先週、私は Capy の渋谷にあるオフィスを訪れ、チームの人々と話をすることができた。この新進気鋭のスタートアップの創業者である岡田満雄氏は、京都大学在学中に、この CAPTCHA サービスのコンセプトを思いついたのだそうだ。詳しくない人のために Capy の優位性を説明すると、従来のゆがみ文字を使ったものよりもフラストレーションが少なく、ボットが対応できないイメージパズルの組み合わせで実現する CAPTCHA だ(以下のイメージを参照)。
岡田氏や彼の同僚と先週会話していて、たまたま、私が京都のInfinity Ventures Summit 2013 に参加することを話したところ、
あぁ、我々も行くのですよ。
…と、岡田氏から聞いていたのだった。
それから一週間、岡田氏はウェスティンホテル京都で、満員となった会場を前に Capy のピッチをした。ステージにはスタートアップが12社登壇したが、Capy はその中で最優秀賞に選ばれた。
我々は7月に岡田氏にインタビューしているので、THE BRIDGE では Capy は初登場というわけではない。しかし、アメリカでサービスをローンチするなど [1]、日本のスタートアップの中でも、同社は当初から世界市場を展望しているという点で特筆に値する。
従来からある CAPTCHA は煩わしく、私はセキュリティ対策よりも、むしろ、入力が簡単であり、書籍の電子化に貢献しているという点でも reCAPTCHA を気に入っている。一石二鳥だからだ。しかし、Capy も同様に一石二鳥なことを実現しているという点で、大きな可能性を感じている。
Capy を使うウェブサイトは、広告のスペースをユーザ認証画面として活用できる。このことは、画面のスペースを無駄遣いできないスマートフォンの画面において特に有効だ。Capy には無料版と有料版があり、CAPTCHA 画像に、無料版では広告が挿入され、有料版では任意の画像を使うことができる。彼らは来年の SXSW(サウスバイサウスウエスト)に参加する予定で、現在着手している機能開発がそれまでに完成することを期待したい。
岡田氏によれば、Capy は現在、日本の3〜4社の顧客に毎日5万件の CAPTCHA を提供している。日本は閉鎖された市場なので、テストするには最適だと岡田氏は語る。UI や UX にはまだ改良の余地があるが、彼らにはエンジニアが不足していると思う。現在はまだ4人のチームで、うちエンジニアは2人だけだからだ。
彼らのメンターでエンジェル投資家を務めるのは、セキュリティの専門家のウィリアム斉藤氏だ。5月にはシリーズAラウンドで資金調達を実施している。IVS のローンチパッドでの優勝を受けて、より多くの人が Capy に注目することを期待したい。来年以降、Capy のチームからさらなる躍進の話を聞けることを楽しみにしている。
- Capy は、アメリカ・デラウェア州で登記されている。↩
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