「ぼっち起業」で、楽天やヤフーのスマホサイトが10秒でつくれる「スマオウ」を開発した安部遥子さんにインタビュー

Yukari Mitsuhashi by Yukari Mitsuhashi on 2014.10.3

Sumaou-Abe

「スマオウ」を開発した安部遥子さん

楽天やヤフーのテナント店舗が、わずか10秒でスマホサイトを作成できる「Sumaou! (スマオウ)」。一度作成したスマホサイトは自動更新されるため、店舗は最小限の負荷でユーザーにスマホサイトを提供できます。9月18日のリリースから、すでに導入社数は200社を超えています。

スマオウを立ち上げたのは、大阪の会社「fcafe」でウェブディレクターとして働いていた安部遥子さん。たくさんの人に使われるサービスを一から自分で作りたいと考え、会社から与えられた資金を元手に単身で東京に上京しました。

サービスを軌道に乗せるまでに与えられた猶予は約1年。人を雇う予算もなく、独学でプログラミングを習得して、必要な箇所はクラウドワークスで外注しました。キャッシュが底を尽きる前にスマオウにいい兆しが見え、少しだけホッとしていると話す安部さん。

「創業期に経営者が味わう孤独をしっかり噛み締めて、自分の力でどこまでできるかを試したいという思いがありました。実際にやってみて、精神衛生上はやっぱりチームの方がいいと思います(笑)でも、1人じゃなかったら、ここまでプレッシャーを感じることはなかったですし、こんなスピードで成長もできなかったんだろうと思います」

ものの10秒でスマホサイトが完成?!

Sumaou-website

スマートフォン対応の必要性を感じながらも、マンパワーや知識不足から動けずにいる店舗はたくさん存在します。スマオウなら、楽天やヤフーの店舗アカウントを入力し、デザインテンプレートを選べば、ものの10秒ほどでスマホサイトがつくれます。

サイトのトップメニューやスライドバナー機能なども自動生成され、新着アイテム、売れ筋アイテム、セールアイテムなどが並びます。例えば、売れ筋アイテムは、商品名に「売れ筋」といったキーワードが入っている場合に自動的に拾われてサイトに表示される仕組み。サイトは1日1回更新されるため、再訪したユーザーは変化を感じることができます。

スマオウは初期費用無料で、月額の利用料金は2980円とリーズナブル。楽天が運営する店舗と外注先のマッチングサイト「RMS Service Square(RMS サービス スクウェア)」にも掲載されているため、そこを経由した利用申し込みが着々と増えているそう。既に、カタログ通販のベルメゾンネットや洋菓子モロゾフといった企業も導入しています。

時期尚早のサービスを経てたどり着いた「スマオウ」

好調なスタートを切ったスマオウですが、安部さんは、実はこの前に「ECアプリコ」というサービスをリリースしています。スマオウがスマホサイト構築なのに対して、ECアプリはアプリ構築。ところが、ECアプリコは楽天やヤフーに出店する店舗にとって、まだ時期尚早だったよう。

「東京に出てきて最初につくったのがECアプリコでしたが、ずっと苦戦していました。なぜだろう?と考えた結果、たどり着いたのがスマオウでした。大手ではない店舗さんは、まだスマホの最適化もできていない状態であることがわかり、まずはそこをフォローしよう、と。アプリはその先ですね」

ECアプリコが思ったように伸びなかった大きな要因は、「ニーズありきではなく、将来、こんなものが必要になるだろう」という見込みでサービス開発をしたこと。スマオウは、店舗が今まさに頭を悩ます問題を解決する点で異なります。リリースのタイミングが、いかにサービスの成否を分けるかを身を持って感じたと安部さんは振り返ります。

功を奏した「60%リリース」

サービスづくりに多い落とし穴が、あれもこれもと欲張ってどんどん機能を追加してしまうこと。要件定義書は肥大化し、その分、リソースは膨れ上がり、時間もかかる。

スマオウが目指したのは、60%リリース。最終形ではなくても、まず出して使ってもらうことで店舗のニーズをより早く吸い上げる。サービス提供を開始する最良のタイミングを逃さないために、切り捨てるところは潔く切り捨てる。後回しにするものは後回しに。

リリース時点のスマオウは、大きな構想の60%実装であったにも関わらず、既に機能ごと削ったものがあると言います。それが、スマホサイトのトップ辺りに表示されるニュース欄。店舗のお知らせなどを新着ニュースとして知らせることができる枠です。「必須ではない」ニュース欄があることで、初心者の店舗は編集にとまどい、これでいいのかな?と不安になってしまうことが。

「店舗さんからお問い合わせをいただいた際に、「ニュース欄をなくすこともできますよ」と伝えると、ほとんどの方がじゃあ消そう、となりました。あれば使うけれど、なくても不満になる要素ではない。それがわかって、最終的にニュース欄そのものを外しました」

店舗の負荷を最小限にするためにこだわる「自動生成 9割」

テキストとリンクで構成されるシンプルなニュース欄の更新にとまどってしまう。そう、これは現在のスマオウの利用店舗に初心者が多いから。そもそもスマホサイトがつくれない店舗を対象にしているため、店舗としてもサイトに手を入れるのは最小限に留めたいというのが本音です。

「スマオウのこだわりは、自動生成9割です。知識がない店舗さんでも、一度スマホサイトをつくれば、あとは何もしなくてもいい。これは想定外でしたが、今は月商500万円以下の小さな初心者店舗さんが多いんです。そのため、初心者向けマニュアルなども急いでつくってサポートしています」

年内には300社を目指すと話す安部さん。そして来年2015年中に目指すのは、1,000社。今後は、スマホサイトの新商品やセールなどの各項目を管理画面の中でドラッグ&ドロップしてレイアウトできるようにしたり、将来的にはタブレット対応などのオプションを提供したりする予定です。

“ぼっち”起業した安部さんのチャレンジはまだ始まったばかり。1,000社の獲得に向けて、一緒に闘ってくれるインターンなども募集中しています。

“summercamp"/

Yukari Mitsuhashi

Yukari Mitsuhashi

三橋ゆか里。東京在住のTechライター。フリーランスになる前は、日本のスタートアップ数社にて勤務。彼女のブログ「Techdoll.jp」は、海外のスタートアップを日本市場に紹介している。映画「ソーシャル・ネットワーク」の日本語字幕と吹替を監修。Twitter アカウント @yukari77

メールマガジンに登録すると、THE BRIDGEに掲載されたニュースや、スタートアップイベント情報をゲットできます!

人気ニュース