8日、Tech in Asia Tour 2016: Road to Singapore @Tokyo(東京予選)が都内で開催され、日本国内から集まった最も有望なスタートアップ5社が、集まった投資家やテック業界関係者にピッチを行った。
受賞者は4月12~13日にシンガポールで開催される Tech in Asia Singapore 2016 本選への出場資格に加えて、シンガポールへの往復航空券と宿泊費、イベントの入場パスが与えられる。この賞によって、有望な東南アジア市場において新たな投資を受けたり国際的に拡大したりする機会が得られることになるかもしれない。
【過去の Startup Asia(現在の Tech in Asia イベント)に関する記事】
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- Startup Asia Jakarta 2014
- Startup Asia Singapore 2014
- Startup Asia Tokyo 2014
- Tech in Asia Jakarta 2015
- Tech in Asia Singapore 2015
- Tech in Asia Tokyo 2015
【過去の Startup Arena 登壇スタートアップ・ピッチ・プレイリスト】
- Startup Asia Singapore 2012
- Startup Asia Jakarta 2012 – Day 1
- Startup Asia Jakarta 2012 – Day 2
- Startup Asia Singapore 2013
- Startup Asia Jakarta 2013
- Startup Asia Singapore 2014
- Startup Asia Tokyo 2014
- Tech in Asia Singapore 2015
Tech in Asia Tour 2016: Road to Singapore @Tokyo で審査員を務めたのは、
- Allison Baum 氏 (Managing Partner, Fresco Capital)
- 岡洋氏(Japan Office Manager & Partner, IMJ Investment Partners)
- 吉永力氏 (Venture Partner, Fresco Capital)
- 上田祐司氏(代表執行役社長CEO、ガイアックス)
Z-Works(優勝およびオーディエンス投票による入賞)
Z-Works は介護で必須となる見回り・通知・情報共有を、センサーとクラウドで運用することで、介護ビジネスや在宅介護の負担を軽減するプラットフォーム「Life Engine」を開発。男性で9年、女性で12年あると言われる実寿命と健康寿命の差の期間について、寝たきりなど症状が重篤化するのを防止することを意図している。心拍計センサー、モーションセンサーなど身には付けないセンサー技術を活用し、心拍数・呼吸数・離床や寝返り、トイレの長時間使用などを遠隔で検知し、必要に応じて介護者に通知する。モバイルアプリ「LiveConnect」、介護施設スタッフ向けアプリなどをリリースしている。
総務省主催の「ICTイノベーション創出チャレンジプログラム(I-Challenge!)」に採択。シニア向けヘルスケアアクセラレータ Aging2.0 東京大会優勝。3月9日には、大手介護サービスプロバイダとの提携発表を予定している。フランス、オーストラリア、スウェーデン、日本など多国籍からなる17名のチームで構成されており、年内には高齢化問題が深刻な中国から海外展開を開始予定。ベルギーやアメリカでのサービス展開も計画している。
Aquabit Spirals
Aquabit Spirals は、リアルなものに対してブックマークができる「スマートプレート」を開発。ユニークな QR コードが貼付されており、ICチップも内蔵しているので、NFC 対応スマートフォンか、カメラを内蔵しているスマートフォンを使って、個々のスマートブレートに紐付けられた情報にユーザを誘導することができる。スマートプレートでは、コードに紐付いた情報アクセス先をクラウド側で管理しており、ユーザはリダイレクトして情報に導かれるので、NFC チップの管理者(キャンペーンオーナー)は、専用アプリを使って、クラウドで情報を一元管理できる。
バンコク市内の3つの免税店舗と提携し、店頭にスマートプレートを導入予定。また、ポップアップショップの開設支援サービス「ShopCounter」とは、4月に提携を予定している。
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INST
2015年3月に設立された INST は、INST SMS や INST Voice という B2C 向けのコミュニケーションツールを提供しており、これまでにそれぞれのサービスで、64社、8社の顧客を獲得している。同社が提供予定の新サービス「INST Chat」は複数のメッセンジャーアプリをアグリゲート運用できる B2C サービスで、個人ユーザ側は従来から利用しているメッセンジャーアプリで、企業ユーザ側は専用のダッシュボード画面でメッセージをやりとりできる。企業側にとっては個人顧客とのコミュニケーションを一元管理できるメリットがあり、個人ユーザに対してコミュニケーションチャネルの変更を求めないため、円滑なコミュニケーションの確立やユーザリテンションに寄与する。
INST Chat は4月にローンチする予定で、当初サポートするメッセンジャーアプリは Skype、Facebook、HangOut の3つ。企業ユーザ側から月額利用料を徴収してマネタイズする。メッセンジャーアプリの API との接続をベースに開発しているため、将来的な対応メッセンジャーアプリの追加にも柔軟に対応できる。
Spacee
Spacee は企業向けの会議室オンデマンド貸出サービスだ。企業などが持つ会議室が使われていない時間を在庫として Spacee が預かり、会議室が足りない企業に1時間500円〜1,000円程度で貸し出す。一般的には、企業の中で会議室やスペースが足りないとき、経営層など優先度の高い会議は市中のレンタル会議室が利用される傾向にあり、現場レベルの会議はファミリーレストランや喫茶店が使われるケースが多い。その中間ニーズを埋めるしくみがなかったのを、Spacee がシェアリングエコノミーで実現した。
貸し出したい会議室のある企業は約3分間ほどで登録が可能。あるスタートアップが夜や週末の非利用時の会議室を Spacee で貸し出したところ、自社が支払っている月家賃13万円に対し、Spacee を通じた貸出売上がほぼ同額となり、実質的な家賃負担を相殺できてしまったケースもある。Spacee によれば、山手線駅前のオフィスであれば、需要が高いため賃料と同程度を貸出売上で稼ぎ出せるだろう、とのことだ。成約時に貸出主が Spacee に支払う手数料は25%、現在の利用登録者は24万人。今年6月までには、1時間500円で利用できる格安会議室を、山手線全駅前に配置する計画。
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電玉
けん玉が世界的なゲームとして認知される中(けん玉2.0)、IoT によってけん玉を進化させ、新プロダクト「電玉」でけん玉3.0 を実現しようとする試み。けん玉内部にセンサー、スマートフォンとの通信機能、アクチュエイターを内蔵しており、2人やチームで対戦し、玉が入ったかどうかを競うことで相手にダメージを与え体感させることができる。
2月29日から Makuake でクラウドファンディングを開始(正規早割価格で9,900円だが、10%および20%ディスカウントで販売されている)。B2C では、Makuake や Kickstarter を使った販売、B2B2C ではダーツバー、遊戯施設、老人ホームなどへの進出を模索している。

イベントの冒頭では、審査員を務めたガイアックスの上田祐司氏が、社内におけるインキュベーション事業について対談を行った。同社のこれまでのスタートアップ投資は、ガイアックス出身者が退任しスタートアップを立ち上げたり、ガイアックスからスピンオフして新事業体を作る際の出資が中心だったが、新しく創設したシェアリングエコノミーファンドでは、ガイアックス出身者ではない起業家によるスタートアップについても月に1〜2度くらいの頻度で積極的に投資している。
また、積極的に優秀な人材を採用し、社内から新しいイノベーションを生み出すための施策として、ガイアックスからの curve out も奨励しているとのこと。そのような現状を、ガイアックス出身者である Tokyo Otaku Mode の小高氏(小高奈皇光CFO)や Akerun で知られるフォトシンスの河瀬氏(河瀬航大 代表取締役)らが、起業志望者に「新事業やるならガイアックスでやってみるといいよ」と言ってくれているのが、良い人材を呼び寄せる上でいい影響を及ぼしているとのことだった。
自らの会社を破壊するくらいの覚悟で進まないと、オープンイノベーションはワークしないように思うと語った上田氏。これからのスパイクはシェアリングエコノミーに来ると確信しているそうで、ガイアックスでも家庭料理教室の Tadaku や、長距離ライドシェアリングの notteco に続き、さらなるシェアリングエコノミービジネスの開発に注力しているとのことだ。
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