#TiATokyo2015: 「先端技術のスタートアップを活気づけるには、投資のパワープレイが必要」〜堀江貴文氏と松山太河氏の対談から

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.9.8

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左から:堀江貴文氏、松山太河氏

これは、Tech in Asia Tokyo 2015 の取材の一部だ。

9月8日に開催された、Tech in Asia Tokyo 2015 Day 1 の最終セッションは、SNS株式会社のファウンダーの堀江貴文氏と、East Ventures パートナーの松山太河氏の対談によって締めくくられた。当初このセッションでは、Tech in Asia の運営者サイドからは投資について話してほしいと打診したが、よりホットな話題を論じたいという堀江氏の意向から、ハードウェア・スタートアップを論じるセッションにトピックが変更されたのだそうだ。

堀江氏は自身が運営するオウンドメディア「ホリエモンドットコム」を始めた経緯から話を始めた。

テックメディアなどで技術を持っている人にインタビューしているのを見ると、インタビューする側がよくわかっていないなぁ、というのをよく感じていた。(インタビューの前に)技術のことをちゃんと踏み込んで調べていない。

インタビューされる側は面倒だと思いながらも、技術について一から説明を始める。その結果、記事は技術の核心に迫れていないものになる。それなら、自分でやろうと思ってサイトを立ち上げ、技術を研究している人のところへ行ってインタビューを始めた。(堀江氏)

欧米とは異なり、ハードウェアや先進技術を持ったスタートアップが、初期ラウンドで10億円規模の資金調達をするケースは日本ではまれだ。初期ラウンドでその規模の調達をするということは、VC が出資と引き換えに20%程度のエクイティを取ると仮定しても、アーリーステージの状態で50億円以上のバリュエーションがついていることになる。

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確かに、ハードウェアや先進技術への投資を避ける投資家がいることも事実だ。一般的に、これらのスタートアップは生産や研究のためのコストがかさむし、投資家にとっては、技術のデューデリジェンスに手間と時間がかかるからだ。投資効率という観点から言えば、投資家は自分の守備範囲のカテゴリに特化してビジネスやサービスを評価し、広く薄く資金を張った方がリスクは少なくて済む。

(投資家がアーリーステージの段階から大規模な資金を張るような)パワープレイができれば、そういう先端技術を持ったところがもう一歩先に行けるのに…。だから、先端技術に賭けられるスタートアップがいない。投資家は技術がわからない…と言うけれど、わからないとか言ってるんじゃなくて、勉強すればいいのに。(堀江氏)

視覚障害者を助けるクリアな視野を届けられる「量子ドットレーザー技術」、患部にのみ抗がん剤の効能を与え副作用を最小化できる「ミセル化ナノ粒子技術」、アルツハイマー病などの疾患にも効能が期待できる「メッセンジャーRNA(mRNA)」など、堀江氏は、創薬やバイオ研究に関わるスタートアップやベンチャーを興味ある分野として例に挙げた。

エレクトロニクスの世界では、スタートアップは設計と指示だけ行い、製造は FOXCONN に代表される EMS(電子機器受託生産)に製造を委託するようになってきたが、堀江氏によれば、薬やバイオの世界でも同様に、設計だけして、製造はジェネリック薬を作っているような工場に頼むという、ファブレスなやり方が主流になりつつあるのだそうだ。

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テック・スタートアップを対象とした投資家やファンドの数は、以前に比べ格段に増えた。松山氏が「自分はスタートアップ投資を15年やっている」と言うと、堀江氏は長い間テックでやってきた投資家は、それまでの分野を後進や他のファンドに任せて、リスクをとって創薬やバイオなどパワープレイが必要とされる分野に回るべきではないかと提案した。

リスクをとって、どんどん投資すればよい。そのためには、投資家も技術のことを正しく理解する必要がある。その技術がどうして優れているのか、ということをちゃんとわかるようにしないと。

Tech in Asia はアジアの投資家や起業家を集めたイベントだが、ハードウェアや先端技術は、アジアの中でも日本が強い分野と言って過言ではないだろう。この分野のスタートアップを増やすには、投資家にもそのための目利きと長期的な視点が求められることになる。そのような性格を持ったファンドとしては、例えば「リアルテック育成ファンド」などが挙げられると思うが、〝パワープレイ〟を実現するにはまだ規模が小さい。堀江氏が言っていたような、起業や投資の環境は近い将来に実現できるだろうか。

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