報などのデータで信用力を示し、短期間で資金の獲得を実現します。オリコとの協業で販売する商品も在庫データ等を活用したものになるということでした。

こうやってロジクラを考えると、在庫管理ツール屋さんというよりは日本の倉庫をクラウド化した巨大なマーケットプレースが目に浮かんできます。その入り口となる在庫データをフリーミアムモデルで獲得した、というわけです。実際に過剰な在庫が減少し、適正な流通が実現するとどういった体験や価値が生まれるのか、次のタイミングではその辺りも聞いてみたいと思います。

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