聞きたいことを聞きたい人に聞ける、ソーシャル検索エンジン「Tailor(テイラー)」が正式リリース

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Q&A サイトと言えば、Quora や Qixil、古くは Yahoo! 知恵袋や OKWave といったところが主流だったのだろうが、ママリQLINE Q とような新興系の Q&A アプリが増えてきた。この動向を分析するなら、テーマ別によりバーティカルな Q&A サービスが増えたということ、そして、デスクトップからモバイルにシフトしたことで、質問投稿から回答までの時間が短くなったということだろう。

Q&A サイトやアプリを見ていると、「大至急教えてください」という文言をよく見かける。筆者などは「そんなに至急なら、友人に聞いたら早いのに」と思ってみたりもするが、そう感じるのはたぶん、面識のある人とのつながりにウェイトを置いてしまっているからだろう。質問をする人が、なるべく早く的確な回答が欲しいと思うのは、筆者も含めて、おそらく人間の性である。

つながりがある人から、その人の精通している分野に応じて、回答がもらえるQ&Aアプリが正式リリースされた。〝聞きたいことを聞きたい人に、気軽に悩みを解決できる〟チャット型ソーシャル検索エンジン「Tailor(テイラー)」の誕生だ。

Open Network Lab 第7期デモデイでピッチするシェイカーの金亨喆氏(2013年)。(写真は Open Network Lab ウェブサイトから)
Open Network Lab 第7期デモデイでピッチする金亨喆氏。
(2013年10月、Open Network Lab ウェブサイトから。)

Tailor の開発元、シェイカー代表の金亨喆(キム・ヒョンチョル)氏は2013年4月〜10月、Open Network Lab の第7期に参加。日英で使える商品のレビューアプリ「Shakring」を手がけていたが、その後ピボット。意思決定をする上で、既に同じ経験を持っている人に質問をしアドバイスが得られるアプリ「Tailor」の開発に着手した。

Tailor では、アプリを立ち上げると、Facebook ログインでソーシャルグラフを取得、自分が持つ質問について、回答してほしい人をフォローでき、聞きたい人に対して直接質問を投げることができる。

例えば、女子大生にとって「東京で気軽に行ける美味しいラーメン屋を教えて」などという質問は、内容が公になる Q&A サイトやアプリでは質問しづらい。Tailor では自分の質問したい相手、ソーシャルグラフの中に質問内容を留めることができます。

この約半年間はベータテストに専念し、500人のユーザから1,100件以上の質問が寄せられ、その99%には他ユーザから回答がつきました。テストを通じて、質問者と回答者が、ソーシャルグラフ・興味・属性の3つの要素で重なるところに信頼できる情報があると確信しました。

これまでのベータ運用でも十分サービスは機能はしていましたが、ソーシャルなつながりを増やしてユーザがより楽しめるようにしようと、正式ローンチをすることにしました。(金氏)

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質問者にも直感的に聞きたい内容が入力できるインターフェイスが採用されている。5W1H をタップした後、商品についての質問は Amazon から、店や場所についての質問は Yelp から、音楽やアプリについては AppStore から情報を取得して、質問者は質問内容をサジェスト入力できる。質問内容に合ったイメージを Flickr から取得した写真でバックグラウンド表示できるため、回答者も直感的に自分が答えるべき質問を見つけることができる。

サジェスト入力の情報取得元に日本以外のサービスを使っているのは、初めから海外展開を考えてのことです。店や場所の情報は国内サービスの方が量は多いが、海外展開のときに足かせになるので。(金氏)

アプリは、iOSAndroid 向けにそれぞれ提供され、日本語でのみ利用できるが、既に金氏の頭の中には、世界展開に向けての進路が見えているようだ。

4月は新生活が始まる人が多いため、読者の中にも誰かに質問したいことがきっと増えるだろう。そこで、シェイカーでは今日から4月5日までの間、質問に対して得られた回答に、回答の的確さを表す「ぴったり」をつけたユーザに対して、その「ぴったり」の商品を抽選で5名にプレゼントするキャンペーンを展開する。

Tailor のマネタイズの方向性については不透明だが、シェイカーは受託開発などをこなしながらブートストラップ的に経営が続けられているようなので、当面は Tailor のユーザ獲得に専念できるだろう。将来的には、質問のやりとりをデータ解析して消費者の動向を割り出したり、「ぴったり」の回答で得られたオンライン/オフライン店舗や商品に顧客誘導したりすることで、アフィリエイト的なビジネスモデルも考えられる。

今後の行方に注目したい。

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