前回に引き続き、台湾のスタートアップ・カンファレンス「IdeasShow」からピッチしたスタートアップを紹介する。
- 青創組(若者/学生グループ)
- 自造者社群(ものづくり系)
- TV App(テレビアプリ)
- 系統平台組(システム・プラットフォーム・グループ)
- IDEAS Show+組(資策会のインキュベーション・プログラム出身スタートアップ)
- 応用服務組(アプリ・サービスグループ)
- 国際交流組(国際グループ)
以上7つのカテゴリのうち、今回は、系統平台組(システム・プラットフォーム・グループ)とIDEAS Show+組(資策会のインキュベーション・プログラム出身スタートアップ)で登壇した16チームのスタートアップを取り上げる。
系統平台組(システム・プラットフォーム・グループ)
悠活農夫(Yooho Farmer)
ウェブサイト http://apps.facebook.com/yoohofarm
バーチャルなゲームを楽しむ(農場を耕す)ことで、実在する農場で作物を実らせることができるプロダクト。ユーザに台湾ゆかりの作物や季節を知ってもらうことが目的。ゲームの中で獲得した景品を、実際の米、ドライフルーツ、乾燥チャーシューなどと交換することができる。台湾の若年層にゲームだけでなく、実社会を学んでもらうことを目的としており、ゲーム内では台湾の5つの実在する農場を再現している。なお、類似したサービスで、日本では愛媛にテレファームというスタートアップが存在する。

PunApp
ウェブサイト http://www.punapp.com
2012年2月開設、Facebook 上で11.4万件の「いいね」をファンページに獲得している、アプリ開発者/販売者向けのマーケティング・プラットフォーム。アプリレビューを通じて、消費者に効果的なアプリの露出を図ることができる。アプリを開発するスタートアップのニュースや、市場動向についての考察も提供されている。台湾版の AppBank と言える。

多維推播服務
ウェブサイト http://www.uniqueone.com.tw(8月12日時点でアクセス不可)
ケータリング・サービスを革新させるためのプラットフォーム。レストラン、ケータリング・サービス提供会社にとっては、顧客満足度、利用頻度などを管理でき、店からユーザに景品を出して質問に応えてもらい、テーブル・クリーニングや飲料水の準備など、追加サービスの有無等の嗜好についても把握できるようになっている。

Fandora Shop
ウェブサイト http://fandora.tw
2012年5月に設立された、台湾のグラフィック・アーティストが作品を展示・共有できるコミュニティ。現在、登録ユーザは2万人で、参加アーティストは2,000人。2万件の作品が展示されている。A2C (artist to consumer) のプラットフォームになることが目標で、アーティストが制作したデザインをベースとして、1,000品目以上の iPhone/iPad ケースやTシャツをオンライン販売している。

互動式社群雑誌発行平台
ウェブサイト なし
英語では、S.M.I.P. (Social Magazine Interactive Platform)と表記される。昔ながらの紙ベースの出版社が、電子出版を始める上で技術的な障壁を取り払うことを目指したプラットフォームだ。あらゆるデバイス(PC、スマートテレビ、タブレット、スマートフォンなど)で、インターネットにつながってさえいれば、ユーザはコンテンツを閲覧することが可能。出版社はクラウド上で配信コンテンツを管理でき、読者に対するプッシュ通知機能、ソーシャル・ファン機能なども提供する。

Mogan Shopping 多語系搜尋整合型跨國網路購物平台
ウェブサイト http://www.moganshopping.com
2007年に開設された、アジア最大のEコマース中継サービス。ヤフオク、楽天オークション、ヤフーショッピング、アニメイト、ZOZOTOWN、ゴルフ・ダイジェスト・オンラインなど、日本の主要なEコマースサービスと連携し、日本国内の倉庫を経由して、世界中に商品の発送を中継する。バイリンガル・スタッフが、出品者と購入者の間のコミュニケーションも中継する。Alipay(支付宝)、銀行振込、クレジットカードでの支払に対応。予め欲しいものを伝えておき、出品されている商品を探してもらうこともできる。

Miracle 遠端存取硬碟
ウェブサイト http://phind.me
家のパソコンと持ち運びするデバイスの双方に接続するだけで、インターネット経由で双方向データがやりとりできるサービス(シンガポールの iTwin に似ている)。最大4テラバイトまでのクラウド・ストレージを提供する。

評律網
ウェブサイト http://www.pingluweb.com
関連記事 https://thebridge.jp/2013/07/interview-with-pingluweb
テキストマイニング技術を活用し、評律網は台湾の裁判所が公開している100万件以上の判例データを、分かりやすい図表に整理し、最も適切な弁護士を見つけるのを助けてくれる。

ShareCourse
ウェブサイト http://sharecourse.net
2012年に始まった MOOC(Massive Open Online Courses)の流行は中華圏にも及んでいる。ShareCourse は、中国語話者向けの MOOC プラットフォームだ。自分のペースで学習内容をパーソナライズでき、ユーザ毎に講師とディスカッションができる勉強部屋がバーチャルに設けられている。講師からのみならず、ソーシャル機能を使って、他の勉強仲間からも学習をすることができる。

080智慧家事生活服務平台
ウェブサイト http://www.0800600519.com(8/12現在、アクセス不可)
ハウスキーピングを依頼できるプラットフォーム。スケジュールや依頼するハウスキーパーなどの管理を、アプリ上で完結することができる。

IDEAS Show+組(資策会のインキュベーション・プログラム出身スタートアップ)
WhosCall(日本名:だれ電)
ウェブサイト http://www.whoscall.com
関連記事 https://thebridge.jp/2013/06/whoscall-ios-app
WhosCall は電話がかかってくると、通知された電話番号をもとに、Gogolook のデータベースに照会し、スパム電話を発信されやすい番号かどうかを特定し、そうであればブロックしてくれる。現在、Gogolook のデータベースには台湾のみならず、世界中の6億件の電話番号が登録されており、電話番号から発信元が誰かを逆引きできるようになっている。メールのスパム探知のしくみを、電話の世界に応用したソリューションだ。

CliPick
ウェブサイト http:///www.clipick.com
洋服を探すことができるサーチエンジン・ツール。画像認識技術を用いて、オンライン・ショッピングにおけるユーザ体験を充実させる。商品同士を関連づけができるため、閲覧中の商品に対し、ユーザが関心を持ってくれそうな商品を提案することができる。オンライン・ファッション・ブランド、ECプラットフォーム、ユーザ獲得が肝要なプラットフォームを主なターゲットにしている。

火星球(Marsball)
ウェブサイト http://www.marsball.org
台湾のスタートアップ立達軟体(Leaderg)の4つ目のオープン・ロボット・プロジェクト。人工知能ソフトウェア・コンポーネントの提供を目標としている。オフィシャル・ウェブサイトである Marsball Headquarter(火星球官方網站)では、音声合成、人工知能、音声認識、画像認識など、クラウドベースの人工知能によるAPIを提供している。

互動式影片商務社群平台・愛秀生活(ishowlife)
ウェブサイト http://www.ishowlife.com
YouTube を見ていて、最初に画面下に現われる広告をどのようにしているだろうか。多くのユーザはすぐ閉じてしまうだろうし、広告効果は持続しない。そこで、ビデオとコマースを融合する方法を開発した。ビデオの中に商品を埋め込みことができ(プロダクト・プレイスメント)、ユーザはビデオの画面から直接商品を購入することができる。台湾、中国、アメリカで特許申請中。

聽。旅行(HearHere)
ウェブサイト http://www.hearhere.com.tw
音声による旅行案内サービス。モバイルアプリを30台湾ドル(約100円)で販売、専門チームによる音声コンテンツ番組を提供する。フリーミアムで提供されており、無料ユーザが一日で聞ける上限は、音声コンテンツ10本まで。
淡水(タンシュイ)名物・鉄卵の店「阿婆鐵蛋(アーボーティエダン)」の話、中正記念堂の正面の階段はなぜ89段あるのか、など、台湾で旅についての質問があれば、我々のサービスで聞いてほしい。

Webor.me(微網站)
ウェブサイト http://webor.me
ウェブ・クリエイターの仕事を簡素化するソリューション。Webor.me のアカウントを取るだけで、ソーシャルネットワーク、マルチメディア、メンバー管理、Eコマース機能の備わったウェブサイトが5分間で完成する。ユーザはPDFファイルをアップロードし、Facebook や YouTube などの外部リソースモジュールを挿入するだけで作業が完了する。

台湾に限った傾向ではないが、昨年に比べ、ソーシャルメディアを活用したサービスがなりを潜め、一方、O2O やリアルな体験を便利にするためのサービスが増加傾向にある。日本のプロダクトやサービスを台湾人に提供する中継/仲介サービスも目立って来ている。
最終回となる次回は、応用服務組(アプリ・サービスグループ)と国際交流組(国際グループ)のスタートアップと、2013年の IDEAS Show で賞を受賞したスタートアップにスポットライトをあてたい。
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