ディープテック系ファンドの動きが活発化、資金調達手段の多様化【Canvas 5月号(5月21日〜5月27日)】

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ディープテック系ファンドの動きが活発化、資金調達手段の多様化

今週の話題(5月21日〜5月27日):BNV、アクセラ「BRAVE」を研究者向け起業支援プログラムにリニューアル——目的に合わせ、3つに細分化SDFキャピタル、スタートアップ向けベンチャーデットファンドを組成ライフタイムベンチャーズがOISTと連携、50億円規模のディープテック特化ファンドを組成

BNV のアクセラレーションプログラム「BRAVE」2016年冬バッチ(第1期)のデモデイから
Image credit: Masaru Ikeda

この一週間は、ファンドや資金供給プレーヤー周辺の動きが顕著に見られました。特に研究開発系、ディープテック系のファンドのニュースが2つ舞い込んでいます。Beyond Next Ventures はかねてからアクセラレータを展開していますが、これを既に起業している研究者の支援というスタンスから、起業のプロセスも含めて研究者を伴走支援するという強い方向性に変更したようです。この傾向は近年、目ぼしいスタートアップを見つけにくくなっている、シードステージ特化のファンドなどにも見られます。

左から:光井香織氏(SDF キャピタル社外取締役/マネーフォワードシンカ ディレクター/HIRAC FUND ディレクター)、丸岡範夫氏(紀陽銀行 取締役上席執行役員営業推進本部長)、福田拓実氏(SDF キャピタル 代表取締役社長 共同創業者)、石倉壱彦氏(SDF キャピタル社外取締役/WARC 共同創業者 取締役) Image credit: Masaru Ikeda

一方、マネーフォワードシンカなどが出資する形で、ベンチャーデットファンドを提供する会社が立ち上がりました。いわば、Silicon Valley Bank の日本版です。最近は、RBF(Revenue-based Funding)といった、特にサブスクや SaaS スタートアップ向けの、将来の安定した売上をアテにした資金調達など、調達方法も多様化しつつあります。経営者にとっては、豊富な選択肢があることは望ましいことです。

左から:Gil Granot-Mayer 氏(OIST 主席副学長)、Peter Gruss 氏(OIST 学長)、木村亮介氏(ライフタイムベンチャーズ 代表パートナー)、Paul McInerney 氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
Image credit: Masaru Ikeda

さらに、こちらもディープテック系のファンドですが、ライフタイムベンチャーズが OIST(沖縄科学技術大学院大学)と連携して出すファンド。沖縄の経済向上を念頭に設立された OIST は今年10年を迎えますが、周辺でファンドが創設されたり、OIST から輩出されたスタートアップが世界的に評価を受けたり、動きが見られるようになってきました。東アジアでは、KAIST(韓国科学技術院)や中国の清華大学から多くのスタートアップが生まれていますが、そんな存在になることを期待しています。

今月の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

アスリートの体調管理・ケガ予防SaaS運営のユーフォリア、7億円をシリーズC調達——コクヨとは法人サービス開発へ(5月25日)

  • ユーフォリアは、シリーズ C ラウンドで7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、慶應イノベーション・イニシアティブ、アトラエ(東証:6194)、MTG Ventures、イノベーション・エンジン、コクヨ(東証:7984)、りそなキャピタル、KDDI Open Innovation Fund(KOIF、GP:グローバル・ブレイン、LP:KDDI)。

ハイブリッドワークどう実現する?ACALLが10億円調達「WorkstyleOS」拡大へ(5月25日)

  • ACALL は、第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は10億円で、ラウンドはシリーズB。引受先になったのはジャフコとEmellience Partnersの2社。Emellience PartnersはBIPROGYグループ(旧日本ユニシス)のコーポレートベンチャーキャピタル。同社の累計調達額は18億円となった。

店舗向けMEOツール「口コミコム」運営のmov、7億円をシリーズA調達——通信キャリア3社などから(5月25日)

  • 口コミコム」を運営する mov は、シリーズ A ラウンドで7億円を調達したと発表した。このラウンドは千葉道場ファンドがリードし、KDDI Open Innovation Fund(GP:グローバル・ブレイン、LP:KDDI)、NTTドコモ・ベンチャーズ、Rakuten Capital、i-nest capital、Coral Capital、SMBC ベンチャーキャピタルが参加した。Smov の累計調達額は10億円に達した。

医療介護DXのドクターメイト、10億円をシリーズB調達——自治体、病院、消防隊とも連携強化へ(5月23日)

  • ドクターメイトは、シリーズ B ラウンドで10億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、グローバル・ブレイン、農林中金イノベーションファンド(GP:グローバル・ブレイン、LP:農林中金)、Aflac Ventures(Aflac Ventures Japan が支援)、DBJ キャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

香港初のユニコーンで NASDAQ に SPAC 上場した遺伝子検査スタートアップのPrenetics。
Image credit: NASDAQ

不動産DeFi「CitaDAO」、2回目のIROで60万米ドル超の調達に成功——シンガポールの不動産をトークン化へ(5月26日)

  • 不動産取引のための分散型金融プラットフォーム「CitaDAO」は、2番目のReal Estate On-Chain の IRO プロジェクト(IRO=Introduction of Real Estate On-chain、不動産がオンチェーンに導入されること)で617,647米ドルを調達し、ソフトキャップ(最低募集額)を達成した。

香港のAllinfra、野村らから600万ドルをシリーズA調達——ブロックチェーン活用し気候変動対策向け金融商品開発(5月26日)

  • Allinfra は、シリーズ A ラウンドのクローズを発表した。香港に本社を置く同社は、さまざまな業界の機関がサステナビリティの目標を達成できるように設計されたエンタープライズソフトウェアを開発している。
  • 600万米ドルの投資は、グローバル金融サービスグループの野村がリードし、気候変動金融市場に革命をもたらすという Allinfra のミッションに賛同する新規および既存の投資家が参加した。

シンガポールのBaaSスタートアップMatchMove、ECイネイブラーのShopmaticを2億米ドルで買収(5月26日)

  • シンガポールのフィンテックスタートアップ MatchMove は、現地の e コマースイネーブラー Shopmatic を2億米ドルで買収した。両社は声明で、統合後の企業は当面、それぞれのブランドを維持しながら、MatchMove Group の名前で運営すると述べている。

遺伝子検査スタートアップのPrenetics、香港初のユニコーンとしてNASDAQにSPAC上場(5月26日)

  • Prenetics は、白紙委任会社(特別目的買収会社)Artisan Acquisition Corp. との合併により、香港を拠点とするユニコーンとして初めて NASDAQ に上場した。この合併により、Prenetics の時価総額は13億米ドルとなる。現金と売上債権で、この合併から2億6,000万米ドル以上の資金を調達する予定だ。

Ele.meが封鎖ひと段落の上海で飲食店救済策、TikTokがゲームをアジア展開など——中国スタートアップシーン週間振り返り(5月24日)

  • Alibaba(阿里巴巴)が支援するフードデリバリ最大手「Ele.me(餓了麼)」は、数ヶ月に及ぶ上海のロックダウンがひと段落したのを受け、上海の加盟店が営業再開するのを支援する新しい支援プログラムを展開した。Ele.me は、上海でのロックダウン解除から最初の2カ月間に5億人民元(約96.2億円)のインセンティブを加盟店に割り当てる予定だ。
  • ByteDance(字節跳動)の「TikTok」は、広告収入を増やすことを念頭に、ベトナムでアプリ内ゲーム機能をテストしているとのことだ。TikTok の担当者がロイターに語ったところによると、同社はサードパーティ開発者のウェブベースのゲームをアプリ内でテストしている。

インテリアのApartmentary、仮想通貨取引所「GOPAX」が各30億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月24日)

  • インテリアとリモデリングのスタートアップ Apartmentary(아파트멘터리)が300億ウォン(約30億円)を調達した。モジュラーインテリアサービス、価格モニタリング制度、顧客コミュニケーションアプリなどを披露し、インテリア市場情報の非対称性を解消。最近、オフライン体験の拡大のために地域拠点ブランドを立ち上げた。今回調達した資金で、韓国国内リビング市場のポジションを着実なものとし、海外進出にも積極的に乗り出す計画だ。
  • 仮想資産取引所「GOPAX(고팍스)」を運営する Streami(스트리미)が300億ウォン(約30億円)を調達した。時価総額は3,700億ウォン(約370億円)に達した。特別金融取引情報法(特金法)施行後にウォンマーケットをオープン。成長の可能性が認められたことで、調達した資金を使い、積極的なマーケティングを始める計画だ。

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