中国のEコマース大手JD(京東商城)、ウォルマート傘下のネットスーパーYihaodian(1号店)を買収

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中国のEコマース巨人 JD(京東商城)は月曜日(6月20日)、Eコマースと小売の連携を通じた市場参入のためにウォルマートと提携したと発表した

この提携により、昨年の7月にウォルマートの傘下に入ったネットスーパー大手の Yihaodian(1号店)は、JD が支配することになる。JDは Yihaodian のブランド、ウェブサイト、アプリを買収するが、ウォルマートは Yihaodian の直販事業の運営を続け、同マーケットプレイスの受託会社となる。

その見返りとして、ウォルマートは Yihaodian 株式の約1億4,500万株を取得することで、JD 株式の5%(現在の評価額で約15億ドル)を手に入れることになる。

この提携には、さらに多岐にわたる協力関係が含まれている。ウォルマートの Sam’s Club China(山姆会員商店)は JD 上に旗艦店を設置し、JD が持つ中国全土の倉庫・配達ネットワークを通じて、同日または翌日配達を開始する予定だ。ウォルマートの中国ストアは、JD の O2O部門でクラウドソーシング型配達プラットフォームの「Dada」上でも、優良小売店舗として扱われる。

中国の東部や南部において、Yihaodian の品質の高い食料品や家庭用品の主要商品カテゴリに代表されるブランドやビジネスは、JD の地理的または商品の強みをさらに改善するだろう。また、それにより、Alibaba との競争を余儀なくされる中で、ウォルマートのオフラインや海外リソースは、JD の O2O や世界的なイニシアティブを向上させる上で強い力となるだろう。

ウォルマートにとっては、JD が持つオンライントラフィックやオフラインの配達ネットワークを活用できることで、ウォルマートの中国におけるオペレーションを最適化する機会を得やすくなる。

Yihaodian は2008年、Dell 出身の2人のエグゼクティブである Liu Junling(劉峻嶺)氏と Yu Gang(于剛)氏によって設立された。今回の JD による買収は、Yihaodian が成長に困難を極める中での株式の持株比率の変更の一環だ。Yihaodian は2010年の資金不足の際には、保険会社の深圳平安に株式の80%を8,000万元(約12.5億円)で売却している。

ウォルマートは2011年に Yihaodian の株式17.7%を取得し、2012年には51.3%まで株式保有比率を上昇させ、昨年買収に至った。しかし、ウォルマート買収後も Yihaodian の成長は遅く、経済誌 China Briefing によれば、中国のオンライン小売市場の1.4%しか獲得できていない。

Yihaodian は JD のような扱い品種横断型の EC 大手のように成長する機会を逃し、特定の商品領域であるハイパーマーケットに焦点を絞ってきた。それゆえ、Yihaodian は、ネットスーパーや生鮮食料品分野に参入しようとする JD の拡大計画において、戦略的に重要な資産になるだろう。

JD.com の CEO である Richard Liu(劉強東)氏は、次のようにコメントしている。

今回の提携は、商品の選択肢とユーザエクスペリエンスを向上させると思います。中国の東部や南部といった重要地域に強みを持つ、Yihaodian をさらに発展させられることを大変うれしく思います。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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