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GCPが360億円ユニコーンファンド、最大50億円出資も可能ーー今野、高宮 両氏に聞く「連続起業家の再現性」について

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ニュースサマリ:日経が報じている通り、ベンチャーキャピタル事業を手がけるグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)は16日、6号ファンドの設立を公表する。3月29日時点での一次募集で集まった資金は360億円。6月末の最終募集で375億円のファンド総額を目指す。 一次募集での出資者は三井トラスト・グループ、日本政策投資銀行、中小企業基盤整備機構、東京海上アセットマネジメント、損害保険ジャパ…

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写真左から:グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー今野穣氏、高宮慎一氏

ニュースサマリ:日経が報じている通り、ベンチャーキャピタル事業を手がけるグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)は16日、6号ファンドの設立を公表する。3月29日時点での一次募集で集まった資金は360億円。6月末の最終募集で375億円のファンド総額を目指す。

一次募集での出資者は三井トラスト・グループ、日本政策投資銀行、中小企業基盤整備機構、東京海上アセットマネジメント、損害保険ジャパン日本興亜、三井住友銀行、横浜銀行、その他企業年金基金や金融法人、大学基金などを含む。ファンドにおける機関投資家の割合は8割になる見込み。

GCPは1996年に設立した1号ファンドから数え、23年での運用総額は1000億円を超える。累計投資先は150社以上、メルカリやユーザベース、ビープラッツ、すららネットなどの成長を支えた。

6号ファンドではレイターシードの企業から時価総額1000億円を超える「ユニコーン・ラウンド」までの成長企業を継続支援する。そのため、1社あたりの投資金額を50億円まで可能としている。また、大企業からのカーブアウト(事業分離)やMBO(マネジメント・バイアウト、経営陣による買収)も積極的に取り組む。

話題のポイント:スタートアップ支援で欠かせない、独立系ベンチャーキャピタルというポジションで常に業界をリードしてきたGCPが大型ファンドを公表しました。本稿ではその方針や、そもそもの「起業家」を科学する手法について、代表パートナーの今野穣氏、高宮慎一氏に詳しく話を伺っています(太字の質問は全て筆者、回答は両氏)。

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GCP過去最大の規模のファンドになった。方向性を整理したい

今野:今回の6号ファンドでは「日本発ユニコーン創出(10億米ドル規模の評価企業)」を掲げ、レイターシードからプレIPOラウンドに至るまで一貫してリードインベスターとして支えられるファンドとなることを目指しています。そのために過去最大の360億円という規模、かつ1社当たり最大50億円を投資可能な新ファンドを組成することになりました。

出資対象の企業ステージや出資額など目安は

今野:従来通り、シリーズAやその少し手前の段階から出資をしていく方針に変化はありません。ユニコーン企業になるためには概ね100億円程度の外部資本が必要と考えています。このうち、本質的なリードインベスターとして1社あたり累積50億円を投資できる受け皿を用意することで、シリーズAからIPO前まで、支援の手法は変わらずとも、あらゆるステージの資金調達に対応できることになると考えています。

出資の対象についてもうひとつ。ミラティブの例が記憶に新しいが、既存事業をMBOしてグロースさせるような手法は今後、どのように考えているのか

高宮:グロースキャピタルについても積極的に取り組んでいきます。これまでバイアウトファンドでは小さすぎ、かつVCファンドでは大きすぎ、ホワイトスペースとなっていた時価総額数十億円規模のカーブアウト・MBO案件についても積極的に取り組んでいく予定です。

スタートアップの支援策について。採用やバックオフィスなど、従来、パートナーがハンズオンで個別にアドバイスしていた内容をチームとしてバックアップするスタイルが拡大していると聞く。GCPとしてどのような体制・策を取るのか

今野:投資先支援としては新たな取り組みとして、投資先支援機能を専門とする「Value Add Team」を組成しています。投資担当とは異なる専任のチームで、経営者を対象にしたクローズドな合宿や勉強会の開催、また投資先が相互に刺激・学びあう場となるような投資先コミュニティー創り、緊急性の高い採用周りの支援等を実施していく予定です。

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全て内製するのか

高宮:いや、これまでもやってきたことなんですが、人事やマーケティング、IPO準備などキーとなる特定分野については外部の専門家と組んだアドバイザー・ネットワークを提供していく予定です。

ーーここはもう少し深く掘り下げてみたい。今、スタートアップの事業支援で話題になるのは一にも二にも「人材」だ。

GCPでは、スタートアップ支援をHR・IR・PRなどから入るそうで、採用は当然ながら力を入れている。支援方法も、採用エージェントによる母集団(タレントプール)を作るだけでなく、これまでのネットワークを活用した一本釣りもするし、また、重要なポジションについては間に入って面談することもあるという話だ。

「良いことも悪いことも全部言う。入ってから大混乱の方が問題(今野氏)」と、スタートアップ採用の難しさを垣間見せつつ、ベンチャーキャピタルが企業の透明性を担保する役割を担っているという話が興味深かった。

話を二人のインタビューに戻す。

具体的にどのぐらいの人員配置を実施する

今野:ファンドの大型化に伴い、ファンドマネジメントに加えてファームマネジメントを強化します。主要キャピタリスト7名とバックオフィス1名が、経営チームとしてそれぞれ適材適所の責任をもち、より一層組織力を上げようと考えています。

少し話題を変える。国内の既存企業はファンドへの出資と並行してオープンイノベーション(協業)による新規事業創出の取り組みも続けている。ファンドとしてはWiLが資金を預かりつつ、同時に出資者と共同で事業を立ち上げるような例もある。GCPとしてオープンイノベーションの動きをどう見ている

高宮:ファンド投資家の属性でいうと、今回の投資家はほとんどが機関投資家となっています。そのため、資金をお預かりする代わりにオープンイノベーションのインテリジェンスやコンサルティング的支援を提供するものではありません。

一方で投資の視点でいうと、日本から定常的にユニコーンを創出するために、世界レベルで競争力があるベンチャーや産業を育成する必要があると考えています。そのためには、今まで脈々と築き上げてきた日本の強みである大企業や製造業の資産に、新しい日本発のイノベーションを掛け算していくような投資をしていきたいと思います。

具体的には

高宮:投資先の大企業との協業、大企業と弊社との協調投資はより増えると考えています。またカーブアウト・MBOでは、親会社の大企業が一部持分を残す場合が出てくると思います。その時は共に切り出した事業を大きく成長させていくことになりますし、またカーブアウトをすることそのもので大企業の集中と選択を促進し、より競争力を強化することに貢献できればと考えています。

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この10年を振り返ってスタートアップ投資の環境は随分と変化した

今野:10年ほど前は金融系VCと僅かな独立系VCしかおらず、1社に対して3億円を投資できるだけで競争力となっていました。また、VCファンドに投資する投資家も日本の機関投資家は僅かしかおらず、弊社も海外の機関投資家に頼っていた部分もあります。

私も取材していて、当時1億円の出資に大きなニュースバリューがあったのを記憶している

今野:今や多様な起業家支援のモデルや日本国内においても多様な投資家にご参加頂けるようになったのには隔世の感がありますね。

第四次産業革命真っ只中の現在、日本も遅ればせながらユニコーン企業を徐々に輩出し、日本から海外に飛び出していくサービスや、日本の巨大産業を本格的に変革していくサービスが生まれ始めてます。

C2C分野のメルカリや、ニュースでもユーザベースがQuartzを買収するなど、まさにその事例を生み出す側の支援をしている

今野:その一方、マーケットシェアを獲得していくには、より強烈な垂直的立ち上がりを求められている部分もあります。まさにヒト・モノ・カネ・チエを日本のエコシステムとして結集する試金石となっているタイミングです。

まさにここからの10年、大企業・スタートアップ・そしてそれを縦(時間軸)横(業界)をつなぐハブとしてのベンチャーキャピタルなどの支援機能が、どれだけ多くの産業リーダーを作り上げらえるかが、それ以降の日本の将来を左右するのではないでしょうか。新一万円札に渋沢栄一氏が採用されて話題になっていますが、社会に必要な後世に残る事業の礎を、起業家とともに築いていきたいと思っています。

ありがとうございました。

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GCPキャピタリストチーム・写真提供:グロービス・キャピタル・パートナーズ

ーーGCPの動向は起業家であれば気になる人も多いと思う。インタビュー途中、私は「次の起業家をどう見つけるか」というシンプルな質問を投げかけてみた。

キーはシリアルアントレプレナーだ。

大きな成功を目指し、上場までに100億超の資金を拠出しようとするとやはりそこには「信用」が必要になる。そのパスポートを有しているのが経験者、というわけだ。

また、今野氏に言わせると、彼らは「経験値」と「人脈」に要素分解ができるという。個人としてシリアルアントレプレナーでなくとも、経験値は特定業界の出身者であれば積むことができるし、経営や人脈についてもコンサルなどの出身者はその力を有している場合がある。

つまりチームでシリアルを再現する。こういうケースであれば、初回のスタートアップであっても投資検討の範囲に入る。

この10年で随分と起業の現場は科学が進み、システマチックになった。投資・起業両面で裾野が広がったと言えるだろう。一方で、大きな成功を目指し、それを実現できる起業家を再現性持って生み出すまでには至っていない。

産業の創出が科学されればそこには仕事が生まれ、人生が動き出す。スタートアップをマネーゲームではなく、社会を生み出す活動にできるかどうか。

成長してきたエコシステムの「次」の姿を楽しみにしたい。

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ハンドメイドC2Cの「Creema」が、グロービスやKDDIらから約11億円を調達——システム開発・マーケティングを強化し、年間流通額100億円を狙う

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ハンドメイド商品の C2C マーケットプレイス「Creema(クリーマ)」を運営するクリーマは25日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP と略す)をリードインベスターとする直近のラウンドで約11億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは、2014年6月にクリーマが実施した KDDI Open Innovation Fund(略称 KOIF、KDDI とグローバル・ブレインが運…

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左から:KDDI 戦略推進部長 江幡智広氏、グローバル・ブレイン 立岡恵介氏、クリーマ代表取締役 丸林耕太郎氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 東明宏氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー兼 COO 今野穰氏

ハンドメイド商品の C2C マーケットプレイス「Creema(クリーマ)」を運営するクリーマは25日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP と略す)をリードインベスターとする直近のラウンドで約11億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは、2014年6月にクリーマが実施した KDDI Open Innovation Fund(略称 KOIF、KDDI とグローバル・ブレインが運営)からの1億円の調達に続くもので、クリーマにとっては、通算で4回目のラウンドとなる。今回のラウンドに参加した投資家は、GCP のほか、KOIF の運営元である KDDI とグローバル・ブレイン、SMBC ベンチャーキャピタルで、創業者で代表取締役の丸林耕太郎氏自身も出資に参加した。

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Creema のサービス開始は2010年、これまでに6万人以上のクリエイターが登録しており、240万点のハンドメイド商品が出品されている。日本のハンドメイド C2C 市場の流通額成長率が前年比250%であるのに対し(GMO ペパポ決算資料、および、ホビー白書にょる)、Creema では同前年比で450%以上の成長を見せていることを明らかにしている。

ハンドメイド C2C のマーケットプレイスは、日本国内で現在40社ほどがひしめき合う激戦区と化しているが、その取引の多くは、Creema のほか、minne(GMO 系)、tetote(GMO 系)、iichi(株主は、博報堂グループおよび台湾のハンドメイド C2C である Pinkoi)らトップ4に集約されつつあるようだ(GMO ペパポ決算資料 52ページ競合比較表参照)。

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Creema では今回調達した資金を用いて、システム開発の強化に加え、これまでほぼ口コミに頼ってきたサービス認知についてマーケティング活動を本格化させ、2016年の年間流通総額で100億円を狙いたいとしている(これは minne の同年目標とも同額である)。

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Creema のモバイルアプリ

丸林氏によれば、Creema での商品一点あたりの平均取引単価は同業他社の2倍以上となっており、比較的手の込んだ玄人志向の商品が扱われる傾向があるそうだ。また、最近になって、Creema はオーダメイドのフード商品の販売を始めており、ブランジェやパティシエがオリジナルのパンやケーキを販売したり、農家が手製のドレッシングやジュースを販売したりしているのも興味深い。

2016年、ヤフオクとメルカリという日本の C2C 二巨頭をあわせると年間流通額は約1兆円に達しようとしており、ここにハンドメイド C2C の流通が一定量含まれるとしても、伸びしろはまだまだあると考えてよいだろう。

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「サウザンドメモリーズ」開発のアカツキ、グロービスなどから14億円の大型調達

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ゲーム開発を手がけるアカツキは5月21日、グロービス・キャピタル・パートナーズおよびリンクアンドモチベーションを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。金額は総額14億円で、これと同時に新役員の就任と台湾子会社の設立も公開している。 新任の役員は元IBM Venture Capital Groupパートナー日本代表で、現在はプロフェッショナルコネクターとして活躍中の勝屋久氏を社外取締役に、また…

千メモ公式サイト___トップページ

ゲーム開発を手がけるアカツキは5月21日、グロービス・キャピタル・パートナーズおよびリンクアンドモチベーションを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。金額は総額14億円で、これと同時に新役員の就任と台湾子会社の設立も公開している。

新任の役員は元IBM Venture Capital Groupパートナー日本代表で、現在はプロフェッショナルコネクターとして活躍中の勝屋久氏を社外取締役に、また、元ミクシィ取締役CFOで、現在はtrippieceやメルカリなど複数のベンチャー企業経営に携わる小泉文明氏を非常勤監査役に迎える。

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左から社外取締役に就任する勝屋久氏、代表取締役の塩田元規氏、同取締役の香田哲朗氏、非常勤監査役に就任する小泉文明氏

同社では調達した資金により国内開発体制およびマーケティングを強化すると共に、6月に新設する台湾子会社「暁数碼股份有限公司(Akatsuki Taiwan Inc.)」を拠点としたアジア圏展開を開始する。なお、同子会社の代表は取締役COOの香田哲朗が就任する。

アカツキの創業は2010年6月。mobageやGREE上でのソーシャルゲーム提供で業績を伸ばし、2013年11月にiOS版を公開(Android版は翌12月)したスマートフォン向けRPGのサウザンドメモリーズは配信半年でユーザー数200万人を突破するなど好調が続いていた。なお、本タイトルについてはこのCMでご存知の方も多いかもしれない。

今回、台湾子会社の代表も務めることになった香田氏にアジア展開について聞いたところ、既に提携を実施している中国ゲーム開発のChukong Technologies(北京触控科技有限公司)との連携をベースに、今回拠点を置く台湾、香港、マカオなどから攻めることになるのだそうだ。台湾そのものもAndroidマーケットとしては世界で上位に入るので、その市場に対する魅力もあって、台湾での設置になったのだという。

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2000件以上のレジャー予約が可能なあそびゅー、運営のカタリズムがグロービスほかから2億円を調達

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レジャーなどのアクティビティを専門に取り扱う予約サービス「あそびゅー」を運営するカタリズムは3月31日、グロービス・キャピタル・パートナーズおよびジャフコを割当先とする第三者割当増資を発表した。金額は総額で約2億円、払込日や出資比率などの詳細は公開されていない。 カタリズムは今回の調達であそびゅーの予約管理システムの拡充や、電話予約オペレーションの人員強化に務めるとしている。 注目の特化型サービス…

レジャー・遊び・体験の予約サイト|日本最大級のあそびゅー!

レジャーなどのアクティビティを専門に取り扱う予約サービス「あそびゅー」を運営するカタリズムは3月31日、グロービス・キャピタル・パートナーズおよびジャフコを割当先とする第三者割当増資を発表した。金額は総額で約2億円、払込日や出資比率などの詳細は公開されていない。

カタリズムは今回の調達であそびゅーの予約管理システムの拡充や、電話予約オペレーションの人員強化に務めるとしている。

注目の特化型サービスが次のステージに進む。あそびゅーは2012年7月にβ版を開始し、2013年4月に正式公開。マーケットプレースの形式ではなく、あそびゅーサイドが選定したアクティビティを予約する形式になっており、昨年10月にYahoo! トラベルと連携を発表した際には提携社数が460、登録されているアクティビティの数は1500件だった。

現在の提携社数は775に増加し、プランは2150に拡大している。また、2013年12月には日本全国の観光コースを検索、閲覧できるiPhoneアプリ「holipple(ほりっぷる)β版」の提供も開始している。

国内では類似サービスとしてトリッピースやPlayLifeがあり、海外ではちょうど今月、500万ドルを調達したアクティビティ予約の「Peek」がある。

ちなみにこのPeek、ジャック・ドーシー氏やエリック・シュミット氏らが投資家に名を連ねるのだが、実はこのあそびゅーもまた国内で著名なエンジェル投資家でもある(そしてつい先日、4月1日からYJキャピタルの代表取締役への就任も決定した)小澤隆生氏が初期投資家として参加している。

さて、ちょっと気になるのがこの市場の大きさだ。

カタリズム代表取締役の山野智久氏に聞くと、まず日本国内の旅行市場全体が1兆800億円、余興まで含めると64兆円という数字があるのだと教えてくれた。ただ、この辺りの数字はなんでもかんでも入っているので当然彼らの「予約」ビジネスすべて、というわけではない。

もう少し絞ってもらったところ、「目指すべき中期の目標数字では、東京ディズニーリゾートの来場者数が2012年で2750万人ですので、僕らも同数規模のユーザーがコンバージョンするチャンスがあると考えています」と回答をくれた。

現在20名弱ほどのチームのカタリズム。今後はこれを40名体制に強化し、この数字を目指していくのだそうだ。

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【投資家・起業家対談】「フリーミアムは本質的価値ではなくフリクションポイントにお金を支払う」ーーグロービス・キャピタル・パートナーズ高宮氏×nanapi古川氏(4/4)

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投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式で「二人だから語れる」内情に迫る。これまでの掲載:1回目、2回目、3回目、最終回 (文中敬称略、聞き手は筆者) nanapiの道のり 2007/12 ロケットスタ…

投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式で「二人だから語れる」内情に迫る。これまでの掲載:1回目2回目3回目最終回

(文中敬称略、聞き手は筆者)

nanapiの道のり

2007/12 ロケットスタート設立
2009/06 代表取締役古川健介、取締役CTO和田修一の2名で本格始動
2009/09 ライフレシピ共有サイト「nanapi」をリリース
2010/11 グロービス・キャピタル・パートナーズから3.3億円の資金調達
2012/04 株式会社nanapiに商号変更
2013/07 KOIF、グロービス・キャピタル・パートナーズから2.7億円の資金調達
2013/12 東京都渋谷区道玄坂に移転

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コンテンツの発見方法と検索の次

TB:興味深いお話続いていて勉強になるんですが、例えば私が知り得ないコンテンツ、欲しい鞄とか、そういうものがある日突然提示されるような世界ってくるんですか?

古川:いつかはくると思いますよ。ただ、そこはコンテンツの力というよりは、(下記図の)真ん中のデータからではないかなと。コンテンツの力だけでやろうとしている人たちはずっと辛い思いをするかもしれません。

高宮:ネットビジネスの本質ってデータベースビジネス、とも言えるじゃないですか。コンテンツのデータベースと、ユーザの行動履歴やプロフィール、デモグラと言ったデータベースを掛けあわせることで、ユーザーとコンテンツのマッチング精度を上げるということができますというようなことだと思うんですよね。メディアでもビッグデータ的なビジネスって出てきてしかるべきなんですよね。

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古川:元々はコンテンツデータベースを押さえようと考えてましたが、ユーザー履歴やコンテンツに辿り着くところのデータを扱うような企業にならないと、ブロガーが記事を量産しているのとそんなに変わりなくなってしまいますよね。

ヤフーのEC戦略もそれを確実に理解してて、それこそ「アマゾンでも楽天でも出店してくれ」と発言しているのも、検索の部分や商品を探す部分を押さえてユーザーデータを集めることで、いかに商品に対してユーザーさんを導けるか、というところに焦点を当ててるのだと思っていて、非常にいい方向だなと思っています。

高宮:無料化することでコンテンツの獲得コストを押さえて大量に集めるのに成功していますよね。そして、検索の部分を押さえているので、検索連動広告でマネタイズできる楽天やアマゾンを追い上げないといけない立場としては、非常に良い戦略だと思います。一方で、ユーザ目線で見た時のコンテンツディスカバリー、つまり本当に欲しい商品をどのように提示するかは興味がありますね。

古川:アマゾンはデバイスから検索まで全部押さえてきてますからね。GoogleやAppleはOSレベルから押さえてきている。「あいつらずりーよ!」っていつも思っています(笑。

TB:私もこれを書いたんですけどコンテンツデリバリーの世界観って確実にスマートフォンになって変化してますよね。

古川:Gunosyが最近、新年挨拶広告という商材を出したのですが、あれはインパクトがありました。あれを見た側は「新聞のようにコンテンツを届けているんだ」と感じたんだと思うんですよね。僕もそう思いました。そういう啓蒙を経営者に対してするのは素晴らしいなと。しかも結構いい値段がする(笑。

コンテンツを届けるところは、nanapiではやっていませんでした。なので、コンテンツを届ける方をこれから作っていく必要があります。ありがたいことに、優秀なメンバーが揃っているので、あとは挑戦していくだけかなあ、と。

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メディアビジネスの課金ポイント

TB:スマホシフトが起こって、メディアビジネスって変化するのでしょうか。

古川:どこかのブランドに集客が固定化されると苦しいですよね。PCは完全にヤフーが押さえていて、他が覆すのは結局無理でしたから。でも、今スマホになってゼロリセットになっているので、その辺の変化はあるかもしれません。ただこれも今、LINEが非常に強いので、LINEの一人勝ちが起これば、これから数年はLINEの時代かなあ、と。

高宮:課金のポイントがズレるというのはあるかもしれませんね。これまで料理レシピを調べる時って紙の本を買っていたのですが、クックパッドでウェブになって人気順でソートにお金を払うようになったわけです。

フリーミアムのモデルって、サービスの提供する本質的な価値じゃなくて、フリクションポイント(ユーザにとっての不便さ、ストレス)に支払ってるとも言えるんです。例えば無料でマンガ読み放題のサービスは、一日1時間だけとか、10巻までだけとかを無料として、それを超える所で事業者はわざとフリクションポイントを演出しているんです。

ユーザーは結果的にマンガを購入していることに代わりはないんですが、課金ポイントが違う。

古川:重要なのは、ユーザーが求める価値はそんなに変わってないけど、課金ポイントがズレてるってことですよね。

高宮:ユーザが心理的に支払いやすいポイントって、世の中のうつろいで変化していくんだと思います。

古川:クックパッドの例でいうと、検索にお金がかかるって「本の目次にお金がかかる」と言われているようなもんですものね。紙の本だったら「えーっ」って思う箇所です。

よく「スマホ時代のメディアはどうなるか」とかそういう議論がありますが、人が求めるものの本質は変わらないんです。

たとえば、コンシューマーゲームのソフトに5000円出していたのが、スマホになるとアイテムに100円課金するほうがいい、となった。課金ポイントはずれていますが、本質的に楽しいゲームがしたいことに変わりはない。

高宮:そうそう。ただ、今はメディアとコンテンツだけだとそろそろ課金ポイントをずらす方法がなくなってきて、配信を含めた縦に押さえる必要が出てきている、というのが現状でしょうね。変わらない本質と変わっていく提供過程という感じでしょうか。

TB:私もメディアをやるひとりとして大変勉強になりました。長時間ありがとうございました。ここでお時間です。

これまでの掲載:1回目2回目3回目最終回

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加速するニューステクノロジー領域、「SmartNews」を提供するゴクロが4.2億円を調達

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スマートフォン向けのニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」を開発、運用する株式会社ゴクロは、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズを割当先とする第三者割当増資を実施し、4.2億円を調達したことを本日発表した。 SmartNewsは、独自開発のTwitterリアルタイム解析技術を基盤にして同サービスの運営を行なっており、多方面での事業協業を目指している。資金調達が発表された2…

SmartNewsスマートフォン向けのニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」を開発、運用する株式会社ゴクロは、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズを割当先とする第三者割当増資を実施し、4.2億円を調達したことを本日発表した

SmartNewsは、独自開発のTwitterリアルタイム解析技術を基盤にして同サービスの運営を行なっており、多方面での事業協業を目指している。資金調達が発表された2013年8月14日現在では、25社43媒体との提携および協業が進行している。

ゴクロは今回の資金調達に合わせて、人材の獲得を中心に事業を加速させる。エンジニアおよびデータサイエンティストといった職種を中心に、現在の社員数6名から、1年以内に40名の体制にする予定だという。

ニュースアプリには、VingowやGunosyといった競合も多い。最近掲載した記事で「スタートアップとライバル」について触れた。ライバルが多数存在し、競争が起きているこの領域はニーズが確かに存在し、今後成長していくことが予測される。

ニューステクノロジーに関しては以前、「スマホシフトと爆発する情報、それとニューステクノロジーの未来」という記事も掲載している。こちらもぜひ読んでみてほしい。

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経由の月間販売額が2000万円を超えるショップも出現ーーiQONを運営するVASILY、グロービス他から3億円を調達

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ファッションコーディネートサービスの「iQON」を運営するVASILYは2月4日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、GMO VenturePartnersを割当先とする第三者割当増資を発表した。調達した金額は総額で3億円、伊藤忠テクノロジーベンチャーズとGMO Venture Partners は2011年5月に実施したシリーズA調達ラウンド(総額1億4000万…

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ファッションコーディネートサービスの「iQON」を運営するVASILYは2月4日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、GMO VenturePartnersを割当先とする第三者割当増資を発表した。調達した金額は総額で3億円、伊藤忠テクノロジーベンチャーズとGMO Venture Partners は2011年5月に実施したシリーズA調達ラウンド(総額1億4000万円)に引き続いての参加となる。

iQONはユーザーがファッションアイテムを自由に組み合わせてコーディネートを作成、閲覧したユーザーが参照元のECサイトで購入したり、お気に入り登録して共有することができるサービス。2010年4月のサービス開始からこれまでに作成されたコーディネート数は30万件に到達し、ユーザーアクティビティを示す「お気に入り登録数」は毎月100万回を越える。

2012年2月にリリースしたiOSアプリが好調で、iQON経由での販売額が月間2000万円を超えるECサイトが現れるなど、ファッションアイテムの感覚的な検索方法として注目を集めている。

シリーズAでは主にサービス開発に注力してきたが、今後はブランディングや営業、マーケティングに力をいれていくという。国内でファッションといえばやはりZOZOTOWNを思い浮かべるが、両社は現在提携関係にあり、VASILY代表取締役の金山裕樹氏によればお互いの役割が明確に違うので、この先も補完関係が続くだろうとのことだった。

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VASILY代表取締役の金山裕樹氏
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日本のIPO環境は大きく開かれているーー高宮慎一氏が語るスタートアップ事業戦略 11のヒント

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アイスタイル、カヤック、キューエンターテインメント、ナナピにワンオブゼムーー。そのポートフォリオにはこれからを期待される支援先企業が並ぶ。 高宮慎一氏。国内ベンチャーキャピタリストで着実に実績を積み重ねる同氏はいわゆる「76世代」。 MBA取得のためにハーバード大学へ留学し、自らもスタートアップを仕掛けるなど起業に関する造詣も深い。現在はグロービス・キャピタル・パートナーズのパートナーとして、11…

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アイスタイル、カヤック、キューエンターテインメント、ナナピにワンオブゼムーー。そのポートフォリオにはこれからを期待される支援先企業が並ぶ。

高宮慎一氏。国内ベンチャーキャピタリストで着実に実績を積み重ねる同氏はいわゆる「76世代」。

MBA取得のためにハーバード大学へ留学し、自らもスタートアップを仕掛けるなど起業に関する造詣も深い。現在はグロービス・キャピタル・パートナーズのパートナーとして、11社ほどの投資先企業を担当している。

高宮氏が「MOVIDA SCHOOL」で語ったスタートアップに向けて語ったアドバイスを11のヒントにまとめた。

どれぐらい大きな絵を書くか

事業には三つの要素がある。まずビジョンや想い。5億円ぐらいでグリーやDeNAが買ってくれればいいや、か、グリーやDeNAを超えるぜ、で大きく違ってくる。生活やお金のため、自己実現のため、世の中をポジティブに変えたいからと、目標が上にいけばいくほど、どういう規模の会社にするかが決まってくる。すべての出発点はそれ。

次に市場。ベンチャーをやる時一番鉄板なのは伸びている領域でやること。市場全体が伸びていれば、現状維持でも伸びる。万が一二番手、三番手になっても伸びる可能性がある。最後に自社の能力。市場そのものが伸びていてもチームが持っている能力とズレていれば伸びない。この三つががっちりとあった「ど真ん中」で事業を展開するのが理想的だ。

ただ、全てが揃っている「ど真ん中」にはなかなかならない。その場合は、やはりビジョンや想いを優先させて欲しい。極論すれば、伸びていない市場でも一番手になれば良いし、持っている能力がズレているのであればチームを補完したり、育成したりすれば良い。でも、ビジョンや想いだけは代替が不可能だし、逆に確固たるビジョンや想いがあれば勝つまでやり続けることもできる。

本質的な「強み」とは

「持続可能な」強みこそが競争優位性。つまり、仕組や構造などで継続する強みを備えるというのが本質的だ。他社と比較できてしまったり、真似できてしまうのは本質的な強みではない。相対的なものじゃなくて絶対的なものが必要。例えば、「自社の強みは優秀なエンジニアです」では競争優位になっていない。

他の企業もお金をかければ優秀なエンジニアは採用できる。他の企業より優秀なエンジニアを継続して採用できる仕組みまでいって始めて競争優位となる。例えば、一流大学とエクスクルーシブで提携をしていて、優先的に優秀な学生を採用できる契約を結んでいるなど。

また、構造的に競争優位性を作り込むパターンもありえる。例えば、ベンチャーとなるとつい「大企業を打倒するぞ!」という掛け声になってしまいがちだが、持続的な強みを作り上げるために、あえて既得権益の大企業を巻き込み彼らにもメリットがある座組みにするというパターンもあり得る。

アドテクのベンチャーが自分たちだけで顧客やメディアを開拓するのではなく、既存の大手広告代理店が売りやすいプロダクトにテクノロジをパッケージングし、代理店にもお金を落とし、代理店にもそのプロダクトを売り続けるインセンティブを与えるなどがそれにあたる。

キーチームを集める

キーチーム、マネジメントチームとなる人材を早めに見つけることは重要。周りにいる友達とかではなく、冷静にその事業をやるにあたってベストのメンバーを集める。ウマが合うのは大切だけど「10億ドル企業」になるにはどういう要件を持っている人が必要かということを考える。

やはりここでも大切になるのがビジョン。これを共有できる人を採用すべき。突発事故や苦しいタイミングで逃げない、想いの部分で握れる人。またよくやりがちなミスは「自分よりもいけてる人」を口説けないこと。これでは自分が会社の上限になってしまう。いかにして自分よりいけてる人を雇うかが鍵。そうして集めた貴重かつ限られているリソースをどこに配分するかがまさにベンチャー経営には大切なことだ。

ビジネスモデル:事業からのキャッシュフローと調達

単品の事業モデルなのか、複数事業モデルのポートフォリオを組むのか。大きくスケールさせるという確信をもてる事業が育ってきて始めてVCから大きく調達するのが良い。それが見えてくるまで、受託など複数のビジネスを組み合わせて足元のキャッシュを稼ぎながら大きく跳ねる種となる事業に色々張っていく。

そして、各個別の事業がどのようなビジネスモデル(≒キャッシュフロー、収益モデル)になっているかという点に留意する必要がある。

例えば、月額課金や運営・アフターサービス型のモデルは座布団方式で継続的にキャッシュが得られる。一方で完全受託は、納品した際にワンタイムでキャッシュが発生する。完全自社サービスは開発期間中はキャッシュが出ていく所謂「Jカーブ」を掘り、サービスから売上が立ち始めるとキャッシュインし、サービスがクリティカルマスに達成した瞬間ポンっと跳ねるハイリスク・ハイリターン型のモデルだ。

それに対して、レベニューシェアやプロジェクトファイナンスのモデルは、完全自社サービスに近いが、跳ねた時のリターンをシェアする代わり「J」を掘るキャッシュ・アウトもシェアするリスクを回避するモデルだ。

自社として何が種まきで、何が短期のキャッシュを稼ぐのか、またキャッシュを突っ込むのは内部資金からなのか、それとも外部調達からなのかを全社レベルでバランスを取りながら考えることが必要。

将来絶対にスケールする、と思ったら外部から調達する。自分たちで何個かトライしてみたい、という場合は受託などで当面しのいだ方がいいだろう。本命事業がないままいくつか張ってる段階では、調達の条件も厳しくなりがちだし、最終的に跳ねるまで期間もかかってしまう。

外部投資家から出資を受けることは最後には絶対に彼らのエグジット作らなければいけない。ある意味、悪魔との契約。絶対の確信をもってから契約して欲しい。一方、我々投資家側も投資したからには、投資先に誰よりも価値を出せるように支援する「最強の悪魔」になれるように精進している。

PDCAを早く回す

事業の中でも特にリアルタイムでユーザのKPIが見られるネット系サービスはPDCAを高速に回し、サービスを改善してゆくことが重要だ。通常億を超えるような資金調達は「Proof of Concept(サービスとしてユーザに支持され、マネタイズこそ始まっていないがユーザがつき始めている)」がある段階から可能になる。最初にβでサービスをローンチしていかにProof of Conceptまで早くもっていけるか。

そして、いかに継続率、コンバージョン、ARPUなどのKPIを改善していきながら、スケールする軌道に乗せるか。いずれにせよ高速でPDCAを回し改善をしていく組織力が重要になってくる。また、事業上のマイルストーンと資金調達のマイルストーンを合わせるのが大切。

調達のしやすさはもちろん時価総額も事業で意味のあるマイルストーンを達成していることで大きく変わってくる。そう言った意味でも、大きく目標を設定し、日々改善のPDCAサイクルを回しながら事業のマイルストーンを達成していくことが重要だ。

場合によっては経営者もバトンタッチを考える

トップマネジメントチームとしてどう事業の成功に必要な能力を全てカバーするかがカギ。それは、ステージや外部環境の変化で変わってくることもある。既存のマネジメントチームに新メンバーを加え、補完できるにこしたことはない。

しかし、人材の適・不適によっては、バトンタッチすることも厭わない腹をきめるべき。この事業で世界を変えるというビジョンがあるならば、自分のエゴと事業のビジョンを分離できたほうがいい。但し、そのフェーズを持っていったチームメンバーには正当に報いるべきだ。

また、日々のサービスKPIをどうやって改善すべきかが回り始め、社長が自らサービスに手を入れなくても回るという段階では、ミドルクラスの人材の調達が大切になってくる。

日本のIPO環境は大きく開かれている

米国のIPO市場はいわゆる「ウィンドウが閉まっている」状態で、300億円くらいの時価総額がないと意味のある上場にならないといわれている。ナスダックは日本のマザーズに相当する成長企業向けの市場であったはずだったが、それでも新規上場の時価総額の中央値は$425M(約340億円規模)の時価総額になっている(※図参照)。それに対して日本は$59M(約47億円)だ。

他国のベンチャーやVCから本当に羨ましがられるのだが、日本はIPOウィンドウが大きく開いている市場となっている。また、日本を時系列で見ても2009年の底の時のIPO数は19だったが、2012年は50程度が見込まれ回復傾向にある。

私は投資先に、マザーズを「セミ上場」的な位置づけにして、そこで小規模の調達をし、短期間で東証一部への市場替えをして大規模の調達をするように助言している。マザーズは殆どが個人投資家。つまり株価の変動が大きい。機関投資家がつきやすい東証一部に市場替えすれば株価の安定が図れる。

ツールを理解する1:CB、株、借入

外部から資金を調達するにしても色々なツールがある。代表的な所でもCB(コンバーチブルノート=転換社債)、株、借入などがある。例えば、CBはプロトタイプもできていないようなリスクが高いシード期のスタートアップに使われることが多い。

CBは借入と同等に扱われ万が一のことがあれば優先的に返済される。一方で、順調に事業が進めば株に転換されアップサイドを取れる。こんな構造になっているので、米国などではアーリーの段階での資金調達などで多く使われ、エンジェルやアーリーのVCなどがよく活用している。

もう少し事業が進捗した段階で使われるのが株。株は返済義務がないので倒産するとゼロ可能性がある所謂「リスクマネー」である。一方でアップサイドは大きく、いざ時価総額が1000億円になったら10%で100億円が入る。その裏返しが資本コストの高さ。

例えば、1億円投資したのが、5年で100億になったとすると利率としては膨大な大きさになる。株は主にVCが投資するときに使うツールなのだが、資本コストが高いもののメリットはCBでは調達できないような大きな金額を調達できる。今ドカーンと調達することで、競合を大きく突き放したり、大きくスケールできる場合に使うべき。

さらにレイターのステージになり、月次、年次で利益が出始めると主に銀行からの借入を使うことができる。そうなってくると資本コストは利息になるので、大分安くつく。フェーズによってどういうツールを使うかも一考すべきだろう。

ツールを理解する2:優先株

また、優先株は正しい使い方をすれば普通株に比べて起業家と投資家のインセンティブの整合性を取り、ともに「跳ねる方」を目指すモチベーションをつくれる。起業家は自分のやっている事業を信じているから当然跳ねると思っていて、調達時の時価総額を上げたいと思っている。一方で、投資家はもう少し冷静な見方をしていて、失敗した時のことを考え、リスクを最小化したいと思っている。

この可能性の認識のギャップを上手く使い、失敗したら投資家が優先的にリターンを得て損失を極小化する代わりに、調達時点での時価総額を上げて成功した時の起業家の取り分を多くする、または調達時点でより多額の資金を調達できるようにするというのが優先株の正しい使い方だ。という意味ではシリコンバレー40年近い歴史の中で脈々と磨かれてきた良くできたツールといえる。

資本政策は不可逆

各資金調達ラウンドでの資本政策はスナップショットに過ぎない。上場する時にどうありたいかから逆引きして、それぞれのラウンドを設計すべき。例えば上場時にマネジメントチームは33.4%を持っていたい、だから今回のラウンドではこれだけあれば良い、というモデルケースが必要。資本政策は不可逆。一度外部がシェアを持つとそれを創業者が取り戻すのは至難の技。現実的には不可能に近い。

だから、各ラウンドではこの先何回、いくらくらい調達するから、これくらいのシェアは出せるという形で設計する必要がある。シード期に300万円を調達、30%の株式を持っていかれるなどの無計画な資本政策は避けた方がいい。

また、調達は最短でも3カ月、通常半年近くマネジメントチームの時間を取る。事業に集中するためにも頻繁に調達しない方が良い。お勧めは事業に必要な1年半分以上の資金を一回で調達することだ。

投資家はお金以外に何をしてくれるか

投資家にも色々なタイプがいる。例えば、アクセラレーターやエンジェルは主にSeed StageからGrowth Stage(※図参照)に持っていくのが仕事。VCはここから100億、1000億円の企業にもっていくのが仕事。アクセレレーターが途中で抜けるのはけしからんという論調もあるが、個人的には一定のステージまで持ってきたくれたらそこまでに実現した価値については報いても良いと思っている。なので、グロービスが投資するラウンドでアクセレレーターやエンジェルの持分の一部譲渡を受けるケースもある。

常々投資家と起業家は男女関係に似ていると思っている。投資家(アクセレーターにせよVCにせよ)は一度入れるとなかなか離婚できないという話は前述の通り。その点、その投資家はお金以外何を提供してくれるのかを見極めるのが大事。戦略・組織を一緒につくってくれるのか、ネットワークなのか、勉強会なのか、売り上げを付けてくれるのか。

出会って直ぐにいきなり結婚=投資とはいかないし、それではうまくいかない。まずは、起業家と投資家が個人と個人での信頼関係がなければ、投資後数年に及ぶ結婚生活を一緒に過ごすことはできない。なので、お勧めなのは、資金調達を実際に実行する大分前から「この人なら!」と思える投資家を見つけ、飲みにいって仲良くなること。

一年、二年越しで人間関係ができていれば、どのような方向に事業を持っていくのか、どこまできたらどんな資金調達ができるのかを事前にすり合わせもできる。以前に投資家は悪魔ともいってしまいましたが、ぜひ皆さん人生の伴侶となるベストな投資家を探してみてください(笑)。

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