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9億人が利用、Alibaba(阿里巴巴)とTencent(騰訊)中国「フィンテック」共通戦略を紐解く【前編】

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ピックアップ:5 Ways Ant Financial & Tencent’s Fintech Growth Playbooks Are Evolving 先日のヤフー・LINE連携で話題になったのが中国テックジャイアントの存在です。GAFAに対抗してBAT(※最近は「B」がBaidu・百度ではなくByteDance・字节跳动)とする場合も)と呼ばれていますが、なかでも勢いがあるのがフィン…

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ピックアップ5 Ways Ant Financial & Tencent’s Fintech Growth Playbooks Are Evolving

先日のヤフー・LINE連携で話題になったのが中国テックジャイアントの存在です。GAFAに対抗してBAT(※最近は「B」がBaidu・百度ではなくByteDance・字节跳动)とする場合も)と呼ばれていますが、なかでも勢いがあるのがフィンテック分野での躍進です。

Alibaba(阿里巴巴)グループのAnt Financial(蚂蚁金服)が提供する「Alipay(支付宝)」、そしてライバルのTencent(腾讯)が提供する「WeChat Pay」がそれです。この中国2大モバイル決済アプリについて、米調査会社のCB Insightsが詳しい戦略の考察を掲載していました。本稿ではこれに沿った形で、この2大決済アプリが今、どのような状況なのかを紐解いてみたいと思います。

中国国内決済のほぼ全てを支配する

CBIの記事によれば、トップを走るAlipayは、実に中国国内の決済の54%を占めており、それを追う形のWeChat Payのシェアは約40%だそうです。

つまり、中国のモバイル決済はAlibabaとTencentという、米国のGAFAらと肩を並べる中国巨大テック企業の2社によってほぼ完全に独占されている状態で、これら2社を合わせると、中国国内のユーザー数は実に8〜9億人になるそうです。日本の総人口のざっと5倍です。

事業構造も異なります。Alipay陣営のAlibabaグループはコマースが中心。対するTencentはゲームとメッセンジャー「WeChat」によるコミュニケーション関連事業がメインになっています。特にTencentは広告事業の成長が頭打ち状態の一方、フィンテック関連サービス(レンディングや保険など)が年間40%もの成長を示していると記事は指摘しています。

Ant Financialの推定評価額は1,500億ドル(Alibaba全体では約4,570億ドル)、フィンテック事業に限定したTencentの評価額は1,230億ドル(Tencent全体では約3,875億ドル)と拮抗しており、今後、ヤフーやLINE、東南アジアで勢力を伸ばすテックスタートアップ各社はこことのポジション争いをアジア圏で繰り広げることになりそうです。

といってもこの2社、時価総額では世界トップ10入りの桁違いなので背中は遠いです(※日本のトップを走るトヨタは約1960億ドル)。

AlibabaとTencentが取ったフィンテックの共通戦略

CBIの記事ではこの事業が異なる2社が、フィンテック分野においては同じような戦略を取っていると考察しています。それが次の5つです。

  • 1. Building flywheel effects  – フライホイール効果の構築
  • 2. Making virtual credit a part of everyday life – ユーザーの日常の一部にクレジットを作り出す
  • 3. Prioritizing health insurance – 健康・医療保険を優先する
  • 4. Diversifying options for savings and investing to expand the market – 預金・投資オプションの多様化
  • 5. Focusing on small businesses – スモールビジネスへのフォーカス

詳細はぜひ原文をご一読いただくとして、これらの項目に沿って気になったポイントを解説してみたいと思います。

1. Building flywheel effects  – フライホイール効果の構築

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「フライホイール効果(弾み車)」とは、Amazonの成長を解説する際にジェフ・ベゾスが引き合いに出した理論です。一言で言えば、“ビジネスの中に好循環を生み出すこと”を意味します。

ジェフベゾスは、Amazon商品の低価格化→顧客満足度の上昇→取引ボリューム増加→品揃えの充実、に至る一連の好循環をフライホイール効果と表現しました。Ant FinancialやTencentの場合、決済アプリと関連金融サービスによる相乗効果がそれです。

CBIがまとめたAnt Financialのデータによると、2019年6月のデータではAlipayユーザーのうちAnt Financial以外の金融サービスを3つ以上利用しているユーザーは80%、5つ以上利用しているユーザーは40%となっています。

具体的には、Alipayの提供するWallet内から、中国の一般的な銀行預金金利と同程度かそれ以上の金利(過去の一時期4%に到達、現在2%周辺)をもらえる「余額宝」と呼ばれるMMF(マネー・マーケット・ファンド)サービスを簡単に利用できたりします。

他にもローンや保険サービスをAlipay Walletから簡単に利用できるなど、関連サービスへの導線が上手く出来ているため、ユーザーの人気を集める理由となっています。新たなサービス導線の誕生ですね。

2. Making virtual credit a part of everyday life – ユーザーの日常の一部にクレジットを作り出す

アジア圏におけるミレニアルやZ世代と呼ばれる新しい年代のユーザーはインターネットで決済することが当たり前になっている状況があります。

<参考記事>

ここで重要なデータがクレジット(信用)です。

Ant Financialが運営する消費者信用サービス「Huabei」は、こうした世代向けに無利息のクレジットを提供し、大きく消費を加速させています。データによれば、同サービスが開始した2015年から累計貸し出し額は1,400億ドル(約15兆円)に及んでいるそうです。

驚かされるのは成長率です。

原文のグラフを見ると一目瞭然ですが、1,400億ドルというのは2017年前半までの累計額の10倍です。この増加を2年と少しの期間で達成しているということには驚かされずに入られません。Tencentも「Fenfu」と呼ばれる同様のサービスを開発しており、2019年末までにローンチされる見込みです。記事の後半では残りの3〜5について解説をお送りします。

第三極の鍵は「モバイルコマース」、3倍成長する東南アジア市場を紐解く【Repro調べ】

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今月、国内・アジアで存在感を示す「ヤフーとLINEの連携」という大きなニュースがありました。特に会見で示された「GAFA・BATに対抗する第三極」という言葉は大きく、今後、中国を除く東・東南アジアでの市場に少なからず影響が出てくると思われます。 この波及効果については各所で議論が始まっていることと思いますが、本稿では特に東南アジアで勢いが増しているモバイルコマースの状況について共有したいと思います…

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今月、国内・アジアで存在感を示す「ヤフーとLINEの連携」という大きなニュースがありました。特に会見で示された「GAFA・BATに対抗する第三極」という言葉は大きく、今後、中国を除く東・東南アジアでの市場に少なからず影響が出てくると思われます。

この波及効果については各所で議論が始まっていることと思いますが、本稿では特に東南アジアで勢いが増しているモバイルコマースの状況について共有したいと思います。

なお、本稿で言及しているデータや実績などは現在、私たちが展開するモバイル・マーケティングプラットフォーム「Repro」を展開する上で入手した情報に基づきます。現在、東南アジアにも展開地域を拡大しています。

東南アジアで急成長する「M-commerce」とは

まず、大前提として東南アジアでは、2017から2018年の間にモバイルショッピングアプリの使用が3倍以上になり、モバイルアプリの使用者数が28%成長で伸びている、という状況があります(Media OutReachの調査データより)。

このカテゴリを指し示す「M-commerce」とは、Mobile-commerce(モバイルコマース)を短縮した言葉で、モバイルデバイスで使用したお金の取引全てを指します。E-commerceの進歩であり、スマートフォンやタブレットデバイスを使用するだけで、ほぼどこからでも商品やサービスを売買できるという環境の変化に後押しされて生まれたカテゴリです。

拡大した要因としてまず第一に、接続環境が整ったことが挙げられます。現在、世界人口の90%が3G以上のネットワークを使用してインターネットに接続できますが、既に東南アジアの大半の国の首都圏では4G/LTEが当たり前です。次にモバイルユーザーの購買行動が変わるサービスが増え続けていることも拡大の後押しになっています。具体的にはいくつかのトピックを掲載します。

  • 非接触型ペイメントとアプリ内課金環境
  • 店舗などでのオフライン活用
  • ロケーションベース

では、それぞれをもう少し詳しく紐解いてみたいと思います。

非接触型ペイメントとアプリ内課金環境

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これにより事業者は、モバイルデバイスに寄り添った決済方法を提供できるようになりました。「現金またはカード」に比べ優れているというよりもモバイルデバイスでの購買体験をスムースにするというようなニュアンスだと捉えてください。

例えば、モバイルウォレットを使用すると、クレジットカードの詳細や配送先住所などを保存でき、オンライン購入時に、情報を再度入力する必要がないというようなメリットがあります。これは、スマートフォンで個人情報を入力する煩わしさを排除できます。

日本だとiOSのアプリ内課金を使ったことがある方も多いのではないでしょうか。あの1つの動作で購入が完結する体験が様々なプラットフォームで提供されているとイメージしてください。ちなみに今年のPwC Singaporeの調査では、このアプリ内課金は例えばタイで67%に、マレーシアでは17%から40%に増加、フィリピンでは14%から45%に利用率が増加してます。

日本でもおなじみのデジタルコンテンツも伸びています。例えば、タイには東南アジアで最大のE-Book Store「Ookbee」があります。彼らは主に、モバイルウェブをベースに市場を伸ばしてきましたが、モバイルアプリが重要なチャネルになってきております。

これはユーザが当たり前のようにモバイルアプリで定期購入しているという状況が背景にあり、結果、タイのコマース市場は2025年までに現状の4倍になると言われています。今後デジタルコンテンツのモバイル最適化は加速度的に進むはずです。

店舗などでのオフライン活用

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Image Credit : Gojek Food

ここまではラップトップでもできることなのですが、やはりモバイルの真骨頂はオフラインにあります。OPPOやXiaomi、VIVOは200米ドル程度でスペックの高いデバイスを提供しています。東南アジアで伸びているのはこの価格帯のデバイスです。

例えばNFC搭載端末で可能な非接触モバイル決済は、店舗で行われる支払いに使われています。デビットカードやクレジットカードを利用する代わりにレジ横に置いてある端末の近くにスマホをかざして支払いができる、日本でもよく見るあの光景ですね。

Apple PayやGoogle Pay、Samsung Pay辺りが代表的で、例えば銀行などローカルの事業者が普及の下支えをしていたりします。

また似たようなオフライン利用としてQRコードを利用したチケットがあります。例えば、空港にチェックインする際に、ひと昔前は紙を印刷してカウンターに持ってきている人をよく見ましたが今はほとんどいません。オンラインでチェックインを済ませ、スマホの画面に映るバーコードで荷物を預けます。

ロケーションベース

位置情報を使ったサービスです。

東南アジアの街を歩くと色々な国で、デリバリーのバイクが走っているのを目にします。代表的なところはGojekやGrabですが、滞在している私の周りを見渡すと実にシンガポールだけで十以上のフードデリバリーサービスが存在してます。これは全てモバイルアプリでサービスを完結させ、もちろん決済もモバイルで完了させます。

このようにロケーションをベースにモバイルでサービス提供を完結させるのはフードデリバリーだけでなくシェアリングスクーターやシェアバイク、シェア傘、配車など様々なサービスに拡大しています。

クーポンなどを使ったマーケティングも同様で、プッシュ通知やSMS、メールでクーポンが届くような体験が当たり前になってます。例えばインドネシアでラマダン(断食)が明ける時間になると、近くのお店から「ラマダン明けですぐにお店でご飯が食べられるよ」というメッセージを送る、みたいな体験です。

日本で実施しているような施策が東南アジアでもしっかりと通用する環境になっているのです。

いかがだったでしょうか。

CBREの予測によると、M-commerceの売上は、2021年までにすべてのE-commerceの売上の53.9%を占めることになるそうです。

特に東南アジアはラップトップを知らない、遅いインターネットを知らない世代が消費者のメインとなる市場なのです。モバイル決済は確かに不便な時代がありました。しかしそんな体験をしたことのない世代は何一つ恐れなくモバイルで購買します。それが当たり前なのです。東南アジアだけでなく、インドや中国でもM-commerceが爆速的に伸びてます。

今後はセキュリテイや信頼、サイトやAppの速度・チェックアウトの体験向上といったポイントがテーマになってくると思われます。今回は一旦ここまでということで。

<参考情報>

本稿はweb・モバイルアプリ向けのCE(カスタマエンゲージメント)モバイルマーケティングプラットフォーム「Repro」のシンガポール子会社、Repro Singapore、Tsubasa Sasakiによるもの。Twitterアカウントは@tsubasasa2。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

死んだ後も価値を永続的に生み出し続ける会社を作るーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/研究者と企業をつなぐ「LabBase」POL代表取締役、加茂さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いて登場いただくのは理系学生のキャリアプラットフォーム「LabBase」を展開するPOL代表取締役の加茂倫明さん。 今回も…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いて登場いただくのは理系学生のキャリアプラットフォーム「LabBase」を展開するPOL代表取締役の加茂倫明さん。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

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加茂倫明さん:1994年生まれ。東京大学在学中にスタートアップのインターン経験を経て、2016年にPOLを創業。翌年に研究内容をもとに優秀な理系学生をスカウトできる新卒採用サービス「LabBase」を公開し事業拡大中。2019年3月には新規事業として、産学連携を加速するプラットフォーム「LabBase X」をリリース

POLは研究者の採用やマッチングなど、研究に関わる人たちを通じたビジネスを展開されてますが、全体像としてはどのような事業を考えているんですか

加茂:今後の展開にもなるんですが、全体構想としては大きく3つあります。まずはプラットフォーム化で、現行のLabBaseとLabBase Xに加え、研究者や学生が日々の研究生活で使える機能をどんどん増やしていきます。研究室のインフラとなる「LabTech事業群」の構築です。研究関連市場は約3.5兆円とかなり大きく、そこでNo.1となる事業群を創ろうと。

次が「科学技術版のY Combinator」構想です。既存の2事業やプラットフォーム化を進める中で、POLには研究に関する膨大な情報が集まってきます。それぞれの研究者の最近の発明、保有技術、応用可能性、パートナーシップを組みたい企業といった具合で、あらゆる情報が集積される中、研究室発の事業シーズを、どこよりも早く認知できるようになります。そのシーズに投資し、インキュベートしていくという構想です。

壮大ですね

加茂:最後がグローバル化なんですが、研究に国境はあまり関係ないので、必然的にグローバルで戦わないといけないと考えています。実際にLabBase Xを運営する中でも、日本企業が「海外の研究者の情報を知りたい」というニーズが顕在化していることを目の当たりにすることも多く、逆に海外企業が日本の研究者の情報を求めるケースも少なくないです。

世界で一番、研究者や科学者にまつわる課題を解決できる会社になり、彼らが真にポテンシャルを発揮できるようになれば、科学や社会の発展スピードを数倍加速させられるのではないかと思っています。

研究者というフォーカスはややもするとニッチと判断されそうですよね

加茂:ですね。ただ、先ほどお話しした「科学技術版のY Combinator」構想などが実現できると、もはやニッチではなく研究関連市場を超えて全領域に対象市場が広がるなと思っています。LabTechプラットフォームで得た研究データやネットワークをもとに、ディープテック系の事業をどんどん立ち上げていく。無限の可能性が広がっていると思います。

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LabBaseの立ち上げってどういう戦略だったんですか

加茂:肝だったと思っているのが2つあります。1つが、ニワトリ卵問題の突破策として、泥臭く研究室まで学生に会いに行ったこと。もう1つが、プレスリリース大作戦です。

利用企業がいないと理系学生を集めにくいし、理系学生がいないと企業にも契約してもらいにくい。マッチングビジネスでは必ず当たる問題ですよね。POLはどちらからやったんですか

加茂:僕らの場合は学生からですね。どっちを先に集めるかという意思決定のときに、学生が集まったらそこに絶対企業は集まると考えたのが理由です。理系学生は研究室にいっぱい集まっているじゃないですか。じゃあそこに訪問しようと。獲得したいユーザーがあれだけ集まっている状況って珍しいですし、そこはラッキーだなと思いました。

なるほど、これは特有の状況ですね

加茂:「研究室を通して学生に登録してもらおう」ということで、僕や当時のメンバーで、研究室に訪問して「こういうのをやっています」「フィードバックください」「使ってください」とひたすら言いまくっていました。飛び込み営業みたいな感じですね。理系学生にプロフィールを書いてもらって、ある程度、300人ぐらい集まったタイミングでリリースしたという感じです。

プレスリリースを活用したそうですが、具体的にどんなことをしたんですか

加茂:「こういうLabBaseみたいなサービスがあったらいいな」って思った段階で「LabBaseというサービスがもうすぐリリースされます。事前登録募集開始しました」というプレスリリース打ったんです。

あ、まだサービスがないのに?

加茂:はい(笑。狙いとしては、どれぐらい企業から事前登録がくるかどうかで、ニーズの広さとか深さを測れるというのがありました。あと事前登録してくれたところに営業しに行って、ヒアリングもしながら「ここの仕様どうしたらやりやすいですか」と、聞きながらつくれるので必要とされるものを作りやすいんですよ。

あとは最初からもう「リリースします」「できなかったら返金します」みたいな勢いで契約も取ってました。

すごいアグレッシブな作戦ですね(笑

加茂:必死でしたね(笑。

当時の1号社員として入ってくれたエンジニアと一緒に徹夜しながらやっていました。ただ、数週間で何百社がガッとお問い合わせをくれたのでニーズはあるなって思って、自信を持って取り組めたというのが大きかったです。開発も始まってない段階から、有名な大手企業とかに飛び込んで、「もうすぐできますよ」となんとか契約を取ってきたり。

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明確なニーズと方法がわかっていれば確かに強いですよね。加茂さんは事業選定にあたって何を意識していましたか

加茂:社会的な意義と、自分がやる意味・やりたいと思うかという二軸を考えてました。前者に関しては、身の回りで解決したい課題は何かというのを常に探して、意識して生活していました。後者に関しては、もともと音楽や食が好きだったのもあり、当初はその周辺領域のスタートアップを結構リサーチしていました。

あとは、海外のトップティアのVCの最近の投資先をAngelListやCrunchbaseでずっとウォッチして、それらがなんでこのタイミングで出てきたのか仮説立てて調べたりしていました。

研究者にフォーカスしたのはどういうきっかけで

加茂:現在の事業に関しては、大学の理系の先輩が研究に追われて就活を大変そうにしていたことを課題に感じたのが始まりです。

でもニッチだった

加茂:そうです。理系学生向けの就活サービスというだけでは、そこまで大きくなることは見込めず、また事業内容としてもそれだけを一生やっていたいと思えてはいなかったので、それをもっと大きい文脈で捉え直そうと考えました。

そうしたら、就活以外にも研究領域には課題が多いってことに気が付いて。そこからですね。「LabTech Companyとして、研究関連課題を全て解決し、科学と社会の発展を加速する」という目標を語るようになったのは。

少し話題を起業前の話に変えたいと思います。元々、いくつかのスタートアップでインターンされていたとか

加茂:東大に入学してインターン先を探していて、まず最初に入ったのがホワイトプラスさんでした。当時は社長の近くで働いて、仕事とはどういう感じでやるのか、ベンチャーはどういう雰囲気なのかを知りたかったというのが大きかったです。本当に面倒見の良い方々のところで働くことができ、また井下社長との議論の中で本質とは何かについてかなり考えさせられ、鍛えてもらえる会社でした。

次は海外

加茂:はい。休学して半年間、シンガポールのREAPRAさんというエス・エム・エス創業者の諸藤さんが立ち上げた企業でインターンしました。ここは事業をゼロから作るという経験をさせていただいたので、シンガポールから帰ってすぐ起業しようと思っていたのですが、当時は事業が定まっていなかったので、決まるまでReproさんで働かせていただいていました。

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結構濃密なスタートアップ・インターン生活。事業に興味を持ったのはそこからですか?

加茂:いえ、高校時代に、祖父の死のタイミングで生きる意味について考え、死んだ後にも何か残したいと思ったのが始まりです。また共同創業者の吉田(行宏氏・元ガリバーインターナショナル※現IDOM専務取締役)の影響などもあり、世のため人のために事業をしたいと、そしてやるからには大きなインパクトで意義あることをしたいなと。

モチベーション保つの大変そうですね

加茂:ユーザベース創業者の新野良介さんに、「加茂君はつまり、人生を意義深くしたいんだ」って言われたことがあるんです。

深い

加茂:これはその通りだと思っていて、自分のモチベーションはちょっとした満足ではなく、意義に向いているのと、かつ欲求のタンクが大きいからこそ、大きな意義あることをしたいって方向にあるのだと思います。だからこそ自分が生きている間だけではなく、死んだ後も価値を永続的に生み出し続けられるような会社を作りたいっていう思考に至っているのではないかなと。

スタートアップの組織づくりは最近どこでも話題ですね。採用してもカルチャーフィットしなくてすぐ辞めてしまったり

加茂:特に長い時間軸で考えれば考えるほど組織が重要です。変化の激しい今の時代で永続する事業は存在しないと考えていて、そうなると永続的に価値を生み出し続ける会社を作るためには、時代時代にあった強い事業を生み出し続ける永続する組織を作るしかないと思っています。

今をときめく国内ネット巨人も創業時の事業だけで継続してる例って稀ですよね

加茂:強い価値観/バリューやカルチャーが軸となる、経営者人材が育つような、強い組織を作ることが大事だと思います。アーリーステージの会社ほど事業で精一杯で、組織創りは後回しになりがちだと思いますが、会社のDNAは6〜7割くらいは創業期に決まるので、事業も組織も大きくなったタイミングから組織を強くしようと考えるのは遅いのではないかとも思っています。

どなたかロールモデルはいらっしゃるんですか

加茂:共同創業者の吉田行宏さん(元ガリバー・インターナショナル専務取締役)は最も尊敬する経営者です。また、FiNCの溝口勇児さんも、志の高さや覚悟などの面でとても尊敬しています。当初はロールモデルがいたわけではなく、自分として初めての起業、初めての社会人経験で、色々な人を巻き込まなければいけないというのは感じていました。共同創業者や30代の1号社員・2号社員の方を巻き込んだことをきっかけに、色々なことが加速した感じですね。

確かに溝口さんも多くの方を巻き込みながら体を大きくされていますよね。同世代での起業家とはどのように考えてお付き合いされてます

加茂:自分の経営者としての視座や志を上げていかなければと思っているので、各界の超一流と言われる人たちとの接点を意図的に増やすようにしています。

長時間ありがとうございました!

モバイルマーケのReproがシンガポール子会社設立、東南アジア諸国での事業展開を開始

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モバイルマーケティングプラットフォーム「Repro」は8月13日、東南アジア諸国での事業推進強化を公表している。シンガポールに100%子会社「Repro Singapore PTE. LTD.」を設立したもので、インドネシア、インド、タイ、マレーシア、ベトナムなど東南アジア諸国での顧客導入支援を強化。2021年末を目途に各国5名~10名体制での展開に臨む。 <参考記事> 人工知能がムダな広告費85…

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Reproシンガポール子会社メンバー(写真:同社提供)

モバイルマーケティングプラットフォーム「Repro」は8月13日、東南アジア諸国での事業推進強化を公表している。シンガポールに100%子会社「Repro Singapore PTE. LTD.」を設立したもので、インドネシア、インド、タイ、マレーシア、ベトナムなど東南アジア諸国での顧客導入支援を強化。2021年末を目途に各国5名~10名体制での展開に臨む。

<参考記事>

Reproの利用はサービス開始5年で世界59カ国6500社に拡大しており、日本国外での需要については把握していた。特に今回、展開を強化する東南アジアマーケットについてはモバイル普及によるコマースなどのサービスが市民生活に拡大しており、Reproが得意とするユーザーに適したマーケティング施策の需要が今後多いに見込まれることから拠点設立に至った。

Have a Good Cashless.【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿) The Bridge has reproduced this from its origina…

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Mark Bivens.


Image credit: Masaharu Nozawa / 123RF

Have a good cashless. —— 私が使う銀行の一つ(訳注:正確には、三井住友カード)が、顧客のキャッシュレス採用を高めようとする魅力的なスローガンだ。言葉遣いが少しぎこちないとはいえ、我々がアメリカでよく耳にする「現金廃止論」よりも、優れたスローガンだと申し上げたい。

事実、日本におけるキャッシュレス推進は国をあげたものとなっており、2020年のオリンピックに向けた、実体のある政府奨励策を伴ったものとなっている。しかし、キャッシュレスが実現するまでの道のりは長い(以下のグラフィックを参照)。

日本ほど技術が進歩した社会でさえ、現金は依然として優勢な取引媒体だ。多くの事業者は、現金以外のものは受け付けない。非常に多くの現金を必要とした、ある巨額に及んだ取引のときのことを私は忘れないだろう。案件のクローズのために弁護士事務所の会議室に私は座っていると、アシスタントたちがお札を数える機械を持ってきた。映画の中で、違法薬物や武器の取引が行われる時のような気がした。

以下に示したのは、キャッシュレス採用について、日本の位置付けを他国と比較して示した Rude VC のインフォグラフィックだ。このクリエイティブを用意してくれた Clarisse に謝意を表したい。今後の寄稿では、投資家の目と消費者の目の両方から、私の注意を引いたキャッシュレス製品について取り上げたい。

それまでどうぞ、Have a good cashless.

キャッシュレス採用率。左から:韓国、スウェーデン、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、日本、南ヨーロッパ(クリックして拡大) 
Image credit: Rude VC

狙うは日本企業のモバイル化ーー創業6年・30億円調達のヤプリ、解約率1%未満の“勝ち筋”を聞いた【庵原氏インタビュー】

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注目の国内SaaS企業が大型調達を発表した。 マンションの一室で始まった「プログラミング不要のアプリプラットフォーム」は幾多の困難を乗り越え、大手企業を中心に300社が利用、全ての利用企業の総ダウンロード数は3500万件、さらに解約率1%未満という結果を叩き出すまでに成長している。 <参考記事> SaaSは年商10億円の壁をどう超えるーーRepro、Yappliの創業者が語る「PMFま…

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左から経営陣で取締役の佐野将史氏、代表取締役の庵原保文氏、取締役の黒田真澄氏

注目の国内SaaS企業が大型調達を発表した。

マンションの一室で始まった「プログラミング不要のアプリプラットフォーム」は幾多の困難を乗り越え、大手企業を中心に300社が利用、全ての利用企業の総ダウンロード数は3500万件、さらに解約率1%未満という結果を叩き出すまでに成長している。

<参考記事>

一方、創業した当時からテンプレート形式のアプリ運用プラットフォームのアイデアそのものは目新しいものではなかった。実際、彼らもスモールビジネスを対象にした初期の事業では戦略の変更を余儀なくされている。

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2015年9月、マンションの一室で撮影した創業当時の経営陣(筆者撮影)

市場は彼らのどこに注目し、何に期待したのか。本誌ではヤプリ創業者で、同社代表取締役の庵原保文氏に彼らのビジネスの状況と今後の事業成長について聞いた(太字の質問は全て筆者、回答は庵原氏)。

オフィスを移転して一気に拡大した。インテリアもビジネス向けのSaaS企業としては明るい雰囲気になっている

庵原:部門を問わずイベントごとが大好きなカルチャーなんです。元々、顧客とのユーザー会はもちろん、ミートアップや勉強会など多数開催していました。他の会場を利用するだけでもコストはかかりますから、自社の中に作ってしまおうと。このオープンスペースで毎日のように開催される予定ですよ。

今回の取材では昨日公表した大型の調達についてその展望などを聞きたい。まず、現状のビジネス状況について教えてほしい。リリースでは300社が有料での利用ということだが、国内の上場約4000社、売り上げ好調の未公開企業合わせて数万社がターゲットと考えて、この数字をどうみている

庵原:社数として伸びしろが非常に大きいと感じています。SMB(中小規模の企業)中心だった創業期と異なり、エンタープライズのクライアントが中心になりますので、SMBのように数万社を事業目標にはしておらず、スケール感で表現すると、1000社導入でもユニコーン(評価額で10億ドル規模の企業)を狙えるサイズ感になってくると考えています。

どういった業界の利用が進んでいる

庵原:現状では「マーケティング支援」と我々が呼んでいるジャンルが顧客の大半を占めています。これは企業のモバイルマーケティング強化の文脈で、自社でのアプリ利用が進んでいるような方々です。

具体的には

庵原:アパレルや通販、商業施設、飲食などの業界(インダストリー)がアプリを利用して集客強化を行っているような事例です。ポイントカードやスタンプ、クーポン、EC機能等によるオンライン・オフラインの両方の集客や売上の増加に大きく貢献しており、引き続きこの市場を盤石にするのが当面の動きになります。

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ヤプリは2019年6月に六本木のSmartHRなど新興企業が集まるビルに移転した

次のターゲットは。特徴的な利用が進みそうな業界など可能性は

庵原:並行して、業界を問わないビジネス全般における用途でも需要が高まっています。例えば商品カタログや研修動画を社内や取引先に配布するBtoBアプリで、大手のメーカーの導入が進み始めています。

法人の営業支援などの利用は電子カタログなどのビジネスで聞いたことがある

庵原:またユニークな例では青山学院大学が導入しており、校内の掲示板のリプレイスとなる、大学と学生間でのコミュニケーションに使われていたりします。従来のオフライン(紙媒体など)や、ウェブで管理や共有していたものが、より接点の近いアプリに置き換わっている例ですね。

ーーなるほど。少し補足しておくと、ヤプリはもう以前に取材をしていた頃の「テンプレートアプリメーカー」ではなくなっているようだ。庵原氏の話によれば、企業の情報戦略上で必要に迫られる「モバイル化」の流れを受け、かなり上流の工程からコンサルティング的に現場に入っているということだった。

つまりこれは従来、コンサルや大手広告代理などの手がけていた分野に近い。企業はマーケティング活動だけでなく、法人営業、組織内情報流通など、あらゆるシーンでモバイルを活用した効率化(庵原氏が表現するところの「モバイル投資」)を求められている。スクラッチで独自開発することができる大手IT系や、大型の予算が組める事業体は別として、多くの事業者はリーズナブルな選択肢を探しているはずだ。

ヤプリはそこにハマった。しかも彼らはコンサルフィーをビジネスにしない。それがチャーン(解約率)1%の秘密なのだろう。話を庵原氏のインタビューに戻そう。

 

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ヤプリのケーススタディは冊子になってオフィスに並ぶ

話を変えてチーム状況を教えてほしい。(経営陣含め)社員数や開発メンバーの比率、オフィス移転に伴って今後どのような運営体制を構築する

庵原:社員数は150名程度に拡大しました。プロダクト本部(=開発本部)としては全社の約1/3で、プロダクト開発に重きを置く体制になっています。移転に伴いエンジニアが働きやすい環境に対しては大きく投資をしているので、今後は更に採用を強化し、開発タレントの比率を全体の5割ぐらいまでにしようと計画しています。また人数の増加に伴い、開発系の人材には経営への関与も強めてもらいたいと思っています。

ヤプリの利用ニーズから考えて、開発と同じく重要なキーを握るのがオンボーディング箇所

庵原:それがカスタマーサクセスのチームです。プロダクト本部がベストな製品を作り、それを顧客が使いこなして各社を成功へ導く必要があります。製品の導入支援はもちろん、継続的な顧客の課題解決と成功のために伴走し、支援する専門チームがカスタマーサクセスになります。

組織強化の課題と対策は

庵原:内部登用と新規採用の両面ですね。強化していきたい。その他の部署としてもミドルマネジメントの強化やCxOの採用・登用を含めて組織強化は重要課題に設定しています。

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オフィスフロアに大きく間取りされたオープンスペース

近年スタートアップの人材獲得競争、特に優秀なマネジメント層を引き入れるための工夫を各所で聞くようになった。特にカルチャーづくりは各社力を入れていると聞く

庵原:そうですね、ヤプリとしては会社に来たくなるようなカルチャーを作りたい、というのはあります。そのための施策のひとつとして、オフィスの1/3をオープンスペースにしカフェを作ったりしています。前述した通り内部・外部を招いて各種イベントを開催しますし、夜はアルコールも提供して社員の交流を促進できるような仕掛けにしています。あと、社員のSNSでの情報発信はSaaS系の会社としてはかなり活発な会社だと思いますよ。

企業成長について聞く。今回の大型調達を経て、株式公開やその後のストーリーでどのようなイメージを持っている

庵原:当初は最短でのIPOを考えていました。

なるほど

庵原:ただ、スマホが行き渡たるにつれ「企業の本格的なモバイル投資が始まる」という市場拡大のチャンスに気がついたのです。この余地は非常に大きい。それでプライベートでの増資に切り替え、腰を据えて上場の経営判断をしたいと考えるようになったんです。

時期は

庵原:予定としては数年内にと考えていますが、オリンピックなどのイベントは市況の潮目を変えるきっかけになるので一定の意識はしています。また規模としても、今回の調達により市場の期待を強く感じています。今回のラウンドで参加された新規投資家の方々も十分に納得できる内容を実現できると考えています。

ありがとうございます。引き続き追いかけます。

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新たに移転したオフィスから創業当時のマンションがみえるそうだ

ーーということで庵原氏にヤプリビジネスの今を聞いた。印象的だったのは、彼らがアプリプラットフォームというSaaSモデルを選択しながら、盲目的に数を追いかけるスケール偏重の戦略を早い段階で変更していた、という点だ。対象となる企業の数、価格、チームバランス、役割などこの部分の変更はそう簡単ではない。創業から2年目までにこの舵取りをしたことが今の成長に繋がっている。

企業がモバイル対応を迫られる中、大手コンサルやSier、気軽に依頼できる小さな制作会社のいずれとも異なる独自のポジションを確立しつつあるヤプリ。現在の300社という数字が今回の大型調達を経て、どのような成長カーブを示すのか。また次の取材機会があればお伝えしたい。

SaaSは年商10億円の壁をどう超えるーーRepro、Yappliの創業者が語る「PMFまでの道のり、ARR成長の鍵」

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B2B SaaSビジネスが好調だ。 国内の事業者向けクラウドサービスの情報を集める「ボクシル」が公開しているカオスマップを紐解くと、2018年7月時点で4000件を超える事業者が登録されているという。 ビジネス的に法人をターゲットにした積み上げの営業スタイルは収益を安定させやすく、トレンド勝負、広告依存型の一般消費者向けサービスに比べて「生存確率が高い」ことも参入人気の理由だろう。その一方で頭打ち…

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写真左から:ヤプリ代表取締役の庵原保文氏、Repro代表取締役の平田祐介氏

B2B SaaSビジネスが好調だ。

国内の事業者向けクラウドサービスの情報を集める「ボクシル」が公開しているカオスマップを紐解くと、2018年7月時点で4000件を超える事業者が登録されているという。

ビジネス的に法人をターゲットにした積み上げの営業スタイルは収益を安定させやすく、トレンド勝負、広告依存型の一般消費者向けサービスに比べて「生存確率が高い」ことも参入人気の理由だろう。その一方で頭打ちもしやすいのだろうか、時価総額1000億円越えの「ユニコーン」リストを眺めると、やはりC向けサービスのスケール感が目立つ。

小さくまとまらず、かつ着実に事業を大きくするにはどのような経営戦略が必要になるのだろうか?

ということで本稿では、今月29日に提携を発表した国内B2B SaaSの成長株、Repro代表取締役の平田祐介氏と「Yappli」運営ヤプリ代表取締役の庵原保文氏にそのTipsをお伺いした。(太字の質問は全て筆者)

まずは今回の提携から。クラウド型アプリ開発プラットフォームのYappliと、マーケティングツールのReproの連携は相性が良さそうに感じる

平田:そうですね。Yappliを利用されているユーザーの方はReproを活用することでアプリチャンネルの収益(ROI)向上が期待できますから、結果的にYappliの満足度向上に繋がると思っています。また、Reproとしては当然ですが、Yappliでアプリを開発・運用されている事業者の方にも導入ができるようになったのが大きいです。

庵原:既に導入クライアントがいるので実効性あるものになるのではないでしょうか。アプリでもデータに基づくユーザー体験は求められてますから、Repro搭載による深いコミュニケーション(高度なターゲティング・プッシュなど)には期待しています。あと、我々のコアではない部分をReproのような専門的ツールがカバーできるので、SDKとのビジネスは相性いいんですよ。

一方でこういった発表で排他的になる可能性もある。わざわざ提携とまでして公表した理由は

庵原:平田さんとは創業時から意見交換していた仲なんです。当時はお互い社員はいなく、どう生き残るかの話をしてました(笑。あれから6年経って、双方全く違うリーダーシップ・カルチャーで経営し、生き残るばかりか100名規模までお互い成長できたことは驚きでもあります。今回の協業を通して、双方でモバイルアプリ、モバイルマーケティングの市場拡大に貢献したいですね。

平田:ヤプリに買収されるようなことがないよう全力で今後も伸ばしていきます(笑。

2社とも創業から5、6年経過したいわば「同級生」。数名でスタートアップして今ではそれぞれ100名規模に拡大している。事業拡大にあたって最初の壁はどこにあった

平田:PMF(プロダクト・マーケット・フィット)達成までですね。創業から1年半かかりました。ARR(Annual Recurring Revenue/年間経常収益)数十億以上のポテンシャルがあるPMFを見つけるのは大変です。

Reproの初期サービスってアプリの分析ツールでした。しかし販売はできても、ARR10億円にも到達しないことが分かったんです。そのため、試行錯誤しながら「アプリのマーケティングツール」へピボットし、かつ市場成長率以上に伸ばす必要がありました。IPOを目指すのであれば、ARR10億円以上を可能にするPMFを5年以内に見つけるのが重要な鍵になるんじゃないでしょうか。私たちはその決意(ピボット)が創業1年のタイミングでしたね。

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ヤプリは当時まだ「ファストメディア」という社名だった

庵原:社名変更が2017年4月なので4年ほどですね。いわゆる「0-1」に2年「1-10」には3年かかった感じです。特に1-10で四苦八苦したのがビジネスモデルやプロダクト、組織の確立でした。

ビジネスモデルについてはアプリ制作のプラットフォームということで、分かりやすい印象があったが

庵原:B2B SaaSの鉄板となっている「リード、商談、受注、解約防止」まで一連の流れを作るのが大変なんです。組織の細分化や、特にKPIとその実行施策については強固にしようと注力しました。優秀なマーケター、セールス、インサイドセールス、カスタマーサクセスと4つの職種を作って、有能なマネージャーの元に各チームがKPIを達成し、最終的に売上を作る。

パワポで描けても、採用や組織作り、KPIの設定・可視化、なんといってもその実行は大変でしたし、これからもアップデートし続ける必要があります。

またプロダクトについても導入企業が増えると「攻めの開発」だけでは立ち行かなくなります。「守りの開発」、つまり品質管理などの重要性を理解し、社員全員でその考え方を共有したり、手法を整理するのは大いに苦労しました。

Repro同様、PMFまで苦労した

庵原:例えばARR100億円を月額1万円で達成するか、月額100万円で達成するか。この視点で考えるのがいいかもしれません。自社のプロダクトの特性やターゲット市場の特性を考えた上で、販売手法や単価を考え、目標へどう登るのかを決めることが非常に重要、ということです。

例えばエンジニア向けプロダクトの場合はツールリテラシーが高いためセルフサーブでも販売しやすいです。さらに、エンジニア一人一人にID課金できるようなプロダクトであれば、低単価のオンラインセールスも可能になります。

あと、バーティカルなSaaSなら狙うべき業界ってセットですよね。医療向けだったら医療ですし。一方で、うちやReproのようなホリゾンタルなSaaSの場合はちょっと難しくて、早期に試行錯誤を繰り返して継続率や効果、単価や市場の大きさ(社数や従業員数など)からトライ&エラーを続けてPMFするしか方法はありません。

想像以上に粘りが重要

庵原:創業者の諦めないマインドって意外と重要なんです。ここについてはスポーツと同じかもしれません。マインドファーストの精神です。

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スタートアップのPMFは各サービス個別最適とは言え、それぞれの視点が参考になる。もう少し深掘りして売り上げを伸ばすことへの試行錯誤は

平田:創業後約2年でARR1億円規模になるんですが、この段階における経営者(私の場合)は売れる状態になったこともあって、少し安心しちゃうというのが落とし穴かもしれません。当社もそうですが、こういった状況になると、調達した資金をまずセールス・マーケティングに投資することが多いと思います。

しかしSaaSの重要指標なKPIはCAC(顧客獲得コスト)、チャーンレートとLTVです。個人的にセールスやマーケティングを強化するのは、チャーンレートの改善を可能な限りやってからだと考えてます。一度発生した顧客の流出はリカバリーするのが困難だからです。これはC向けのサービスで水漏れが少ないバケツを作ってから広告費を投下しようという考え方と一緒ですね。特にB2B SaaSの場合は潜在顧客が少ないのでより慎重になるべきでしょう。

庵原:顧客のターゲットゾーンと業界についての理解が深ければ、もっと速く成長できた可能性はあります。そこが分からなくて2年ほど遠回りしましたが、その時に試行錯誤して作った機能たちが、今のメイン機能となっていることを考えると事業に正解はないとも思います。

当初のターゲットはオンラインセールス中心の低単価SMB(中小企業)でした。このターゲットをミッドマーケット・エンタープライズに変更し、手法を対面セールス(フィールドセールス)に変えてから事業は見違えましたね。僕らのプロダクトの場合はオンラインで大量に売るモデルではなく、大手企業にしっかりと商品価値を理解してもらった上で効果を出していくアプローチのほうが正解だったんです。

ーーここで少し、平田氏が解説してくれたCAC最適化の手法が参考になったので追記しておきたい。彼が言うには、成長フェーズに入ったSaaSでマーケティング効果、効率がよい手法はやはり既存客の評価なのだそうだ。例えばReproが今年1月に獲得した新規契約の4割はこういった口コミ経由になっている。当然のことながらここにかかるコストは大変低い。その上で、平田氏はここに至るステップを整理してくれた。

  1. そのサービスが「ARR10億円以上になるか」という視点でPMFを捉える(顧客数×単価でざっくり)
  2. 該当するサービスができたらまず、数十の顧客を獲得してチャーンレートの改善にチャレンジする(解約2%以下目安)
  3. 顧客満足度が高い(=解約が低い)状態を実現できたら、この満足度を拡散できるコミュニティをつくる
  4. 様々なマーケティング施策を試行錯誤してCACを最適化する

同時に平田氏は「2」のタイミングでオウンドメディアを通じて業界の人がまだ知らないような記事を発信し、専門家だというブランドを作ったり、「4」のタイミングでは施策別の売上貢献を定量的にモニタリングすることなどが重要と補足している。

インタビューに戻ろう。

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組織の問題も頭を悩ませる。100人の壁に代表されるハードルをどのように超えたのか。また採用については「地味」な印象のあるビジネスでどういったPR戦略を考えたのか

庵原:50名を超えるまで人事担当が空席だったので、社員のオンボーディングができてませんでした。今よりも離職率は高いのに、その一方でどんどんと採用する必要があってバランスが悪かった。人を増やすための攻めの採用と、従業員の満足度を増やす守りの人事、両輪で考えなければならないですね。

平田:少し視点は違いますが、Reproの場合はカスタマーサクセスが組織拡大に貢献してます。

というのも、現状のカスタマーサクセスはライトなコンサルティングも無償で提供しているんですが、ここがポイントで、顧客はツールが欲しいのではなく、ツールを活用したKPIの向上を求めています。なのでカスタマーサクセスのミッションとして、顧客がツールを使ってKPIを伸ばす体験をして頂くことを課しています。これを私たちはCCF(造語:Client CustomerSuccess Fit)と呼んでいます。

採用した人材がサービスを通じて顧客に最適化する、というイメージ

平田:優秀な人材が採用できた場合は必ずカスタマーサクセスに配属するんです。ベンチャーマインド旺盛なミドルに権限を委譲しつつ、、社長が完全にバックアップする。1年ほどでこの仕組み自体を最適化できました。

ヤプリは採用に関して具体的にどういった手法を取った

庵原:オーソドックスですが、wantedlyのブログ更新やSNSの活用、ミートアップ、社内紹介制度など打ち手をどんどん広げて言っています。全社員で採用広報に取り組むように奨励しています。採用になると全スタートアップからIT大手までが競合ですし、皆が資金調達しているため規模に関わらず優秀人材への争奪戦が激しいです。

現在も急ピッチで採用広報に力をいれています。一方で、業界的にSaaSが盛り上がってきているので、採用は数年前よりどんどん楽になっているという状況もあります。今後もそのトレンドが続くのではないでしょうか。

ありがとうございました。

いかがだっただろうか。彼ら創業者に共通した点があるとしたら「考え抜く」という姿勢ではないかなと思う。

これまでの取材を含め、振り返って2社とも創業からしばらくは伸び悩みの試行錯誤期があったように思う。しかし軸をぶらさず、信じるという行為を続けた結果、両社とも自然に「光明」のようなものを見いだすことができた。

取材者にとっても「ああ、このプロダクトはいいものだ」と思う瞬間でもある。

テンプレ的に教えてもらった経営戦略だけでない、製品に感じる「愛」のような定性的な表現は、実は顧客や社員、ステークホルダーに浸透する魔法のような役割をもたらしてくれる。今回、お二人が共有してくれたTipsはもちろんそれだけでも役に立つものだと思うが、個人的にはここに、彼らのプロダクトに対する真摯な姿勢も付け加えさせていただきたい。

人工知能がムダな広告費85%カットに成功ーーReproがAI研究結果を公表

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ニュースサマリ:モバイルアプリ/ウェブのマーケティングツール「Repro」のAI活用が成果を出している。11月末に公表された集英社での事例では、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」でアプリを利用しなくなる傾向のあるユーザー(以下、離脱ユーザー)を人工知能が予測。離脱前に防止策を打った実証実験について、その成果が公表された。結果として予測の誤差は10%以内に収まり、離脱防止にかかったコストは従来の手法(…

Repro代表取締役の平田祐介氏

ニュースサマリ:モバイルアプリ/ウェブのマーケティングツール「Repro」のAI活用が成果を出している。11月末に公表された集英社での事例では、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」でアプリを利用しなくなる傾向のあるユーザー(以下、離脱ユーザー)を人工知能が予測。離脱前に防止策を打った実証実験について、その成果が公表された。結果として予測の誤差は10%以内に収まり、離脱防止にかかったコストは従来の手法(マニュアル)に比較して85%の削減に成功した。

話題のポイント:アドテクや顧客マネジメントのマーケティングオートメーション(MA)関連の話題は本誌でも度々扱ってますが、実際、どういう効率化があるのかイマイチ分からないものも多く「人工知能だ!」と声高に叫んでも、実は人手が思いっきりかかってた、なんてこともよくある話です。

その点、今回ご紹介するReproの結果は具体的でした。Repro代表取締役の平田祐介さんのお話交え、少し詳しく検証結果について紐解いてみたいと思います。

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今回実施された実験は平たく言えば、アプリを使わなくなる人を人工知能で予想して離脱を防ぐ、というものです。平田さんのお話では、従来こういった作業はマニュアルによるものが多く、「だいたい朝のこの時間にみんなアプリ使うだろうからよしプッシュだ」みたいな十把一絡げな運用が多いそうです。

「少年ジャンプ+」で実施されたのはもうちょっと細かく、アプリの再訪確率が低いユーザーを人工知能で抽出し、そのユーザーに対して特典などをプッシュ通知したそうです。面白かったのは、元々再訪率が高い(よく使っている)ユーザーは特典プッシュされてもウザいだけらしく、逆にプッシュで離脱してしまうのだとか。

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そもそも離脱するはずのなかったユーザーを戻すための広告費と、無駄撃ちしていた広告をカットすることで、実に85%の広告費削減に成功した、というのはわかりやすい結果ですね。人工知能の精度について平田さんはこのように説明してくれていました。

「MAの基本は誰に対して、何を、いつ、どうやって届けるのか、です。この内、人工知能で解決できるのは「What」以外全部できそうってことが分かってきたんです。特に「Who」については9割方予測可能」(平田氏)。

なお、このプッシュ通知を打つタイミングですが、ここにも人工知能が活躍する可能性があるそうです。これは別の匿名案件の事例として教えてもらったのですが、なんと1to1でプッシュをテストしてみたそうです。

つまり、とあるユーザーは再訪時間が午前2時あたりだろう、ということを人工知能で予測して、そのタイミングでプッシュを打つ、というものです。間違ってたら深夜にビービーアプリ鳴るわけですから極めて迷惑ですよね。具体的な数値は秘密ということでしたが、こちらもすこぶるよい結果が出たそうです。実験協力してくれた企業も知名度高い大手ですのでよくこれにOKを出したなと。

一方、まだまだ難しい面も当然あります。まず、アプリとの相性があります。人工知能には予測に必要な教師データが必要になりますから、類型が他にあれば予測精度も高まります。平田さんのお話では、マンガアプリのようにReproが得意とする類型がある場合だと導入してから数週間ぐらいで予測が可能になるそうですが、全くみたこともない、奇抜なソーシャルネットワークのようなものだとやはり月単位で「慣れる」必要があるという説明でした。

Reproではこれら結果を踏まえ、人工知能による離脱予測を「SmartAudience」としてサービス化も発表しています。現在はベータ版の提供で、ユーザーの行動履歴からアプリへの再訪率を予測し、自動でオーディエンスの分類をしてくれる、というものになるのだそうです。

ウェブでチェックした商品のお得情報がアプリのプッシュで届くーーReproがウェブ向けツール公開、「アプリ連動マーケ」を実現

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アプリマーケティングを手がけるReproは10月4日、ウェブ領域のマーケティングサービス「Repro Web」の提供を開始した。利用料金は月額10万円からでサイトの規模に応じて変動する。 同社のアプリ向けマーケティングツール「Repro」はユーザーの行動や属性データからプッシュ通知、アプリ内メッセージなどを通じてマーケティングを効率化してくれるSaaS。世界59カ国、5000件以上の導入実績がある…

アプリマーケティングを手がけるReproは10月4日、ウェブ領域のマーケティングサービス「Repro Web」の提供を開始した。利用料金は月額10万円からでサイトの規模に応じて変動する。

同社のアプリ向けマーケティングツール「Repro」はユーザーの行動や属性データからプッシュ通知、アプリ内メッセージなどを通じてマーケティングを効率化してくれるSaaS。世界59カ国、5000件以上の導入実績があるとしている。このウェブ版が「Repro Web」になる。

単体での利用も可能だが、公開当初は主にアプリでの利用実績がある企業への導入を中心に進める。同社代表取締役、平田祐介氏の説明ではアプリとウェブを連動することでより効果的なマーケティングが実現するという。これまでであれば、ウェブとアプリ両プラットフォームにサービスを展開するコマース事業者は、Reproを活用してもアプリのみのマーケティング施策しか展開できなかった。

しかし「Repro Web」を併用することにより、ウェブで商品を見たユーザーの情報をそのままアプリ側のReproでも引き継ぐことができるようになる。

例えばコマースサイトである商品を見てお気に入り登録したユーザーは、その商品がお得に買えるタイミングでスマホアプリからプッシュ通知でお知らせしてもらえるようになる。つまり、検索流入による獲得と、プッシュ通知などアプリで効果が実証されているマーケティング施策を組み合わせることができるようになる、というワケだ。これらは全てReproが提供する一つの管理画面で確認ができる仕組みだ。

なお、ウェブとアプリのユーザーを同定する方法はcookieとアプリユーザーのIDを紐づけることで実現するそうなので、この方法を実現するにはアプリ側でもReproを利用している必要がある。Repro Webは今年6月からクローズドベータの提供を開始しており、人材事業のディップやGMOペパボの運営するminneなどへの導入が決定している。

勝てるアプリ、成長に必要な7つのポイントーーReproとグッドパッチがアプリ成長支援で提携

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スタートアップのみならずスマホアプリをビジネスチャネルとして選択肢に加えることがごく当たり前の時代。マーケットが拡大すれば、当然それらをグロースさせるノウハウも蓄積が進むわけで、一定の勝ちパターンなるものも見えてきたーー そんな話を聞いたので取材に行ってきた。訪問先は代々木に拠点を構える「Repro」だ。 Reproは2015年4月に公開のアプリの成長支援ツールで、2018年5月時点で世界59カ国…

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写真左から:グッドパッチ代表取締役の土屋尚史氏、Repro代表取締役の平田祐介氏

スタートアップのみならずスマホアプリをビジネスチャネルとして選択肢に加えることがごく当たり前の時代。マーケットが拡大すれば、当然それらをグロースさせるノウハウも蓄積が進むわけで、一定の勝ちパターンなるものも見えてきたーー

そんな話を聞いたので取材に行ってきた。訪問先は代々木に拠点を構える「Repro」だ。

Reproは2015年4月に公開のアプリの成長支援ツールで、2018年5月時点で世界59カ国、5000件以上に導入されている。ユーザーリテンションやファネルなどの定量分析、動画によるユーザー行動の定性的な分析などを通じて、アプリのインターフェースや体験性(UI/UX)を改善するポイントを教えてくれる。

プッシュ通知などのアプリ内マーケティングも提供されており、同社の説明では課金率を平均で20%改善させたり、1か月後のリテンションレートを35%改善するなどの実績を積み上げているという話だ。特にアプリは継続して利用してもらうことが大切なため、このリテンションレートの改善には力が入っているという。

このReproが講談社の漫画アプリ「コミックDAYS」に導入され、アプリ成長の支援を開始するということで、実際にどのような施策を実施したのか、同社代表取締役の平田祐介氏に話を聞いた。また、UI/UXを担当したグッドパッチ代表取締役の土屋尚史氏にも同席してもらった。

アプリユーザー獲得から成長に必要な7つの重要施策

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講談社のコミックDAYS

二人に話を聞く前に具体的な施策の内容を紐解いてみよう。もともと講談社の企画で始まった「コミックDAYS」は外部に開発のパートナーを求めていた。白羽の矢が立ったのがグッドパッチとはてなだ。それぞれアプリ担当、ウェブ担当という具合に役割を分担した。

土屋「もともと講談社さんが持っていた課題や企画アイデアの『骨子』に対して私たちがどうやったらビジネスモデルとして成立するのか、助言しながら組み立てていった感じです。初期の開発は昨年7月頃から着手して、実質半年ほどかかりました。漫画アプリと言っても課金もあれば広告もあるし、実際に市場に出してみないとどれが正解かなんてわからない」。

そしてこのアプリ部分の定量分析、改善を担ったのがReproになる。アプリストア最適化(ASO)支援とアプリマーケティング支援の両方を手がけており、それぞれ具体的な取り組みは次の通り。

  • アプリストアの検索キーワード最適化:自然流入の増加
  • アプリアイコンや説明文の最適化:ダウンロード率の向上
  • アプリジャンル毎のトレンドに合わせた検索ロジック最適化
  • リテンション分析によるユーザー行動把握、KPI設計
  • プッシュ/メッセージによるマーケティング施策設計
  • レポート効果測定
  • 結果検証に基づくPDCA

これらの7項目を一気通貫で実施することでアプリユーザーの獲得から収益化までを継続的に改善し続けることが可能になる。指標を元にUI/UXの改善をグッドパッチが実施する。

土屋「リリース後に受けたユーザーのフィードバックを集め、課題に対してどういう優先順位をつけるのか、それはどのような判断軸で決定するのか、そういうルールを決める必要があるわけです。地道にやればいつかは改善していくと思います。けど、(単独でやれば)時間はかかるでしょうね」。

平田「アプリのUXってUI自体の話とプッシュのようなコミュニケーションの両方を高めないとグロースしません。その課題がどこにあってどういう方向性に向かえばいいか、これまでの知見からアドバイスはできます。一方でデザインそのものやUIの設計までやっていいよ、というクライアントの対応までお手伝いしたかった」

コミックDAYSの事例で両社は得意分野を分担することになった。

KPIの設計で「何やりたいですか?」は不要

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このように定量的な分析データに基づくPDCAが回ればある程度の施策や成長具合は見込めるようになるだろう。しかしそもそもPMF(市場最適化)してない、もしくはするかどうか分からない場合はどのように考えればいいだろうか?

平田「例えば事業会社の事業に関係ないものを出す、というのは全く無意味です。具体名は控えますが、使いにくい機能を満載にしたり、ウェブで十分なのにわざわざアプリで出すような体験は、結果的にブランドを毀損するので再考された方がいいです」。

平田氏は具体的に「1:本業のプロモーションにつながるもの、2:ECなど具体的に事業を再現するもの、3:顧客管理(CRM)を実現するもの、この3つ以外はシナジーが見込みにくい」としていた。土屋氏もこう指摘する。

土屋「(アプリ改善の)パフォーマンスを出せそうかな、ということは考えますね。特にマーケットは重要です。その企業がやろうとしている市場の『筋』はどうなのか。また担当者にちゃんと熱量があるか。こうこうこういう領域だからやらない、というのはないですが」。

また、KPIの設計についても平田氏は興味深い話をしてくれた。

平田「売上でいくのか、それともユーザー数でいくのか、それぞれに勝ちパターンがあるので、それに合わせて設計していくという感じですね。あと『何やりたいんですか?』みたいな質問ってしないんです。こうやった方がいいですよ、KGIとして設定する売上は数億なのか数十億なのか、そしてそれは現実味のある数字かどうか。こういうヒアリングを通じて売上目標まで作ってその数字を元に開発や改善のスケジュールを作るわけです」。

例えば出版社のビジネスモデルで大きいのはヒット作家を掘り当てることだったりする。じゃあ既存作品に課金するよりも、新人発掘をターゲットに幅広く集めるために無料にした方がいいーーといった具合だ。

話を聞いてみて、やはりアプリ成長の分野はまだまだ人手のかかる箇所が多い印象を受けた。特にビジネスモデルの紐解きや、KPIの設計などはコンサルティングの力を借りなければ決断できない。

平田「実際にサービスを作り、どうやってその世界を実現させるのか。それには売上なのか、購読なのか、作家を発見することなのか。こういうクライアントワークはなくならないですね。一方で売上の75%はReproのSaaSが稼いでくれてるので、事業としてはどんどん積み上がってるような状況になってます」。

今回、両社が取り組むアプリ成長の支援サービスは人とシステムをうまくハイブリッドした形になるのだろう。また実績が積み上がった段階でお伝えできればと思う。