現代人の悩み「睡眠障害」の解決を目指してーー脳波を計測するデバイスを開発するニューロスペースが資金調達

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これだけ日々多くのデバイスが登場する中においても、睡眠時間を短縮できるデバイスとして打ち出され、話題となった「neuro:on」というデバイスを覚えているという人は多いのではないだろうか。

話題となった「neuro:on」のプロトタイプ
話題となった「neuro:on」のプロトタイプ

「neuro:on」への注目から、現代人がどれだけ睡眠におけるソリューションを欲しているかが伺える。だが、「neuro:on」のアプローチではうまくいかないと語るプレイヤーが日本にいる。

ニューロスペースというスタートアップが、研究者と協力しながら開発しているのは脳波を計測することで睡眠時における障害の解決を目指すデバイスだ。スローガンコアントと個人投資家から資金調達を実施し、開発スピードを早めようとしている。

ニューロスペース代表取締役の小林孝徳は、

ニューロスペース 代表取締役 小林孝徳氏
ニューロスペース 代表取締役 小林孝徳氏

小林氏「現代人が悩まされている睡眠障害のほとんどは、睡眠の深度が問題となっています。ただ、これまでには睡眠の深さを正確に測るものがありませんでした。

私たちは筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)にも所属している研究者の方々の協力を得て、脳波を計測可能にし、ハードウェアの開発に取り組んでいます。」

とコメントしている。筑波大学が技術アドバイザーにつき、下の写真のような脳波計と睡眠解析アルゴリズムの技術を用いてサービスの開発に取り組んでいる。

脳波計
脳波計

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協力している研究者には、筑波大学の裏出教授の名前もある。大手企業からも協業の誘いがあったそうだが、裏出教授はスタートアップでスピード感と熱意をもってやれる人間を求めていたため断っていたという。そこに小林氏が何度も通って熱意を語り、共に開発に取り組むこととなった。

マネタイズモデルはC向けにアプリと連動してサービスを提供するモデルと、B向けにライセンスの提供を検討しているという。企業によっては「スリープマネジメント」に取り組んでいるところも登場してきており、この領域も視野に入れている。

現在、デバイスのプロトタイプができている段階で、ソフトウェアの開発に着手している。9月〜10月ごろにはユーザーテストを実施し、来年の春には次の調達に向けて開発していくことを検討しているという。

小林氏「脳波計をまるで体重計のように家電製品として家に置いてある状態にしていきたい。使う習慣がつけば、睡眠に対する関心も変わります。日本大学医学部の内山真教授が発表していた睡眠障害による日本経済への損失は、年間で約3.5兆円にものぼるとされています。ニューロスペースは睡眠における課題の解決に取り組んでいきたいと思います」

ニューロスペースでは、クラウドファンディングサイト「Makuake」で資金を募り、睡眠ラウンジ「nemee」をオープンさせている。

「睡眠」という領域に取り組むスタートアップであるニューロスペースが、今後どのようなソリューションを生み出していくのか楽しみだ。

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